名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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偽り《3/3》(新快前提 白馬→快斗)
カテゴリ★空耳
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「工藤新一と喧嘩でもしましたか」

苛立ち紛れに発した僕の言葉に、初めて黒羽の表情が動く。
その事に僕ははっきりと嫉妬を覚えた。

自分の中に荒々しい気配が充ちるのを意識する。
僕は黒羽をベッドに突き飛ばした。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


肩を掴まれ、ベッドに押し付けられる。
完全に白馬を怒らせてしまった。

─────当たり前だ。俺が悪いんだ。

自己嫌悪の殻に閉じこもる。

〝おまえを離さない〟……そう囁いた工藤の声を思い出す。

工藤とは出逢ってはいけなかったのだ。
なのに俺は工藤に惹かれ、その温もりに触れて、気が付けば工藤の側から離れられなくなっていた。
だけど、このままでいていいわけがない。

どうしたらいいのか決められないまま工藤のことをぼんやり考えていた時、不意に目の前に現れた白馬に、思わず縋るように付いてきてしまった。

馬鹿なことをした。
馬鹿なことを言った。……礼、だなんて。
白馬が怒るのも無理はない。
自分に向けられる白馬の想いを感じ取って、俺はそれに甘えたんだ。白馬と繋がることで、工藤への想いを打ち消せるかもしれないと……どこかでそんなふうに考えたんだ。
謝っても、もう遅い。何を言ったところで、どう繕ったところで、白馬を利用しようとしたことに変わらない。
俺は狡い。
俺は、最低だ。
俺は……汚い……!


(あっ)

学ランのボタンが外される。体が竦む。
教室での白馬とは全く違う荒い行為に、声をあげそうになるのを懸命に堪える。
自分の意志でここに来て、今さら抗うわけにはいかない。
自分には、白馬を拒む資格がない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



はだけた黒羽の胸の白さに意識が灼かれる。手を差し入れ、その肌に指を這わせると、黒羽は目を閉じてビクリと体を震わせた。
あの日、すえた匂いの薄暗い倉庫で見つけた黒羽の姿が、僕の目に重なった。
見知らぬ男たちに再び凌辱を受けるところだった黒羽は、制服をはだけさせ意識を失っていた。口にガムテープを貼られ、殴られたのか頬が赤く腫れていた。


すう────と血の気が引く。


かつて黒羽を……複数の男たちに凌辱され傷付いた黒羽の心を癒したのは、工藤新一だ。
工藤はどうやって黒羽の信頼を得、黒羽を抱き締めたのだろう。 工藤の前で黒羽はどんな貌を見せるのか。
僕は────僕には、工藤のように黒羽の信頼を得ることは出来ないのか。
こんな形で黒羽を抱いて、本当にいいのか。憤りに任せて黒羽を抱くことが僕の〝想い〟だったのか?
これでは……僕のやろうとしている事は、黒羽を襲った連中と変わらない。

僕は黒羽の胸に手のひらを当てた。
ドクン、ドクンと、震える鼓動が僕の手に直(じか)に伝わってくる。
そのまま黙って黒羽を見詰めていると、僕の気配の変化に気付いたのか、黒羽は微かに睫毛を震わせ、瞼を開いた。


