悪酔い(新快前提 平次&白馬→快斗)
※探偵と怪盗というベースが活かされてないパラレル設定、普通の高校生BLカップル・新一と快斗のお話の続編。快斗くんが純情でカワイめなのが特徴(?)です。今回は平次と白馬にダブルで襲われ大ピンチの快斗くんです……。
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優しく髪を撫でられて目が覚めた。
新一……。
「……?!」
――違う。ハッとした。
目を開けて、覗き込む二つの顔にビックリする。
「寝ぼけ顔も可愛いですね、黒羽君」
「ほんまやな。工藤のヤツ独り占めは許せんわ」
「え……? あ!」
ベッドの上だった。体を起こそうとしたが、白馬に背中から抱き締められていて動けない。
「?!」
状況が分からず、もがいて逃れようとしたが肩越しに覆い被さるように白馬にキスをされ唇を塞がれた。脚は前にいる服部にのし掛かられてやっぱり動かせない。
な――なぜ?
どうして―――?
ズキズキと痛む頭で思い出す。
昨日は……大阪から来た新一の友達の服部と、俺の同級生の白馬と四人で会って遊んだんだ。
最初は新一の家で。それから街に出てボウリングしたりゲーセンで遊んだりして……夜になってから白馬の家へ移動した。
両親が留守だからって白馬が家のお酒を持ち出してきて……みんなで回し飲みして……寝てしまった。俺も新一も強いお酒は初めてで、すっかり酔っ払って、雑魚寝して……。
ここは…白馬の家の客間?
―――新一は? 新一はどこ?
「……!」
服部が俺のシャツのボタンを外し始める。
「な…に、すん……!!」
「大丈夫や。やさしくするさけ」
「そうです。僕ら君のことが好きなんですよ。ですから乱暴なことはしません」
なに……言ってるんだ…? 二人とも。
ガンガンと響く頭。動かない体。
下に着ているTシャツを胸まで捲り上げられる。肌を暴かれる感覚にカァッと体中が熱くなった。
「ほ…思った通り、こらそそるで」
「工藤君とはもう経験済みなんでしょう?」
「…………」
経験? 新一と…?
――セックス……の事を言ってるのか。
「真っ赤やで、黒羽」
「正直ですね。心配しなくても工藤君は別室で眠っています」
「そ。ヤツには特に強いのを多めに飲ませたといたよって、昼まではグッスリやろ」
服部が俺のジーンズに指をかける。
がんがんと脈打つ頭の痛みに意識が奪われ、どうしていいのかわからない。
上体は白馬に、下肢は服部に抑え込まれていて動きは封じられたままだ。
「あっ…!」
くるりと体が返された。膝を着いて白馬に向き合い、背後を服部にとられる。
目の前の白馬はどこか醒めた瞳で微笑んでいた。白馬から逃れようと必死にもがくのだが、いなされ両脇の下に腕を通されて手が浮いてしまう。
(!!)
下腹が晒される感覚に竦み上がる。思わず白馬の背に縋ってしまった。
服部の温かな両手が俺の…肌を包んで揉むように動かされる。
「やっ…!」
「こんなに震えて」
ふふ、と白馬が耳元で笑う。
「ほなら、ゆっくり挿れてくで。暴れんなや」
服部の指が周辺をたどり、後ろに当てられる。竦む俺の体を押し拓き、徐々にその指先を埋めてゆく。
「ア…アッ!!」
ピリッと痛みが走った。怖い…!
丸く蠢く指先がぐっと深められる。
意識が飛びそうだ。頭が痛い。奥を探られる感覚に翻弄されて気が遠くなる。
逃がれようとするほどに体内を侵すものを締め付けてしまい、堪えられずに悲鳴が出た。
「や…っ、ああっ!!」
びくびくと反応してしまう。いつの間にか涙が溢れていた。
「!」
無意識に白馬にしがみついていた俺の頬を、白馬がその長い指先で包み込む。
深く口付けられ咥内をも侵されて、悲鳴さえも呑み込まれてしまった。
「――おとなしくなさい。服部君のつぎは僕ですからね」
後ろを侵す服部の指に遠慮がなくなる。やがて痺れを覚えるようになって、いったん解放された。背後で服部が狙いを定めているのが感覚で解る。
いや…だ……!!
