名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
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月光という名の真実 新一×キッド(R18)



「待てよ、キッド!」

チラとこちらを一瞥し、そのまま飛び立つ素振りの想い人を呼び止める。

「…何の用だ」
「ご挨拶だな。せっかく出向いて来たのに」
「掴まえたければどうぞ。どうなっても知らねーけど」
「あっそ。んじゃ遠慮なく」

つかつかと歩み寄り、肩を掴んで振り向かせる。

「乱暴だな。相変わらず…!」

有無を言わせぬ性急さで唇を塞ぐ。

奴がもがくから、シルクハットが落ちて転がった。
「…!」
唇を咬まれたが構わず屋上の手摺りに追い詰め、さらに深く咥内を弄った。

息が苦しいのだろう、俺の袖をきつく掴んで、キッドがーー黒羽快斗がうう、と呻く。俺はますます欲しくなる。

奴の脇腹に手を添えて囁く。
「もう痛まねえか?」
ハア、ハア、と息を乱したキッドは蒼く輝く瞳で悔しそうに俺を睨んでいる。

「おかげさまで…。名探偵の手篤い看護で助けてもらったことは感謝してる」
「全然感謝してるようには見えねえけど」
「それは…自分の胸に聞いてみやがれ」

落ちたシルクハットを拾おうと、視線を切った奴の首筋に俺は容赦なく麻酔銃を打ち込んだ。

「……………」

またかよ。またこういう展開かよ。

目を覚まして、快斗は見覚えのある部屋を、見覚えのあるベッドの上から渋々見渡した。
ああ。呼び止められた時、どうして無視してしまわなかったのか。どうしてアノヤロウに麻酔銃を撃たせる隙を見せてしまったのか。

(俺も、望んでいたからなのか)

力無く首を振る。

アノヤロウを庇って脇腹を撃たれ、気を失って担ぎ込まれて看病を受けたのがこの部屋だ。そして去ろうとした時に貧血を起こし、動けないままアノヤロウに襲われた。

その時の居たたまれぬ思いが蘇り、快斗は自分の体を自分で抱きかかえた。

そして、自分が丸裸にされてることに気が付いて「えーーーー?!」と叫んだ。



逃げられちゃ困るからな、と傲慢なアノヤロウは平然と言い放った。

「安心しろ。一式綺麗に揃えて別室に下げてある。もちろん発信機その他お前の気に召さないだろうブツを取り付けたりもしてない」

「どーだか」
「信用しねえのか」
「できるかっ。この状況で」

工藤が一歩一歩と近付いてくのを意識すると、冷や汗が出てくる。

「震えてんのか」
「裸にされてんだ。このヘンタイ」
「逃げ出せない理由を用意してやっただけさ」

かっと頬に血が上る。

「…どんだけ自信家なんだよ、名探偵殿は」
「簡単な推理さ。観察し、洞察すれば解る」
「……」
「快斗が、本当は俺に抱かれたがってるってこと」
「ーーこのッ…!」
予想していたのか振り出した拳はあっさりかわされ、逆に手首を掴まれる。
「捕まえた」
ニヤリと笑う工藤のあまりに不遜な態度にキレた俺は、加減なしの勢いで寄ってきた工藤に目一杯の頭突きをかました。
ゴツン! と鈍い音がして、星が散る。俺自身もその痛みに顔をしかめた。

「痛って、ちくしょう」
「ザマーミロ!いてて」
脱出しないと本当にやられる。本当に捕まってしまう。この探偵に。

シーツを掴んで立ち上がろうとした
俺は、右足首に何か――紐のようなもので枷を付けられていることに気づいて真っ青になった。

うそだろ……

ここまですんのかよ…と、後悔しても遅かった。
端正な顔を頭突きで傷つけられた何事にも用意周到な探偵の、怒りと情欲という火に大量の油を注ぐ結果になった。





「や、やめろよ工藤っ! 頼むから」
「ダーメ。頭来た。徹底的に犯してやる」
恐ろし過ぎる宣告に気が遠くなる。
「嫌だっ、卑怯だろ、こんなのって…!」
「おめーが素直じゃねえからだろ」

両手首を厚い布でグルグル巻かれ、左右に広げてそれぞれの先をベッドサイドに括り付けられる。
抗うのだが、工藤の怒りの表情が怖すぎて竦んでしまい(麻酔が完全に醒めてないせいもある)、テキパキと手際の良い作業にもこれが何を意味するか現実感が伴わず、あれよあれよと言う間に自由を奪われてしまう。とっくに奪われていたけど。でも、本気で拒むなら工藤がここまでして欲しがっている俺の――キッドの命を盾にしてでも拒絶すればいいのだ。

