★画像を横にしてアップし直したら、せっかく戴いた拍手履歴が消えてしまいました(@@);;
ももももも申し訳ありません!_| ̄|○|||

雲の切れ間に(新一×快斗)
※もんもんする新一視点、毎度の軽めショート。
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まるで地鳴り、地響きだ。
轟々と音をたて屋敷を揺らす、地震かと思うほどの強風。
雨は止んだが、今夜の嵐はまだ当分おさまりそうにない。
起き上がり、窓を少しだけ開けて外を見る。
夜空は濃いグレーの雲に覆われてしまっていた。晴れていれば、大きな満月が輝いているはずなのに。
特に今夜は月が地球に最接近する特別な晩だというので、かなり期待していたのだが、残念ながら月の光は時折り流れる雲越しに朧ろに覗くにとどまっている。
「ちえっ」
窓を閉めて舌打ちした。
なんだか落ち着かない夜。心を脅かす、不穏な風の音。
こんな夜は普段なんともない〝ひとり〟で過ごす時間が、やけに長く感じてしまう。
睡いのに、眠れなくなる。
「…快斗のヤツ、来ねえかな」
声に出してしまった。
気分が落ち着かないと、つい独り言が出てしまう。
「あのバカ、来ねえかな!」
前にもこんな夜があったっけ。
まだ出逢って間もない頃だ…。
逢いたい。
逢いたい。
あの時は雨の音がうるさくて、眠れなくて、布団の中でずーっとそう呟やいてたら、ホントにあいつがやって来たんだ。
〝よう、名探偵!〟
何をしてたのか、雨に濡れてびっしょりだったけど。あいつの笑顔は満月みたいに輝いて、部屋が急に明るくなったように感じたっけ。
「………」
快斗のヤツ、今夜はなんかやらかしてたりしてねえだろうな。
高いとこ登ったりとか。
まさかと思うけど、ハンググライダー使ったりだとか。
いや、いくらムチャなやつでも、さすがにこの荒天の中を飛ぶほどアホじゃないだろう。
「あああ、快斗~…」
逢いたい。
完全に目が覚めてしまった。
オレは起き上がった。
時計を見る。23時33分。
そうだ。今からあいつんとこ行こう。
夏休みなんだ、少しくらい遅くたって…。
携帯を取り出した。決心したので躊躇なく快斗の番号をコールする。
起きてるかな。寝てるかな。それとも…。
『工藤?』
はや (‥;)!
コール音が聞こえる前に快斗が出た。思わずベッドの上で背筋を伸ばす。
『どうした』
「か、快斗こそ、早いな、でるのが。出先かよ? もしかして」
『まあな』
「・・・」
なんだ。家にいないのか。
急にテンション下がった。行く気満々になっていたのに。
「こんな夜に出歩いてんのか…。危ないぜ、看板とか折れた枝とか飛んでくるぜ」
『ああ、さっき危なかった。チャリが横風にぶわーって煽られてさ』
「早く帰れよ。怪我しないうちに」
「ええ? この風ん中、またチャリに乗って帰れってのかよ。向かい風は勘弁してほしいんだけど」
声が、ぶれて聞こえた。右と左で。
「───え?」
「やっほ。あはは、来ちゃった」
ベッドが沈んで、体が右に傾いた。
「わあっ!」
「いいねぇ、名探偵のリアクション。最高」
「かっ…、かか、か、快斗!!!」
「おじゃま。へへ、工藤がひとりで淋しがってんじゃないかと思って」
「…淋しかったのはおまえだろ?」
いつから部屋にいたんだ? オレの独り言、聞かれたか?
焦りながらも精一杯言い返した。声は上擦ってしまってたけど。
「ん、まーな。寝る時になると工藤のこと考えちゃって。毎晩眠れなくてさ…ここんとこ。一週間くらい泊まっちゃおうかな~、なんちゃって」
「快斗」
あんまり素直に告られて、オレは泣き出しそうになった。
さすがに泣くのはカッコ悪すぎると思ったので、オレは快斗をそのまま押し倒してぎゅうぎゅう抱き締めて、風をたっぷり孕んだ快斗の髪に鼻を押しつけた。
好きで好きで堪らない。一緒にいたい。
「〝なんちゃって〟は取り消せ!」
いいの?と訊く快斗に、オレは返事の代わりにキスをした。
20140811
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※画像は自分の携帯でこれを書いてる合間に撮ったものです(^^)/ 夜半には雲が少なくなって、お月様もっとよく見えるようになりました~。
※ええっと…そして以前書いた内容と被ってますがupしちゃいました(汗)。今夜は東の空に昇る大きな十六夜の月が拝めるといいなぁ…。
●拍手御礼
rina様、「七色の月」「ひとりごと」にも拍手ありがとうございました!(^^)!
わざわざ追加コメントも恐縮です。お気遣い感謝♪ これからもキッド様を一緒におっかけましょう!!
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