名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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待ち伏せ《2/2》(新快前提 平次→快斗)

――――――――――――――――――

俺自身が服部にどう対していいのか迷っている。そんな曖昧な気持ちが自分を追い詰めていた。

この期に及んでなお――服部に抑えつけられていながら、どうすればよいのか、分からずにいた。


「制服破きとうなかったら、おとなしゅうしとれ」

「やめ……バカっ、服部」

「馬鹿は承知や。黒羽、覚悟しい。工藤には内緒やで。アイツに知れたら殺されるかもしれんよって」

喉元にくい込んでいた服部の左手が顎を押し上げる。上体を伸ばされ、下肢に乗って抑えつけられ――動けない。

「!!」

学ランの前が開けられ、シャツの中に服部の右手が入り込んでいた。身を捩って服部を振り落とそうとしても、首を掴まれているのでもがく程度にしか動けない。服部が覆い被さってくる。声がでない。ひゅうと息が漏れるだけ。苦しい。

(…?!)

喉にかかる力が僅かに緩む。大きく息を吸いこんだ。その瞬間、服部の唇で口を覆われていた。

(あ――!)

服部の手首を掴んで外そうとするが、力が入らない。息が、できない。

「……どうや。自分がキッドやと白状する気になったかいな」

はぁ、はぁ、と息を付く。目が霞んだ。

「どうなんやっ」

(く……!)

襟を両手で掴んで力任せに上体を引き起こされた。

目の前の服部の瞳が真っ直ぐに俺を見詰めている。

陽が落ちかけていた。夕闇の片隅の、薄暗い東屋の中。

「認めるやろな。大阪駅のホームで、俺の襟にあの時の〝獲物〟を入れられたんは黒羽、おまえしかおらん。つまりあの獲物を盗んだのは〝怪盗キッド〟――おまえや」

「…………」

「正直言うたら、ちったぁ加減したる。言わなんだら」

「…………」

「加減なしやで」

「――俺じゃ、ない」

言い終わる前に掴まれたシャツの襟が左右に引き裂かれた。布の裂ける音とボタンが弾け飛んで跳ねる音が耳を打つ。

「ほー、そうかい。ええんやな。答えはそれで」

「…………」

無言で服部の怒りに燃える眼差しを受け止めた。
暴れても無駄だろう。
ただ、服部をここまで怒らせてしまったことを、後悔していた。

いま服部にこんなことをさせているのは自分だ。自分が蒔いた種だ。自分が禍(わざわい)の原因を作った。
しかし、どんなに責められても自分の口から服部に本当のことを言う事はできない。そんな相手は――工藤だけでたくさんだ。



「……ちっ」

服部が俺を睨んだまま舌打ちした。

「ほんのちぃとでも目え逸らしたり、小賢しい言い訳でも始めよったらぶん殴ってめちゃくちゃしたろと思うとったのに」

服部が手を放す。背中を東屋の壁に預けてずるずると崩れ落ちた。

「ほんっま頭きよる。なんで俺はこないに甘いんや」

「…………」

「いくらなんでもこんなトコでできるかい。せいぜい脅かして、白状するまで締め上げたろー思うとったが、今日はもうやめや」

「………なん…で」

「けっ。アホくさ。そんなんコッチの都合や! さっさと去ぬれ!腹立つ」

体を起こす。学ランのボタンをとめる指が震えていた。

「今夜は工藤んトコに世話んなる。来るんやないで。自分めっちゃ機嫌ワルいんや。これ以上イラつかせたら承知せんで」

言い残して服部は俺の方を振り向きもせずに走り去った。


もう一度ベンチに座り込んで、背中を壁にもたせかけた。
体も、気分も重かった。

重くて、しばらく立ち上がれそうになかった。







20120404


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