名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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怪盗の落とし物(新一編)
※キッド視点でスタート。かなり以前upの某話続編的な(..;)? オレ様系な新一です。
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落とし物だぜ、と奴──工藤新一が言った。


「落とし物?」

派手なショーを滞りなく終え、目的の品ではなかったお宝を返却し、俺はHYDE CITY MUSEUM 展望塔の屋外回廊から飛び立つところだった。

警察やテレビ局はダミーが首尾良く引っ張って行ってくれたので、多少気が抜けていたのかもしれない。

「名探偵…まだこちらにおいででしたか。さすがですね」

今頃ノコノコ現れやがって。
内心舌打ちしながら向けた俺の挨拶を、工藤は不遜に笑って受け流した。

「こんな大事なものを落とすとは、焼きが回ったな。キッド」

「落とし物など、無いはずですが」

勿体ぶった前振りの探偵を前に、慌てて懐を探るのは癪だ。
とは言え、無視して飛び去るには些か不安が残る。

なにしろ落とし物には少しばかり───いや、かなり痛い目に遭ったトラウマがあるのだ。

「見つけたのが〝また〟オレで良かったな」

工藤も〝前回〟のことを言ってる。シゴト中に生徒手帳を落とすという、思い出したくもない最悪の失態。

「このまま飛び立ったら拙いだろ? ちゃんと持ち帰らないと、この前よりずっと酷い目に遭うぜ」

「………」

ムカツク。

今のセリフは怪盗にではなく、俺=黒羽快斗に向かって言っている。
酷い目とはつまり……いや、いい。

よほど〝俺〟に戻ってぶちのめしてやろうかと思いながら、なんとか俺は怪盗として持ちこたえた。

「さあ、いつのお話をされているのか解りませんね。とにかく落とし物などしてはいません。名探偵の勘違いでしょう」

「へーそう。それじゃ此処から投げ捨てても構わないんだな」

「どうぞ。そんな物が本当にあるならね」

売り言葉に買い言葉だ。
心当たりは本当にない。
…無いのだが、心底、絶対、と言い切れないのが悔しい。

「?!」

ツカツカと歩み寄ってきたと思ったら工藤は俺の横を通り過ぎ、外周の突端のデッキに手を着いてヒラリとその上に飛び乗った。

なにを落とすつもりなのか。

工藤のブレザーの裾が夜風に吹かれ、激しく揺れている。

「いいか。落とし物、ちゃんと拾って帰れよ」

「なに?…あっ!!」

こっちを向き直ったと思ったら──工藤はゆっくりと喉を反らせ──まるでスローモーションのように背中から空に身を投げ出した。


「工藤っ!!?」


訳が分からない。

また罠か、追いかけたら麻酔銃で狙ってくるんじゃないか、と疑念が過ったのも束の間だ。
〝銀翼〟の時のようなリュックを工藤は背負っていなかった。

混乱しながら、それでも工藤が目の前で墜ちていくのをただ眺めていられるわけがない。


「なに考えてんだーっ!!」


怒鳴りながら翼を広げ、俺は空に飛び出した。




風を切る音。


真っ逆様に墜ちる。


僅か数秒の刹那が永遠のようだ。


仰向けに墜ちてゆく工藤の唇が動いている。




───落とし物は。




『オレさ』





頭が、真っ白になった。











・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




キッドはオレの下敷きになって唸っている。

このお人好しの怪盗は、無理な体勢でオレを庇うように着地したのだ。

もちろん予め場所の選択はしてあった。公園広場の開けた芝の斜面。
必ずキッドがオレを〝拾ってくれる〟と信じていたから出来た賭だ。

「キッド、しっかりしろ」

「うう…っ、名探偵、よくも…」

「おまえがオレを置き去りにして帰ろうとするからだろ」

「意味…わかんねーし…っ」

「素に戻ってるぜ」

「………あれ?」

キッドの指がオレの背に仕込んだ翼に触れていた。

「当然だろ。いくら怪盗でも仕損じる可能性はゼロじゃないからな」

「なんっだ…と、おおお~っ!」

キッドがガバッと起き上がる。

「博士に頼んで〝怪盗仕様〟に似せたコンパクトな翼を作ってもらったんだ。いくら何でもあの高さから保証なしで飛び降りる訳ないだろ」

「ますます、わかんねえっ!! テメエ馬鹿か! 馬鹿だろ! 無駄に危ない目に遭わせやがって!!」

「落ち着けよ、キッド。それかさっさと快斗に戻れ」

「…………」

グイッとオレを押し退け、キッドが立ち上がる。

「おふざけが過ぎます。なにが…、なにが落とし物はオレだ、だよ…!」

「快斗」

「今夜はこれで失礼します」

よほど混乱させてしまったようだ。言葉遣いがキッドと快斗を往き来している。まあ、混乱したところが見たくて仕掛けた事だが。

好きな奴ほど虐めたくなる。
チョッカイ出して、迷惑がられて。
それでも困った顔をするコイツが可愛くて止められない。

一度視線を切ったあとに目を戻すと、そこにもう怪盗の姿はなかった。
黒衣の快斗の後ろ姿が心細そうに遠退いていく。腕を押さえ、心なしか脚を引き摺っている。

跳ねた後ろ髪が風に揺れているのを見たら、もう堪らなくなった。

悪い癖だと思いながら、やめられない。

何が何でも今夜、快斗を抱く。

そう誓い、オレは快斗を追って駆け出した。







20190130
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※お粗末…。これもあまり上手くいきませんでしたが…落とし物括り、一応終結です(+_+)。

●拍手御礼
「拘束LOVE」「怪盗の落とし物(vs.京極編)」、カテゴリ★交錯 へ 拍手ありがとうございました!


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