名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

補食(××→キッド)
カテゴリ:★闇に棲む蜘蛛
※すでに区切りをつけたカテゴリですが、前半場面を追加です…(汗)。
※テレビアニメ版〝スパイダー〟とは設定が異なります。ご注意ください。

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〝スパイダー〟と名乗った謎の男。

まだその真の姿すらまともに認めていない俺は、異様に膨らみつつある恐怖に囚われようとしていた。

〝目には目を〟〝マジシャンにはマジシャンを〟────そう囁いた低く謳うような声。
捕まれた手首に食い込んだ冷たく硬い尖った指先。唇を覆った凍るような感覚。


怖い。


それは偽りない俺の本能が訴える根幹的な感情、逃げようがない〝恐れ〟だった。

次に奴に遭ったら。
〝スパイダー〟が本気で襲ってきたら……俺は逃れることが出来るだろうか?

あの男に囚われたら、俺はいったい───。











不意に、その瞬間は訪れた。

風を裂く音。

咄嗟に舵を切り、斜めに避けた。

〝スパイダー〟。

来た……! いよいよ、俺を捕らえに。

俺を、喰らいに。






「拝見させていただきましたよ……今宵のショーも素晴らしい出来でした、怪盗キッド殿」

(くっ)

見下してやがる。明らかに俺を、とるに足らない相手と。

「スパイダー!」

振り向くと、黒い仮面を付けている男がかろうじて視界を掠めた。
すると謎の男はその薄い唇を歪めて人の声とは思えないような〝音〟で哄った。

ク、ク、ク……と。

「私の名を呼んで下さるとは、光栄この上ない」

(あっ!)

何かに引っ掛かる。弾いて逃れた。

「暴れてはいけません。翼を傷めてしまいます」

おかしい。冷や汗が滲む。
動きが…自由にならない!

「もう私の手の内にいらっしゃるのです、キッド殿。羽ばたいても、無駄」

そんな───バカな。

宙に浮いたこの場所で、どうやって。

しかし次の瞬間には、背後から頸に指が伸ばされていた。あのぞっとするような冷たく硬い爪先が、俺の喉元に当てられる。

(あ、ああっ…!?)

「いけません、暴れては。ご心配は無用です……美しい人」

耳元に口付けられ、舐めるように囁かれる。
背筋に凍るような戦慄。捕まってはいけない相手に、こうも容易く囚われてしまうなんて!

「ご安心を……。いきなりあなたの命を奪うような、そんなぞんざいな真似はいたしません」

(スパイダー…!)

「まだ聞こえますか? ご自分の声が…」

気が……遠くなる。

天と地の感覚が失われて────ただスパイダーに抱かれて浮いている。

懸命に意識を保とうと唇を噛むが、それさえも満足に出来ない。
いったい、いつの間に、どうやって罠に嵌まったというのだろう。

目印さえない、朧月が霞むだけの都会の夜の上空で、ほんの一時交錯しただけの俺を。いったい、どうやって……!


だが、何を悔やもうともすでに俺はスパイダーの虜囚に堕とされていた。
もはや指一本すら動かせず─────スパイダーの意のままに操られている。

「そう……よい子です。キッド殿、しばらくご辛抱を。つぎに目覚めた時には」


つぎに…目覚めた時には………?


この男に喰いつくされ、俺はボロボロの死骸になって、どことも知れぬ瓦礫の果てに朽ちて落ちているのではないだろうか?

す、と目を覆われた。
すでに視界もあやふやで、自分が目覚めているのか睡っているのかすら判らなくなっていたが。




そして…つぎに目覚めた時、俺は文字通り蜘蛛の糸にかかった獲物になり果てていた。
〝スパイダー〟の巣に張り付けられ、闇の中で喰われるだけの惨めな獲物に。



じわり、じわりと。



巣の網に掛かるスパイダーの重みが、俺の側へと徐々に近付き……動きを封じられたこの身を剥ぎはじめるのを、知覚しながら抗う術はなく。

喉の奥へ。そして剥がれたシャツの隙間から、忍び込む蜘蛛の幾つもの冷たい脚に肌を蝕まれるのを覚えながら。

堕ちてゆく─────どれだけ深いか知れぬ闇の底へ。


ハッと目が覚めた。脆い皮膚を弄ばれる、そのあまりのおぞましさに。


(うあああっ!)


「キッド殿…お分かりになりますか? 今から私はあなたを穿つ」

凍りつく硬い苦痛に貫かれる予感に怯え、わなわなと恐怖に震え続けることだけしか出来ない。ただ、怯えることだけしか。

「あなたの内へと忍び……あなたを内から侵すのです。あなたの全てを、喰らい尽くしたい…。これほど私を惑わせて下さるとは」

(ああっ!!)

闇の中で目を瞑る。かたく。

喰われる─────。
その瞬間、すべての感覚を麻痺させる異常な痺れが全身を貫いた。



(うわああぁあああーーっ!!!)



ほう、と囁くような溜め息が頬にかかる。

ぎしりと喰い込んだ〝スパイダー〟の牙が、俺の体の奥を貪欲に貪り始めていた。









20121116

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※補足
かなり変則的なのですが、このカテゴリに後から追加しているお話です。2012.10.26up「喰夢」と今回の「補食」は、位置的には 2011.12.21up「明け方の夢」と 2012.2.4up「闇に棲む蜘蛛」の間に挟む展開になっています。よろしければお手数ですがカテゴリ★リンクから遡ってご覧くださいませ(汗)。
分かりにくくて、本っ当に申し訳ありません~ m(__)m。


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