名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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ronin
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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

雨の夜(新一×キッド)
※ダーク系です…。
――――――――――――――――――


扉を開けると、血の匂いがした。

じわじわと続く出血の、流れ出て固まりかけた古い血と、今なお滲む鮮血の――両方が混じり合った不吉な匂い。

機械室の片隅に身を潜めていた怪盗は深手を負って動けずにいた。

何者かに狙撃された怪盗がこの近辺で姿を消し、俺が探し始めてから二時間以上が経っている。

俺は血で染まり、意識を失いかけている怪盗を抱き起こした。



「――――誰…です? ……こんな……お節介で物好きな人間は…私が知る限り、一人しか……いませんが」

「黙ってろ、止血する」

「やりましたが……止まりません。放っておいてください、名探偵」

状況を予想し用意していた包帯を使い、タイで巻いた布の上から重ねて怪盗の腿を強く圧迫した。

「ちゃんと手当てしないとだめだ。このままだと」

「死にますか。……いいのです。もうどうでも」

戯言に耳をかさず携帯を取り出してボタンを押した。

「…やめろっ!」

まだこんな力が残っていたのかという勢いで、持っていた携帯を怪盗に弾き飛ばされる。床に転がった携帯が壁に当たる音が響いた。

「どこにかける気だっ。今さら――」

「本当に死ぬぞ」

「……もう行けよ、名探偵。最後に逢えて…少しは嬉しかったぜ」

バン、と鈍く音が響く。
怪盗の頬を、俺は思わず殴りつけていた。シルクハットが落ち、モノクルも勢いで外れた怪盗は俯いたまま黙り込んだ。

俺は怪盗の上衣をマントごと剥ぎ取った。

「……な、に…する」

「こうすれば分からない」

シルクハットとモノクルも纏めて物陰に押し込んだ。

「よく聞け。怪盗が死を選ぶなら止めやしない。好きにしろ。〝怪盗キッド〟なんて永遠に消えてなくなればいい」

霞んだ目を瞬いて、怪盗は薄く哄った。

「だったら――」

「だがな」

俺は怪盗の肩を掴んで顔を上げさせた。

「よく聞け。 だがな――快斗は――死なせない。絶対に。快斗は俺が連れて帰る。いいな!!」


〝快斗〟の名を呼んだ瞬間、青ざめて表情を無くしていた怪盗の顔が僅かに歪んだ。


小さな歪みはやがて怪盗の睫を震わせ――見開いて俺を見つめる目許から一筋零れ落ちる涙になった。


「帰るぞ、快斗」


俺は携帯を拾い、信用できる者に迎えを頼んだ。
動かなくなった快斗の体を肩に担ぎあげる。
急がなければ。

しっかりしろ、快斗。

雨がまだ降る屋上に出て、快斗を連れて俺はエレベーターに向かって走り出した。


助ける。必ず――。






20120223


――――――――――――――――――


言い訳(*_*;
ホントはキッド様に深手を負わせるのはイヤなんです……。なぜなら美しいお肌にむやみに傷痕残したくないから!
ただ、頑なな怪盗の頬に涙を伝わせてみたかった、というだけの下心だったので……今回のお話は〝単発〟で続きはありません~。(@_@);


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