そこまで考えたら、涙が溢れた。

結局、嫌がってる振りを、工藤ではなく自分にしてるだけじゃないかって。
理性に捕らわれているのは俺で、欲しがっているのもやっぱり俺の方で。それを見透かされてるのが悔しいだけで。いましも心臓が飛び出しそうに鼓動が激しいのは、工藤が恐ろしいからではなく、俺自身が、俺の体が陵辱への期待に震えているから――。

頬に掌の熱を感じて、ハッと見上げると、零れ落ちる俺の涙を工藤が指で拭うところだった。
真実を見透かす強い光を放つ瞳。間近で見つめられることは、月光の下に生きる怪盗にはそれだけでつらい。

「どうして泣く」
「…探偵にはお見通しなんじゃねえのかよ」

言葉にするそばからポロポロ涙が零れて、情け無いことこの上ない。大泣きついでに俺は言った。
「拘束、解いてくれよ…。逃げないから。これじゃ、あんまりだ――」


少し苛め過ぎたか。
ほんのちょっぴり、探偵も反省する。しかし相手はようやく捕まえた怪盗だ。油断はならない。現に先ほどの頭突きには危うく昏倒させられるところだった。
やはりこのまま抱いてしまおう。解いてやるのは、動きたくても動けないようにしてからでいい。たとえどんなに非道だろうが、どんなに怨まれようが、今を逃しては俺の方が気が狂う。
――という、やはり勝手な結論に達し、怪盗の百歩譲った謙虚なお願いも却下されることになった。




「――ア、ァ…アアッ…!」

深く、浅く。揺さぶるように。もう一度。強く、優しく、深く。もっと深く。
快斗の中は熱い。こちらの僅かな動きにも反応し、繊細に震える。自由を奪った分、慌てず時間をかけて馴らしたから、前回より苦痛は抑えられているはずだった。羞恥という点では増したかも知れないが。
だが、こうして体を合わせていても、快斗は決して俺を見ようとはしない。瞼は頑く閉ざされ、ただ懸命に陵辱に耐えている。しかし口付けを拒むことはない。受け入れたのか、諦めたのか、そのどちらかの振りをしているのか。
どんなに俺自身を打ち込んでも、快斗の心は掴めない。こんなふうに陥れ、俺を刻みつけても、快斗は俺を見て微笑んではくれない。捕らえていても、捉えられない。だから余計にもどかしくて、手に入れたくなる。
酷い事をしている自覚はある。あの夜以来、いや――そのずっと前から俺は怪盗の幻影に囚われていた。欲しくて欲しくて、焦がれて焦がれて。奴が俺の腕の中で気を失った時、俺の中の何かが外れた。そして奴が去り際に貧血でフラついたのを見た瞬間、その外れた箍(たが)から抑えていた衝動が弾けてしまった。
奴はあの時銃で撃たれて(しかも俺を庇ってだ)かなり出血し、昏睡から醒めた直後でフラフラだったから、今夜のように拘束せずとも抑え込んで抱くことが出来た。無理やりだったのは同じだが。けど、抱いてるうちに俺にすがって名を呼んでくれた……気がする。俺も夢中で余裕があったとは言い難いから、気のせいだったのかも知れないが。時々は俺を見上げ、眼差しもくれた…はずだ。

「…ああ……」

快斗が苦しそうに首を振り、白い喉を反らせる。そして柔らかな髪がシーツに散る。思わず溜め息が出てしまうほど、そそる眺めだ。誰も知らないこんな姿を独占する悦びは計り知れない。
そして、我ながらタフだ。それもこれも快斗の切なく喘ぐ仕草が堪らなく官能的だからだ。おそらく自分では精一杯自我を保とうとしているのだろう。俺も解っていて、わざと限界までは追い込まないギリギリのところを攻めている。
意識を手放す一歩手前で、じわじわと快楽を植え付ける。姑息と思われようが、こいつを手に入れるためなら何だってする。




くるしい――。 熱いんだか、痛いんだか、とにかく耐え難い。
意志とは裏腹に、体が勝手に跳ねてしまう。
工藤は絶妙の間合いで突いてくる。悔しいとか恥ずかしいとか考える間もない。体の芯を弾かれるような、くすぐられているような、言いようのない感覚。背筋がぞくぞくと粟立ち、抑えられない喘ぎがこぼれてしまう。両手を戒められているので顔を隠すことも出来ないし、口を覆うことも出来ない。
(――あ)
工藤が俺に指を添え、潤んでいる先端を細くなぞる。
「くぅっ――ああ…っ!」
堪えようにも、後ろに深く含んだ工藤を締め付けてしまうことに躊躇して、どうしようもなくて、ただ涙だけが溢れる。つらい。呼吸すらままならない。
そうだ――俺はいま工藤に貫かれ、感じてしまっている。どうしようもないほどに乱されている。ここまでされては、認めないわけにはいかない。
貫いたまま、工藤が律動を弱めたのを感じる。(ああ…)細く息をつく。前髪を払われ、額に掌を当てられていることに気付くが、目を開けるのが怖い。工藤がどんな顔をして自分を見下ろしてるのか。哄っているかも。まんまと捕らえられ、探偵の意のままにされて、拒もうとも抗えずに体を捩らせて許しを請う愚かな怪盗。
(…あ、痛てッ)
おでこのたんこぶに触られた。てことは、偉そうな探偵の額にも同様にたんこぶが出来ているはず。
と思ったら、目を開けて顔が見たくなった。今も体は繋がれたままで、中にしっかり工藤を蓄えているけれど。なぜか工藤は動くのを止め、息を整えるように体全体を重ねてきた。鼓動が重なり、やがて交じり合うのを感じる。
俺は――そっと眼を開き、工藤を見上げた。


