名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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※パンドラ~エピローグ《1》
カテゴリ★インターセプト4
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『A secret makes a woman woman.』

〝女は秘密を着飾って美しくなるのよ〟

あの女は口元を綻ばせ、再び私にそう言い残し…そして姿を消した。




「乗りたまえ、工藤くん。行き先は桜田門だろう」

「──赤井さん」

ためていた補習をようやく終え、校門から出たところで白のRX-7がオレの横に滑り込んできた。

快斗を取り戻して四日後。
一連の出来事は貿易センタービルでのオークションで終幕を迎えたが、それですべてが片付いたとまではとても言えず、オレは今日も寝不足のまま学校から警視庁へ直行するところだった。

「助かります。でも、赤井さん忙しいんでしょう? もしかしたらもう本国へ帰ってしまったんじゃないかと思ってました」

「今夜の最終便で帰還する。キミには本当に助けられた。小さかった名探偵のころからな。ありがとう」

「いいえ、そんな…」

「何も出来ないが、せめて一言礼をと思ってな」

低く穏やかな赤井さんの声。しかし影を帯びた横顔の眼光は今も鋭い。日本に潜伏していた黒の組織のメンバーの大半は逮捕したものの、世界には幹部クラスがまだまだ潜んでいる。赤井さんの闘いはこれからも続くのだ。

「〝インターセプト〟作戦は、君たち日本の若い探偵諸君を補佐するためのものだった」

「えっ」

「実際、FBIは大したことはしていない。中森警部と共に後方支援にあたったくらいのものだ」

「そんなことはないです。オレたちだけじゃ何も出来なかった」

淀みなく交差点をカーブし、赤井さんが軽い仕草でシフトアップする。ふと思い当たった。

「あの…この車、もしかして」

「そうだ。公安の降谷くんに借りた」

降谷零。つまり安室透、バーボンのことだ。
ジョディ先生に聞いた。共に黒の組織に潜入していたFBIの赤井さんと公安の安室さんには、潜入中起きたトラブルによる因縁があったはずだ。

「病院に見舞ってきたよ。俺を赦してくれることはないだろうが〝認める〟とは言ってくれた。彼にすれば最大限の譲歩だろう。そのうえ愛車を預けてくれた。ありがたく使わせてもらってるというわけさ」

「容態はいいんですね」

「一月もすれば復帰できるそうだ」

「そうですか。良かった」

組織の中で快斗が殺されずにすんだのは、少なからずバーボン(安室さん)が動いてくれたからだろうと推測していた。

「それからベルモットのことで報告がある」

「えっ。まさか、死んだんですか」

「いいや。消えた」

「消えた?」





警視庁に着くと、ジョディ先生が出迎えてくれた。痛々しく頭に包帯を巻いていたが、オレに気付くと『ヘイ、クールキッド!』と明るい笑顔を見せた。

「大丈夫ですか、ジョディ先生」

「オー、まあね。ベルモットは昏睡しているとばかり思って油断した私のミスよ。いきなりガツンだもの。それにしてもあの傷で動けるなんて、不死身としか…アイタタタ」

首を振る仕草が怪我に響いたのか、ジョディ先生は顔をしかめた。

「俺は松本管理官に会ってくる。後でな、ジョディ。じゃあ工藤くん、元気で」

「オーケイ、シュウ」

「赤井さんもお元気で!」


それから少しジョディ先生と立ち話をした。
FBIに投降したコルンと呼ばれるスナイパーと、同じくCIAのキールが抑えたキャンティの証言の擦り合わせのために、本国で〝綱引き(交渉)〟が始まる。それが厄介よ、FBIもCIAも目的は同じく組織の殲滅なのにね、と肩を竦めた。
先生はいずれまた日本に戻ると言って、最後にオレに手を差し出してきた。
握手をしながら、先生は少し物憂げな顔をして『もしかしたらベルモットは孤独な女性なのかもしれないわね』…と呟いた。








・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・

   



「いたいた、快斗くん!」

「あっ、おじさん」

帰り道の堤防。突然声をかけてきた相手が中森警部であることに驚き、俺はカバンを落としそうになった。
ひさしぶりの通学でくたくたになってもいた。日常に戻れたことが信じられず、夢の中で過ごしているような一日だった。

「ふらついてるぞ。大丈夫か」

「アハハ、へーきです。てか、こんなとこにいていいの? おじさん」

軽口をききながら、中森警部の顔がまともに見られない。
ずっと欺いてきた負い目がある。逮捕されるのかも、と思った。それならせめて先に謝っておかなければ。

「あの…おじさん」「快斗くん、あのな」

同時に声をかけ、同時に目が合った。
一瞬の沈黙の後、互いに吹き出してしまった。

「はっはっは、すまんすまん」

「すみません。俺、笑ってる場合じゃねーのに。おじさんに謝らなけりゃ」

「何を謝るんだね」

「それは…」

騙してきたこと。怪盗キッドの正体は、実は───。

「わしはな快斗くん、これからも怪盗キッドを追うからな!」

「えっ…でも、あの、キッドは…」

「キッドは必ずまた現れる。わしには解るんだ。やつはどこかで復活の準備をしとるに違いない。奴を捕まえるのが、わしの生き甲斐だからな!」

「……」

いま中森警部が話しているのは初代キッドのことだ。父さんのことを言っている。だけど、父さんは。

「なあ快斗くん、頼みがある。これからも幼なじみとして青子と仲良くしてやってくれるか」

「それは…もちろんです」

「はは、よかった。忙しくて家に帰れん日がまた増えそうだからな。実はちょっとばかりゴリ押しした件で懲戒免職を覚悟しとったんだが、引き続き任に着けとの辞令が出てな。しかも昇級試験に本腰を入れろとの御沙汰だ」

「そうなんですか…?!」

警部の上は警視だ。すごい。

「それじゃ、わしは署に戻るよ。快斗くん、しっかり食ってしっかり寝て、しっかり勉強しろ。もうすぐ三年だからな」

俺は結局謝り損ねた。
車に乗り込んで去ってゆく中森警部を見送った。

中森警部は…きっと解っていて見逃してくれたんだ。
それに甘えてしまった自分の狡さに落ち込みながら、俺はまたトボトボと歩き出した。






20160410
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※『エピローグ』という名の補足&蛇足、つづきます~(*_*;



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