束の間の夕刻(新一×快斗)R18
※快斗くん視点
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こっそり次の計画を立ててたら、工藤が勘付いた。
探偵ってのはマジ面倒だ。
「函館か。いつ動くんだ」
「話すか、バカ」
「否定しないんだな」
否定したって否定しなくたって、一度喰い付いたら放さない探偵の貪欲さは嫌と言うほど解っている。だから。
「答えるわけねえってわかってて訊くな」
「絡みたい気分なんだよ」
「ヤナヤツ。絡むなら帰ろっと」
「泊まっていけ」
「命令かよ。何様だよ。知るか」
風向きが怪しい。
てか、ヤバイ。
この流れは工藤が特に高ぶるアレだ。
鼓動が早くなるのを悟られないよう、ポーカーフェイスを保ちつつ俺は立ち上がった。
常日頃すれ違いばかりの俺たちは、なかなか二人で逢う機会なんかなかった。特に工藤が工藤に戻って探偵として公に活動し始めてからは、なおさらだ。
だからようやく訪れた今日という日、俺だって “そうなる” ことを想定して工藤を訪ねてきたんだ。
だって…互いの思いを確かめ合った ”初夜” っていつだったっけ?
俺の正体が工藤にバレて間もなくだから、けっこう経つ。
━━━ あの時は初めてで、勝手が解らなくてマジ大変だったっけ。
無駄に豊富な工藤の知識のせいで余計に混乱させられて…。
いきなり “あんなカッコ” させられたり、初心者なのに “あんなトコ” まで✕✕したり……。
ってやべえ、気が付いたらソファに押し倒されて唇塞がれて身動きとれなくなってる…っ。
「ま…まて、工藤、こ、ここですんのか?」
二階の部屋に移動するとか、せめて明かりを消してカーテン引くとか。
いやいや、なんか次の獲物のこと訊いてただろ━━━
(あ、ああ…っ!)
深い。
体の奥底に工藤の熱い塊を感じる。
その塊が俺の体の芯を揺らして、衝いて、何度も震わせる。
狂おしいほど感じている。
感じてる自分が恥ずかしくて、つい工藤のことを疑ってしまう。
こいつ、俺と同じ初心者のはずなのに、どうしてこんな━━━こんな手練手管を使えるんだ。
おかしいだろ、同い歳で。
『く、くど、…てっめ、どこで、こ、こんな…』
ああっ……!!
文句を言おうとしてるのに、言葉にならない。
本当に良すぎて…どうにかなってしまいそうだ。
俺ってどっかおかしいのかな。そんな心配までしてしまう。
『まっ…、待って、工藤…あっ!』
言葉は喘ぎにしかならず、恥ずかし過ぎて目が開けられない。
夕刻の陽が斜めに射す部屋は、こんな秘め事をするには広すぎるんだ。
━━━苦しいのか…?
耳もとで意外なほど穏やかに囁かれて、俺はかろうじて首を横に振った。
切なすぎるほど感じてる。それが、恥ずかしいんだ。おまえに見おろされて喘ぐ自分の姿を想像すると、情けなくてどうにかなってしまいそうなんだ…。
ふと目元を拭われていることに気付いて目を開けた。
開けた途端、大きな涙がどっと溢れ落ちるのが自分でわかった。
『快斗…』
突然ぶるっと全身が震えた。
自分が震えたのか、工藤が震えたのか。
考える間もなく立て続けに烈しい衝撃に襲われ、俺は痙攣するように体をこわばらせた。
『あうっ』という声と熱い吐息が喉もとにかかり、俺の上に倒れ込む工藤の背を痺れた腕でかろうじて抱き締めた。
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気が付くと快斗は消えていた。
結局、逃げられたか。
もっと北海道のことを聞き出すつもりだったのに…、抱きしめて快斗の匂いを吸い込んだら、もう抑えが効かなかった。
アイツをなるべく苦しめずに少しでも良くしてやれるよう、ずいぶんアレコレ研究したんだ。分かってくれたかな、オレの努力を。
言ったら殴られそうだけど、繋がっている時の快斗の色っぽさといったら筆舌に尽くしがたい。素の快斗と、怪盗でいる時のアイツとのギャップをもっともっと独り占めして堪能したい。
放さないぜ、快斗。
北海道へはオレも行く。
次こそ獲物の情報、少しでも聞き出してやるからな。
20240217
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久々up、毎度のパターンにてお粗末様でした(汗)。
だって新作映画『100万ドルの五稜星』予告新映像見ました?!! はー もう楽しみ過ぎて今から4月の有休申請根回ししてますよ。
キッド様ったら前回は京極さん・園子ちゃん、今回は平次くん・和葉ちゃんとカップルとの絡み付いていますが、青子ちゃんも出るってほんと?! んで中森警部が…とか脳内ぐるぐるしっぱなしですよ! 公開が待ち遠しいです。あー楽しみだ〜!
●拍手御礼
いつもありがとうございます!!
「掠れた記憶」「恋患い」「夢落ちトライアル」「放課後」「不法侵入」「工藤邸襲撃事件」
拍手コメント御礼(^o^)
haluka様●正月明けのひとりごとに応援コメントありがとうございました! 更新滞りまくりですが、またたまにおいで頂ければ幸いです。
新作映画、楽しみにしてましょうね!
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