いやだ! こんなのイヤだっ!!
新一、助けて!!
しんいち――っ!!
「どないした?」
「気を失ってしまいました」
「アラ…まじかいな」
「二日酔い状態でしたからね。極度の緊張と混乱で頭に血が上ってしまったんでしょう」
「どないする」
「どうもこうも…」
「せやなァ。このまま抱いたら俺らただのワルモンや。また別の機会を狙うか」
「そうですね…。黒羽君には災難でしょうが、今ならまだ悪酔いのせいに出来るかもしれません」
「よう云うのう。災難て人事みたいに」
「だって…。なかなかチャンスはないんですよ。普段は工藤君が目を光らせているし、黒羽君もこれでガードが堅いんです」
「ほんならもっとガードが堅とうなってしまうな」
「でしょうね。悩みどころです。黒羽君に嫌われたくはない。けれどもう我慢できない。無理にでも抱いて想いを伝えたいというところまで、僕も追い込まれていたんです」
「……そんな好きやったら、何で俺に先譲ったんや」
「さあ。こうなるとわかってたのかも。どこかで」
意識を失った黒羽の服を直してやりながら白馬がつぶやく。
「困って震える黒羽君の顔も見たかったんですよ。期待通り……それ以上にかわいかった。今日のところは満足ですよ、僕は」
「ハア……そらけっこうやったな。俺はもう一生黒羽に懐いてもらえんかもしれん。とほほやで」
「お互い様です」
――起きろよ、快斗。
ん……。
髪を撫でられる。ふわふわ。優しい手のひら。
「――しん…いち…」
「やっと起きた。快斗の寝顔、ずっと見てたんだぜ」
「……え?」
セミダブルのベッドに新一と並んで寝ていた。明るい。もう昼だと判る。
「どうした」
あれ? 記憶が――混乱してる。
すごく怖い夢を見た。あれは……夢だったのか?
「俺……いつから…ここで寝てたんだろ……?」
恐る恐る新一に訊いてみる。
「ん? 昨日ずいぶん呑まされたもんな。酔っ払って、オレと快斗がここ、服部は向いの部屋で休んだんだと思うけど」
「……」
わからない。はっきり異物が体内で蠢く感覚があったはずなのに、なんだかどんどん曖昧になってゆく。
夢だとしたら――俺、なんて夢見たんだろう。新一と一緒に寝てたのに。
ガチャ、と音がしてドアから白馬が顔を出す。
「起きましたか。服部くんは時間がないと言って少し前に発ちましたよ。二時の新幹線だとかで」
「あーそっか。メールしとく。ありがとう白馬。オレたちも顔洗ったら帰るよ」
新一と白馬の会話をぼんやり聞いていた俺に、新一が顔を向ける。
「……え? なに?」
「しっかりしろよ快斗。まだ酔いが醒めてねーな。シャワー浴びるか? 白馬がどうぞって言ってくれてるけど」
「う、ううん。……すぐ……帰る」
工藤と黒羽は仲良く二人並んで帰って行った。
黒羽はほとんど僕を見ようとしなかった。蒼白な顔をして。
かわいかった。
僕は服部に言ったように、本当に満足していた。
僕に縋り付き、震えていた黒羽。
やはり夢ではなかったと――あとで思うかもしれない。
それならそれで僕はいい。
それが現実だったと黒羽が思えば……それは彼と僕の共通の思い出になる。
ふふ、と思わず含み笑いをし、恋しい黒羽の温もりを思い出しながら、僕は二人を見送っていた玄関の扉を閉じた。
20120211
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※弁解(あとがき)
未遂ではありますが、なんだか最終的にダークサイドっぽい内容になってしまいました。「大丈夫かなコレ」と自分でも思いながら書いたんですが。。。
弁解しますと、妄想が浮かんだ時点では完全にやるとこまでいってたんです。しかし文章化するにあたり、そこまで服部くんと白馬くんをワルク書けなくて、こんな感じでむりくりまとめました……。新一も恋人のピンチにまるで気付かないお間抜けになっちゃってますが、同じ理由でもし新一が助けに現れたら、その時点で服部&白馬の二人が極悪人になってしまうので…(汗)。
とにかくスミマセン~!(@_@) m(_ _)m
[16回]