「はく…ば」

「…乗せられるところでしたよ」

「え…?」

「自分を見失って、偽りの君を抱いてしまうところでした」

「…………」

「抱いてしまえば良かったと、一時間後には後悔しそうですがね」

僕は体を起こした。黒羽に背を向け、ベッドに座って顔を覆う。
まったく。なんて事だ。
嫉妬に囚われ、初めて自室に招いた想い人に狼藉を働くところだったとは…。

「…!」

背中に温もりを感じて、僕はハッと顔を上げた。黒羽が僕の背に手を当てていた。

「黒羽くん」

「すまない……白馬。俺、謝っても許してもらえないと思うけど」

「もちろん許しませんよ。君は僕を侮ったんですからね」

僕は立ち上がった。あまり長く黒羽の熱を感じていたら、またおかしくなってしまう。

「僕の方こそ、招いておいて……。いま何か飲み物でも用意してきます」

僕は言いおいて部屋を出た。
深く溜め息を付く。
なるべくゆっくり、お湯でも沸かして紅茶を淹れよう。 黒羽が気を落ち着かせ、出ていく時間が取れるように。


カタカタと小さなポットが揺れ、湯気が噴く。腕を組んだまま、僕はすっかり暮れた空をキッチンの窓から見ていた。

手に入れる唯一のチャンスだったかもしれない。熱く肌を火照らせ、僕と繋がって声を漏らす彼を、この目に焼き付けることが出来たかもしれないのに…。
だが、やはり僕には彼を壊すことは出来ないのだろう。
やれるものなら、あの夜病室でとうに彼を抱いていた。あの時抱けなかったということは、今日に限らずどんなに想い詰めようと僕には彼を無理やり手に入れるような真似は出来ないということだ。
ああ。
心底、工藤新一が羨ましい。
もっと早く、僕も黒羽に出逢いたかった。 そうすれば黒羽に深い傷を負わせることも防げていたかもしれない。工藤よりも前に、彼の信頼を得ることが出来ていたかもしれない……。




滑稽だと思いながらも、ドアをノックする。淹れた紅茶はひとりで飲むのだ。
開けたドアから中を覗くと、窓際に置かれた黒羽の学生鞄が残されたままになっていた。
やれやれ。よほど慌てて去ったのだろう。仕方がない、明日持って行ってやろう…。


「遅せえぞ」

「…………」

「チョコレートと紅茶か。いいね」

「何をしているんですか、君は」

心臓が大きく鳴っていた。トレーを持つ手が震える。
黒羽快斗は部屋にいた。僕の椅子に座ってこちらを向き、僕が戻るのを待っていたのだ。

「喉渇いたから、お茶貰ってから帰ろうと思って」

「……信じられませんね。また僕がその気にならないとも限らないのに」

そう言うと、黒羽はヘコんだ顔をしながら頷いた。

「分かってる。おまえ…優しいな」

「ふざけないで下さい。人の気も知らないで、質(たち)が悪すぎます」

ごめん、と黒羽は申し訳無さそうに俯いた。

さっきの事がまるで嘘のように会話をしている。
これも〝偽り〟には違いないけれど。
偽りにくるみ、平穏を装った僕らの関係に戻っただけかもしれないけれど。
黒羽に紅茶を手渡しながら、僕はもう一度小さく溜め息をついた。

いつかこんな偽りの関係を清算し、本音で付き合える日が訪れるだろうか。
その時、黒羽はまだ工藤と一緒にいるのだろうか。
僕が工藤新一に取って代われる日がいつか訪れることを密かに願って……僕はチョコレートを頬張る黒羽を見詰めていた。

黒羽は去り際、やはり申し訳無さそうに僕に向かって呟いた。
今日は本当にごめん。また明日な、と。

走り去る黒羽の背を見送った。


僕が想いを寄せたのはクラスメートの少年。怪盗の貌を偽り日々を過ごす彼の〝謎〟に、僕は魅せられた。

僕は彼に片想いをしている─────。







20130127

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※あとがきな挫折の言い訳
うあああ(@@);;; スミマセン(>_<)ゞ 白馬くんに攻めさせるのが目標と言っていたのに、結局前回「傍観者」と大差なく、全っ然出来ませんでした。今回も挫折です。新快前提の快斗くんを白馬くんに襲わせるには、かなり思い切ったパラレル設定にしないと私には無理なようです。とほほ…(T_T)!

※ちなみに宣伝(汗)
このブログ内での最大ダーク白馬くんが新快前提の快斗くんを襲うお話が2011.10.16-17up「ブラックジョーク」です。超ダーク白馬くんでもOKな方はそちらを読んでみて下さいませ~(*_*;

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