moonlight 新一×快斗

LAST LETTER 〜最後の予告状〜《2/2》
カテゴリ★ファーストステージ
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少年探偵団への怪盗キッドの予告状。

キッドが盗み出そうとしている『去りゆく真実』とは、まさか、本当に灰原が言うようにオレのことなんだろうか。

家に戻ると、快斗は消えていた。

朝まで置かれていた快斗の私物や身の回りの物一切のすべてが、快斗の気配そのものが、完全に家から無くなっていた。

どうして。

快斗のやつ、いったい何考えてやがる。

「ちっ、くそ。繋がらねえ」

電話しても、LINEしても、メッセージを送っても、ナシの礫(つぶて)。
がらんとした家の広さがやけに気になって──空虚さが迫ってくる。

快斗が何も言わず突然出ていったことと、あのキッドの予告状には、やはり関係があるのか。
ということは、あの予告状は “本物”…。


深夜になろうというのに、眠れやしない。

(ボーン…)

階下から響いてくる応接の時計の音。普段なら気にもしないのに、今夜は何故か背筋がぞくりとする。

快斗。
何考えてるんだ。
どうして何も言わず出て行った？
もうすぐ、やっと “本当に二人一緒にいられる” ようになるはずなのに。

(………)

もしかしたら。

これは、怪盗キッドからの最後の挑戦なんだろうか。

オレが江戸川コナンを消そうとしているように、今度こそ快斗も怪盗キッドを消すつもりなんじゃあ……。


───だが、だが本当に少年探偵団から “オレ” を盗み出すことなんて出来るか？

そんなことしたら、誘拐だぞ？

だいたい、江戸川コナンは終業式が済んだら学校からすぐに博士と空港へ向かう(筋書きになってる)んだ。わざわざ盗まなくったって、コナンは消えるのに。

“去り行く真実”って何だ。

灰原がいうように、それは本当にオレのことなのか？

真実を盗むって、どういう事なんだ？！










「おっはよー！ コナンくん！」

「おっす〜コナン！」

「コナンくん、おはようございます！」

「おめーら…元気だなぁ」

通学路で一緒になった元太・光彦・歩美ちゃんの三人に、寝不足のオレは隣を歩く灰原につられて大アクビをした。

「ねえねえ、快斗お兄さんに、怪盗キッドの予告状のこと教えてあげた？！」

朝っぱらから眩しいほどキラキラの眼差しで歩美ちゃんが訊いてくる。

「いや…まだだ。快斗兄ちゃん、急に実家に戻っちまって連絡つかなくて」

「えええ〜っ？！」

「マジかよ！」

「それは残念ですねえ。少年探偵団の副団員に昇格できるチャンスなのに！」

「は、は、は。どうだかな」

「あなたが呼べば来るんじゃないの？」

「おい灰原」

余計な事を言うな、と目配せすると、灰原はフッと鼻で笑った。

「それとも、黒羽のお兄さん、江戸川くんがいなくなったら少年探偵団をやめちゃうのかしら？」

「うそーっ、ほんとう？！」

「ちぇっ、ダメだな、アイツは！ 高校生のくせにミーティングにも遅刻ばっかりだしよ」

「黒羽のお兄さんがいなくても、僕らはコナンくんが帰ってくるまで少年探偵団としての活動を続けていきますけどね！」

おお！
そうだよそうだよ！
ですね、エヘン！

とかなんとか三人がわらわら盛り上がっているのを横目に、オレはタメ息を付いた。

コナンが帰ってくるまで…って。かわいそうだけど、オレは帰ってこない。
でも工藤新一として少年探偵団とはこれからもずっと一緒だからさ。
許してくれよな……

オレは無言のまま、やっぱり無言の灰原と3人の会話を聞いていた。
小学校の校門が見えてきていた。








20201202

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※お待たせしたわりに短い！進まない！ すみません。当初はコナンくんと快斗くんのパートのつもりだったのに、快斗くん登場せず(;O;)。そろそろスパーっと進めて締め括りに向かいたいです(-_-;)。

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名無し様、雫水様、いつも応援ありがとうございます！ もう少しお付き合い下さいませ（汗）。

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「閃光」「怪盗の落とし物（vs.京極編）」「孤島」「怪盗キッドと探偵諸君」「ミラクル・キッド」「怪盗の落とし物（平次編）」「予見」「業火妄想《中森警部編》」「業火妄想《寺井ちゃん編》」「業火妄想《新一×快斗編」「脱出」「囚人」「紺青の命運」等など、拍手ありがとうございました！

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