名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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タンデムシート(新一×快斗)
※原作を少々もじってスタート。
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ピンポン! ピンポン!ピンポン!

休日の朝、情け容赦ないチャイムの連打で俺は叩き起こされた。



『ヘルメット買ったぞ! どっか乗せてってくれんだろ?!』

工藤だった。画面一杯に赤と黒のラインが入ったヘルメットが映っていた。


「んだよ…電話ぐらいしてから来いよな~」

「したよ! 寝てて気付かなかったんだろ」

「ほんとかよ」

ブツブツ言いながら後ろに乗った工藤の体勢を確認しつつハンドルを握る。

「そんじゃ飛ばすぞ! しっかり掴まってろよ!」


見慣れた街中を抜けて環状線へ。

免許を取って一年が過ぎ、千影さんに内緒で(手続きは寺井ちゃんに頼んで)新車を買った。SUZUKI GSX250R。

バイクにはグライダーで空を飛ぶのとは違う高揚感がある。
ついでに街を〝人目線〟で確かめられる。幹線道路の距離感や路地の抜け道、A地点からB地点までの移動なんかが肌感覚で解る。
ついつい〝怪盗家業〟に結び付けてしまうのは性というか、悪い癖だと我ながら思うけど。

───コツン!

メットが当たって工藤の声が聞こえる。

『あれ、東京ゲートブリッジ!渡ろう』

曇り空に浮かぶように海のゲートが見えていた。
了解の気持ちを込めてアクセルを回す。加速。腹に工藤の分のGも感じる。バンクでやや大きく車体を傾け、そのままの速度で分岐を左に入った。
工藤は難なく俺に体を預けている。

工藤を誘ったのはもう一月以上前だ。
そん時は軽い気持ちで、会話の流れで『メット買ったら乗せてやるよ』って言っただけだったけど。

でも、悪くない。
工藤となら、工藤がもしバイクに乗るなら、一緒にツーリングしたいな…なんて漠然と呑気に思ったりして。




「空いてたな、意外と」

「後ろ疲れなかったか、工藤」

「前がわかんねえから、快斗信じてくっついてるしかないからな。でも思ったより安全運転だった」

「たりめーだ。日本警察が頼りにする高校生探偵を、万が一にも事故に遭わせちゃ拙いだろ。てか、新車でまた事故るの俺だってやだし」

アハハ、と笑いながらメットを脱いだ工藤が髪をかきあげる。
海風がいい具合に吹いて、人気のない丘の小さなパーキングで俺は芝生に体を伸ばしてひっくり返った。

ゲートブリッジを抜け、新木場、浦安と湾岸を走って美浜で小休止。そこから一気に館山まで来た。
会話はなかったが、時間的にも距離的にも何となくここが折り返し地点かなと互いに思ってる。
バイクって会話しなくてもなんとなく〝意志が通じる〟って感覚があって、それが好きだ。人とも、バイクとも。

「ん?」

急に目の前が暗くなる。

工藤の顔が上から俺をのぞき込んでた。と思ったら互いに逆さの状態で鼻先にキスされた。

「…恥ずい事すんな」

「デートだからな」

「デートなのにこんだけ?」

俺が言うと、工藤は不敵に笑った。

「帰りがあるからな」

「そ…そーだよ。また同じ距離走んなきゃなんねーんだから」

不意に焦って俺は体を起こした。下手に煽って工藤がその気になったら、拙いのは俺の方だった。

「なんならペンション泊まるか、快斗。明日は平日だから空いてるぜ、きっと」

「イヤイヤ、帰るから。俺明日日直だし」

そそくさと立ち上がってバイクに向かいかけて、俺はドジッた。
芝生の切れ目の段差にブーツの踵が斜めに乗っかって足を取られ、ガクンとなったのだ。

「イテッ!」

ヤバイ。捻った。逆らわず転んだつもりだったが、足首がグキリとしやがった。

「やべ、捻った」

「捻挫した?」

「いや、そこまでは…」

ギア変える左足。動かしてみると酷くはないがやっぱり痛い。

「あー、まずい、挫いたかな。動かせるかな」

空を見あげた。
雲の隙間から、まるで映写機のように斜めに陽が射している。

「日直じゃ仕方ねーな」

ドルン。

え? 振り向くと工藤がバイクにまたがってエンジンかけてた。

「あれ? キーは?」

すっころんで鍵を落としたのか、俺。
てか、工藤。

「おまえ、バイク、乗れんの??」

「免許はないけどな」

「ええっ?」

「前に言ったろ。お袋がハーレー乗りでさ。ロスの友達のセレブん家のただっ広い敷地の中で乗り方教わって」

「へ、へえ…」

「だけど、ハーレーはスイッチ類が逆なんだよな。ちょっと待ってろ、少し練習する」

「え…、運転すんの?」

「足挫いたんだろ?」

「まあ、そうだけど」

ドルン!

工藤が俺のバイクに乗って公園内をぐるぐる走る。
ギアチェンジを数回繰り返し、ウィンカーを出しながら器用に狭いパーキングをスラロームし、八の字を描いて戻ってくる。

「面白れー。さすが小回り利くな!」

「………」

ぼーっとしてる俺の前に工藤が停車する。

「乗れよ。帰りはオレが運転する」

「え、でも、免許…」

「捕まんないように走るよ。もし捕まっても、快斗の免許見せれば大丈夫だろ」

「そ、そうかも…。イヤイヤ」

警察は困る。
だが自信ありそうな工藤のライドを見てみたい気持ちにだんだんなってくる。

「えーと、それじゃ。少し走って様子見て、湾岸手前で一度休憩」

「了解」

工藤がヘルメットのバイザーを下げる。
いちいち仕草が格好いいのがなんだかムカつくけど本当に格好良くて惚れる。
大丈夫か、俺。怪我したせいで弱気になってないか?

タンデムシートに跨がって工藤の腹に腕を回すと、間髪入れず GSX250R が走り出した。
加速で後ろに引っ張られる。
これ、自分が運転するより数段怖い。

『工藤!あんま飛ばすなよ!』

ゴン!とヘルメットぶつけると、工藤は了解と言うように左手を軽く上げた。

いちいち格好いい。惚れる。
バイクの振動だか自分の鼓動だかわかんなくなってくる。

前を見ずに工藤だけを信じて乗るタンデムシート。
悪くない。またそう思った。






20180723
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※お粗末ですフィクションでした(汗)。



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