LAST LETTER 〜最後の予告状〜《1/2》
カテゴリ★ファーストステージ
※コナンくん視点
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「え? なんだって?!」
元太、光彦、歩美ちゃんに向かって、オレは3回同じことを聞き返した。
ほっぺを赤くした歩美ちゃんがニコニコしながら答える。
「だからぁ、予告状が来たんだよ!怪盗キッドから、わたしたち少年探偵団に!すごいでしょ!!?」
「え…? 怪盗キッドが…? 少年探偵団に?? な、なんで?」
「ったく、コナン寝ぼけてんのかぁ?! さっきから何回同じこと言わせんだよ!」
「まあまあ元太くん、無理ないです。あの “怪盗キッド” が僕ら少年探偵団に、ですからね! コナンくんがびっくりするのも当然です!」
平穏な日々が続いていた3月下旬の日曜。
久しぶりに探偵団バッジから緊急招集コールがかかり、何事かと博士の家に駆けつけると、元太・光彦・歩美ちゃんの三人が飛び跳ねるようにはしゃぎ回っていた。
「ほらっコナンくん、これだよ! 少年探偵団のみなさまへ、怪盗キッド、って書いてあるでしょ!」
まさかと思いながら、歩美ちゃんが差し出したカードを見る。怪盗のアイコンが目に飛び込み、オレの心拍は不覚にも大きく跳ね上がった。
怪盗キッド。
間違いない。かって何度も手に取った怪盗キッドからの予告状だった。
3人のことは言えない。
なんて言えばいいんだろう。まるで───ときめくような、湧き上がるようなこの感覚。
『季節の終わりを告げる鐘の音が響く時、去り行く真実を頂戴に参上する』
「ね〜、どういう意味かなぁ? 季節の終わりって、いつなのかな!?」
「そうですねえ、冬の終わりってことでしょうか? とっくに春になってますけどねえ」
「わかった! そんじゃ春分の日ってことじゃねーか?!」
「………」
季節の終わりの鐘。
オレが思い浮かべたのは…。
いや、でも、まさか。舞い上がってんじゃねえオレ、落ち着け。
「待てよ、おまえら。これフツーに考えて誰かのイタズラだろ。だいたい怪盗キッドが少年探偵団から何を盗むってんだよ。きっと博士か、灰原か、あの黒羽の兄ちゃんのイタズラだよ」
イタズラ。
そうだ。
自分で言って納得する。
快斗のイタズラか。あり得る。
なんだ、そーいうことか!
そう思ったら落ち着いた。そして腹がたってきた。
あのヤロー、この “土壇場” で、なに波風立ててやがる。
あと数日で江戸川コナンは “ここ” を去る。筋書きは整っている。元太、光彦、歩美ちゃんの3人も、やっと笑顔でコナンを送り出してくれるムードになってるっていうのに。
「で、そのカード、どこにあったんだよ?」
オレが3人に訊くと、返答は背後から返ってきた。
「ここのポストに入ってたのよ。言っとくけど、博士も私もそんなイタズラしてないわよ」
灰原だった。
「ポストに?」
「そう。私が見つけたの」
「灰原、まさかこれが本物だと思ってねえよな」
「でも偽物とも断定できないんじゃない? 私も以前キッドの予告状の実物を見たことがあるけど、見ただけじゃ判断出来ないわ。気になるなら高木刑事にでも頼んで鑑定してもらったら?」
「ええ〜っ、ダメだよ、哀ちゃん、警察には内緒だよー!」
「そーだぞ、おれたち少年探偵団への予告状なんだからな!」
「ですね! ここは僕たちでキッドの挑戦を受けて立ちましょう!」
「おまえらなぁ…」
こうなると話はもう堂々巡りだ。
間もなく博士が帰ってきて、みんなで久しぶりにカレーを作り、会議をしながら食べた。
議題はキッドの予告状について。
だが、予告内容の暗号を解くというより、だんだん連想ゲームのようになってしまい、騒ぎ疲れた3人は博士に送ってもらって帰って行った。
「黒羽のお兄さん、結局来なかったわね」
「灰原」
「なに?」
「………いや」
「いいんじゃない? 」
「なにが」
「お涙頂戴のお別れ会より、江戸川コナンを送るにはこっちのほうがよっぽど合ってるってことよ」
「……」
「カタを付ける最後のチャンスでしょ。キッドもきっとそのつもりよ」
「カタって、こんなんただのイタズ…」
「わたしたち少年探偵団があなたを守るから」
「えっ」
「盗まれるんじゃないわよ」
「……」
「去りゆく真実。あなたの事でしょ」
つづく
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※うーむ、懲りずに展開を決めずに書き進めております…。投稿間隔が開いて間延びしてしまいすみません。うまくまとめられるでしょうか〜(^_^;)??
●拍手御礼
「月光に晒されて」「異形の者」カテゴリ★交錯 へ、拍手ありがとうございました!
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