「快斗…!」
その瞬間、俺は達した。蒼い瞳に映る自分を見つけた歓びに。信じられなかったが、それだけで迸ってしまったのだ。
「う…く…っ!」
激しい快感に、快斗の胸に突っ伏して震えた。
「好きだ、快斗…っ」
「…く…ど…う……」
「お前が好きだ…、好きだ!」
俺は悦びの余韻に任せて絶叫した。
「最初に――言うべきだろ…それ」
快斗は困ったようにはにかんだ。俺を見て、微かだが確かに笑っていた。俺は幸福感に舞い上がった。
「無理強いして…ごめん。けど俺、ホントに…お前が欲しくて、あれからずっと――ろくに眠れなかった」
「……俺も…そうだった…かも…」
「かも――?」
ガバッと頭を起こすと、俺は愛しい想い人を見つめて微笑んだ。そして、おでこのたんこぶに優しく口付けた。痛いのか、くすぐったいのか、快斗がびくりと微かに身じろぐ。

「な…工藤…、も、手…解いてくれる?」
「うん?」俺は上機嫌だった。
「あの…俺も、おまえのたんこぶにキスしたい。…さっきはごめん」
赤い顔して、潤んだ瞳で、やっと聞き取れるくらいの囁き声で。悶絶しちまいそうなほどかわいい。

「いいよ――」
工藤の優しい眼差しにやっと安堵する。ホッとして、体の力が抜けた。
(……あっ…?)
体内に残されたままだった工藤に、再び力が漲ってゆくのをまざまざと感じて俺は息を呑んだ。

「工藤…?」
満面の笑みを浮かべ、工藤が俺の脚を担ぎ上げる。
「ちょ…工藤っ…やっ…まさか」
「せっかくだからあと3回はこのままな」
「え? ウソ…! 外してくれるって
――いま」俺の声は震えていた。
「真実を明らかにするのが探偵のツトメだぜ。そのためにはいかなる努力も惜しまない」
「な、何言ってんだよ…なんかチガウだろソレ?……てかズリィよっ、オニッ、 アクマッ」
「快斗がウソつくからさ。正直に俺に惚れたって言うまではダメ」
「ば――バカヤロォッ、工藤なんかシネ! 誰がっ誰がおまえみたいなゴーマン、な……あ、あ――!」
掠れ声の抗議も、すでに俺の耳には恋人の戯れ言にしか聞こえない。軽く突き上げ始めると、快斗は速攻反応する。俺の動きに揺さぶられ、頭を枕に沈めて唇を噛み、声を殺す表情は、何度でも見たい堪らない眺めだった。


そうして、ようやく快斗の戒めを解いてやったのは明け方を過ぎてからだった。泣き疲れてクタクタになった快斗は、それでも最後には俺の名を呼んでキスを贈ってくれた。根負けしたとも思えるが、それも俺の情熱の賜物だ。俺は幸せだった。


だから、目覚めた時に両手両足をぐるぐる巻きにされてることに気付いた俺はショックを隠せなかった。誰もいないから別に隠さなくてもいいのだが。
怪盗はマジックのように跡形もなく消え失せていた。つい先刻まで確かに腕にあった温もりの記憶だけを残して。
テーブルにすぐ見つかるようにナイフが置いてあったのは怪盗の情けか愛のメッセージなのか。
しかも、後で気付いたが、オデコのたんこぶにはご丁寧に「クタバレ」と落書きまでされていた。

――そうでなくちゃ面白くない。

俺はワクワクした。
この短いメッセージに込められた、怪盗の心の奥の、その深淵を覗きたい。

少々の苦難は厭わない。また怪盗を捕まえるだけだ。どんな難解な暗号だろうと必ず解き明かし、たとえ銃撃戦の最中だろうと乗り込んで、きっとまたあの白く美しくシャイな怪盗を手に入れる。俺にとって、あの怪盗キッド―黒羽快斗――こそが、何人たりとも決して傷付ける事の出来ない目映い光を放つ真実という名の宝石なのだから。


20110815

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