名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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交錯《1/2》(新一×快斗)

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俺はキッドとの1対1の勝負に勝った。

俺だけに出された予告状の暗号を解き、予告の場所と時間を突き止めて。
キッドは一瞬悔しそうな顔を見せたが、手にした獲物を月に翳してため息をつくと、俺に獲物を放ってよこした。

そして、負けを認めて俺に捕まったのだ。


抱き締めるとキッドは深く溜息を付いた。

「名探偵には負けない自信があったのですが」

「俺は絶対にキッドに勝つ自信があった」

ふう、とキッドがまた息をつく。

「……参りました。では名探偵は私に何をお望みなのでしょう」

「決まってる」

俺はキッドのモノクルを剥いだ。
目を閉じたキッドが再び目を開けると――それはもうキッドではなく、黒羽快斗の目だった。

「快斗」

快斗は無言だった。

無言の快斗に、俺は口付けた。






俺の部屋の扉を開けようとすると、それまで黙って従ってきた快斗がついに首を振った。

「だめだ……工藤、俺」

快斗が怖れている事はわかっている。しかし俺は快斗の手を放さなかった。強く掴んで部屋に引き入れ、扉を閉めて快斗を抱き寄せた。

「怖い…いやだっ。放してくれ、頼むから!」

かすれた声を震わせ、快斗が懇願する。快斗自身も乗り越えようとしていたはずなのに、不意に心が折れたかのように弱音を吐く。

どうしたらいいのだろう。

俺は取り戻したかった。快斗を蝕む悪夢から。快斗を。快斗の心を。








黒羽快斗に戻り、工藤に口付けられて、俺の意識は半分夢の中に浸ったようになっていた。

このまま工藤について行けば、救われるのだと――自分を騙していた。
だが、気がつくと工藤の家に着いていて……階段を上って折れた先の工藤の部屋の前まで来て、我に返った。足が竦んで動けなくなった。
救いなどあるわけがない。
四角い部屋のその四方を囲む冷たい壁が怖い。無表情に自分を見下ろす天井が怖い。息が詰まる。記憶の中で増幅された堪え難い屈辱が甦って、叫び出さずにはいられなくなる。
叫び出したらきっと止まらない。それを我慢するだけで意識がいっぱいになる。苦しくて――動けない。

「快斗! しっかりしろっ」

がくりと膝を着いた俺を工藤が叱咤する。
ごめん……工藤。
俺は以前の俺じゃない。俺はとっくに壊れてる。懸命に取り繕って平静に見せかけてきたけど、実際は継ぎ接ぎだらけのガラクタだ。元には戻らないんだ。
もはや逃げ出す気力すらない。
体中の力が抜けて――俺は工藤の腕に倒れ込んだ。




つづく

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以前アップした『迷信』『拷問』『痣』『呵責』『満月』『左手』
と続いたお話の、さらに後日談です。

まとめきれるか、書き出してから大汗です…(*_*;

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