未完の永遠(新一×快斗)R18
※手直し中
基本の定番です。2月になっちゃいました(-_-;)
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部屋に戻ると、快斗は窓を開け夜空を見上げていた。
「寒い。閉めろ」
「風呂上がりだから寒くないだろ、工藤」
顔だけ振り向いた快斗が横顔で応える。
「部屋が冷えるじゃねーか」
「名探偵は風情がねえな、相変わらず」
「おまえはあるのかよ」
「もちろん。───今宵は新月。月は姿を隠しても、冬の星々がこれでもかと夜空を彩っております」
少しおどけたように怪盗の口調でそう言うと、快斗はパチンと指を鳴らした。
「あっ」
部屋の電気が消える。
「また…テメー、何やらかす気だ」
「種も仕掛けもございません。さあ、名探偵、こちらへ」
目に映る朧なシルエットの快斗がオレを手招きする。
その姿が───このまま闇に溶けて消えてしまいそうな気がして、オレは慌てて暗い部屋を横切り窓の方へ駆け寄った。
「あっ、バカ」
「あっ、イテッ!」
オレと快斗が同時に声を上げる。
オレは何かに躓(つまづ)いてつんのめった。
》》ボブン!!《《
何かが弾け、薄闇の中を細かな粒子がキラキラと舞う。
「ゲッ、まず」
「なんだぁ?!」
すっ転びかけたオレを抱き止めた快斗と一緒に床に膝を着く。
「ああ〜…まぁ、しょうがないか。アクシデントはショーに付きもンだからな」
「何を言ってんだよ」
快斗の用意した “仕掛け” を、オレが蹴っ飛ばしてオシャカにしてしまったらしいことは想像できた。
てか、そんなトコに仕掛けるとかそもそも間違ってんだろ。オレはワルクナイ。
───二人で夜を過ごすのは久しぶりだ。快斗のやつ、もしかしたら。
「…まさかと思うけど、窓開けて逃げようとしてたんじゃねえだろうな」
「えっ」
「おい」
「いやいや、違うよ。ほんとに星を見てたんだ」
「手錠かけるぞ」
「バカ。逃げるくらいなら最初から来ねえ……っ……」
言い訳を続けようとする快斗の唇を塞ぎ、その柔らかな髪にオレは指を通した。
相変わらず、快斗の腰は細い。
しなやかな曲線の陰影に目が吸い寄せられ、思わずため息を漏らしてしまう。
今から自分を快斗の中に埋め、一つに繋がるのだと思うだけで、全身が湧き立つように熱くなる。
「くどう…?」
「ああ。力抜け」
「頼むから、ゆっくり…」
「わかってる」
「…う、ああっ、わ、かってねえ──…っ!」
オレなりに快斗の負担を考慮して、出来るだけ時間をかけて…、と思ってたんだ。始める前は。
だけど無理。
快斗…おまえ、色っぽすぎる。
自分がどれだけオレを煽ってるか、わかってない。
フットライトの間接照明だけのオレの部屋。今は二人きりの密室だ…。
冷静でいられるわけないだろ。
高校卒業したばっかだぜ、オレたちまだ。
探偵と怪盗として邂逅し、工藤新一と黒羽快斗として認め合い、抗い難い絆に惹かれて互いを求め合うようになって。
何度かの切ない逢瀬のあと───
オレたちは互いが抱える事件や柵(しがらみ)を解くために一旦別れ、以後は探偵と怪盗としての共同戦線を張るだけに徹していた。
すぐ隣におまえがいても。必死に想いを押し殺してきたんだ。
だから、総ての鎖を解き放った今は。
再び二人きりになれた今夜は。
どんなに抑えようとしても、無理なんだ──。
────苦しい。
苦しいのに…、切ないほど溺れていく。
このまま工藤と離れていた方がいい。
そう思ってた。
今度近付いたら、離れるのがもっとつらくなる。それが怖かった。
なのに、最後まで躊躇っていた俺を、工藤は当たりまえのように抱き締めた。
抱き締められて…工藤の鼓動が自分の鼓動と重なるのを感じた時、解ったんだ。
自分がどれだけ工藤を待っていたのか。
こうして互いの熱を与え合い、一つに重なる瞬間を、どれだけ待ち焦がれていたのかを───思い知ったんだ。
「う…あっ、ああっ、……あ、あ…っ……!」
快斗がはっきりと声をあげ始める。
堪らない。
もっと、もっと激しく声をあげさせたい。
浅く、深く。
深く。強く。
焦らすように揺らして。
そこからぶつける様に、また強く深く貫く。
身を捩るように、おそらく無意識に逃れようとする快斗の肩を抑えて、穿ったまま速度を変え小刻みに揺らす。
