名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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変異《1/2》(新一×キッド)
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天を臨む大窓から朱い月明かりが射し込んでいた。
熟れたように膨らむ大きな月と目が合う。

オレは、並び立つ怪盗を振り向いた。



怪盗はオレを見て一瞬怪訝な顔をし、そしてハッと息をのんだ。

朱い月光を浴びたオレが、ヒトではない何モノかに取り憑かれていることに気付いたのだろう。

猛然と屹立する〝渇望〟は、文字通り餓えた獣のように目前の〝獲物〟に飛びかかった。






・ ・ ・ ・ ・ ・




───罠、だったのだろうか。

一週間前の半月の夜、工藤は俺に言った。

『満月の夜に、またここで逢おう』と。

そのとき、工藤の瞳が朱く光ったように見えた。

だが、気のせいだと思った。

気のせいだと思おうとしたのだ。



何か強い薬を飲み続けていると話に聞いた。

『その薬のおかげでこうしていられる』と。

そしてこうも言った。

『どんな副作用があるか、分からない』

副作用? 例えばどんな?

話の流れでそう訊いた。たいして気にもとめずに。

名探偵は俺から視線を外し、口許を僅かに歪めて呟いた。

『さあな。人ではなくなるかも』

悪い冗談だ。

工藤は、どうやら相当疲れているらしい。

もっと言えば、病んでいる。

だからか。
自らが抱える不安を打ち消すために、常に危険を求めて事件にのめり込んでいく。

工藤は不安と戦っているのだ。
俺には想像も付かない恐怖と。

どこか惹かれ合う絆を覚えていた俺に、工藤は余人には見せない不安を打ち明けてくれた。
もし工藤の身に何か起きたら、助けになりたい。

俺は、そう思った。







・ ・ ・ ・ ・ ・




『くどう…っ…!!』

驚いて避けようとする怪盗の言葉を、噛みつくように強引に奪った。

もがく頸を捉えて放さない。
血の味が滲むと、オレは愉悦の予兆に眩暈を覚えて平衡感覚を失った。

捕らえた怪盗ごと、絨毯の上に転がった。




会期外のがらんとした展示室。

床に収納されている展示物固定のためのフックを引っ張り出し、手錠の鎖を間に通してから気を失っている怪盗の両手首に輪を嵌めた。
抜け技が使えないほど狭く加工した特別な手枷だ。


脇に転がったシルクハットを蹴り、怪盗の長いマントを外す。無防備な襟からタイを引き抜いた。


窓の外の朧な明かりに、獲物の素肌が仄白く浮かび上がっている。
ケモノに化したオレには、暗がりでもはっきりと獲物の肢体を捉えることができた。
眺めているだけで呼吸が速く、鼓動が荒くなり、気が狂いそうにオレを急かしてくる。

怪盗が目を覚ます。
朦朧としているのか、ぼうっとした瞳でオレを見上げている。

ガチャリ。

『あっ!』

起き上がろうとした怪盗は、自分が手錠で拘束されていることをやっと理解し、絶望的な目をして体を震わせた。

「…寒いのか?」

オレは微笑んで怪盗に添うよう膝を着き、薄くなめらかな腹の上を手のひらでなぞった。

『!!』

口を堅く引き結んだ怪盗の喉元から、くぐもった悲鳴が僅かに漏れ出る。

「そうだ…、オレはおまえを犯す。狂うほど、存分にな」

ずっと望み、狙っていた、オレだけの獲物。

おまえを奪い尽くせる夜が漸く訪れたのだ。

おまえの中でオレ自身が真の解放を得られるまで、オレはおまえを放さないだろう。







変異《2/2》R18  へつづく


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