脈打つ快斗の血潮と自分が溶け合うのを感じて、“恍惚” を覚える。
だけど、まだ、まだだ。
一緒に達したい。
快斗が昇り詰めるその瞬間まで。
少しずつ、快斗の良いところを探りながら。
わざと外して。
首を振る快斗の紅潮した頬に口付けながら───
もう絶対離さないと心の中で誓いながら。
言葉に出来ない想いを、必死に伝える。
オレは必死だった。
快斗に自分を永遠に刻みつけたくて。
たとえ未完成でも。
窓辺に立つ快斗のシルエットが夜明けの空を背にキラキラ輝いていた。
目を擦ってなんとか体を起こす。
怠い。
ちょっと頑張り過ぎた。もう少し余裕を持たないと、いざという時また快斗に逃げられちまう。
「工藤、怒るなよ」
裸のままの快斗の輪郭が徐々に色付いてくる。
陽が昇り始めたんだ。
「怒る…? なにを? 寒くないのか、快斗」
しゃんと立っている快斗に内心驚きながら、オレはかったるいのを隠して極力落ち着いた声を出した。
──つもりだったが、ちょっと声が掠れてて焦ってしまう。
あれ、声あげてたのは快斗だと思ってたけど、もしかしてオレも声出してたのかな。
「よく立てたな」
「まあ、それなりにカクカクしてるけど…」
ちょっと目を伏せて声が小さめになる快斗がカワイイ。
オレも素っ裸のままベッドから出て立ちあがった。
「ん?」
なんか…足の裏がザラザラする?
「ん?!」
大量のキラキラが、細かい砂粒のようなモンが、部屋の床にドッチャリ落ちている。
「快斗? なんだコレ!」
「工藤が蹴っ飛ばしたんだろ。サプライズでキラキラマジック仕掛けてたのによ」
「サプライズー?!」
「工藤を落ち着かせようと思ってさ。透明な風船を一瞬で膨らませて、光を当てて中のキラキラを──ま、待てっ、怒るなって言っただろ」
「どうすんだこれ!」
「大丈夫、ちゃんと掃除機かけるから」
何が掃除機かける、だ。
そう言えば夢中で気にしてなかったが、ベッドの上も所々キラキラしていた。快斗の髪にも───。
「こらっ、快斗逃げるな!」
「逃げられねえよ。とても跳ねたり飛んだりは無理」
くう〜。
オレから目を逸らしてモゴモゴ言う快斗のキュートなこと!
いかん、許してしまいそうだぁ〜(ヘラヘラ)。
》ぼん!《
「あっ」
煙幕弾!
部屋中が真っ白になって何も見えない。
快斗のやつ、油断も隙も無い!
快斗、と叫ぼうとしたオレの背後に温もりが寄り添う。
快斗…?
「工藤…マジいろいろごめん。苦手なんだよ。俺、気持ちとか伝えんの」
それは解っている。
お前がどんだけ天邪鬼で、エンターティナーを気取ってても実はすげえ照れ屋だってことも。解ってるけど。
「昨日は別々だったけど…、一緒に風呂入らねえ? 俺いま…階段一人で降りる自信ねぇんだ」
あっさりオレは快斗を許した。
部屋の掃除なんぞ後だ。
明日でも明後日でも来週でもいい。
明るい光を浴びながら、快斗と一緒に入浴。
眩い快斗の裸身を存分に拝める!
そんであんなことしたり。こんなことしたり。
──これがヘラヘラせずにいられるかっ!!
軽く鼻歌なんぞ歌っている工藤の腕に縋り、取り敢えずは部屋から工藤を遠ざけることに成功した。
あとはどこで次の仕掛けを発動させるかだ…。
一つの仕掛けが失敗したからそれでショーが終わりじゃつまらない。
お楽しみはこれからだぜ、名探偵。
とはいえ、腰は重いし膝はカクカク、喉も痛い。昨夜の自分の乱れようが恥ずかしすぎて目を瞑る。
──間近で俺を見つめる工藤の瞳。
真っ直ぐすぎる工藤の眼差しの熱さを思い出すと、クラクラしてへたりこみそうだ。
我ながら素直じゃない。
まだまだ、俺には工藤に隠し事がある。
父親同士の関係とか。
怪盗キッドのこれからとか。
進学先の大学が同じって事は──まあそれはじきバレるだろうけど。
お互いのこれからがどうなっていくかなんて分からない。
工藤が探偵である限り、俺が怪盗を真に封印しない限り。
工藤に仕掛けるマジックは、未完成のままなんだ。
20260201
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※設定背景曖昧ですがご容赦を…(_ _;)。
●拍手御礼
「囚人」「憶測」「この腕の中で」「月光という名の真実」
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