裏切り者
カテゴリ★インターセプト3
※快斗くんサイドのフォロー編。進展はほぼナシです(*_*;
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誰かが、俺の脚を掴む。
無防備な状態の俺を…誰かが覗き込んでいる。
薄灯りに照らされて浮かび上がっているのはバーボンの貌だった。半分は淡く光を映し、半分は闇に溶け込んでいる。
これは…あの夜の記憶だ。
〝怪盗〟を剥ぎ取られた、あの夜の…。
下肢を這う熱に、ぞくりと体が震えた。
「…!」
誰かいる。現実の気配に気付いて我に返った。
ウォッカ。
いったい、いつからいたんだろう。
ウォッカは部屋の中央に立って俺を見ていた。窓もない狭い部屋だ。それだけで圧迫感を覚える。
俺はベッドから体を起こした。
表情は変えず、ウォッカは顎でテーブルを指し示した。トレーの上にパンや飲み物など簡単な食事が置かれている。
「食え。いざって時に使えねえんじゃ、飼ってる意味がねえ。兄貴がそう言ってる」
「……」
俺は頷いた。食べるという意思表示だ。
部屋を出て行こうとしたウォッカは、思い出したように立ち止まると俺に告げた。
「一時間後に移動だ。ここは撤収する。いいな、〝K〟」
ドアが閉ざされ、俺はまた独りになった。
未明にこの小部屋に戻ってからも、ほとんど眠れなかった。
ベッドに突っ伏してうとうとしているうちに甦ったのがバーボンに弄ばれた時の記憶とは…。
最低だな。
それでもまだ俺は生きようとしている。
「………」
照明の落ちたベルツリー・タワー展望台で対峙した工藤の顔を思い出す。
ヘリの爆音にかき消された工藤の声を。
俺を呼んでいた。なにかもっと言っていたのに、聞き取れなかった。
裏切り者、と言ったのか。
そうかもしれない。
だが…〝パンドラの秘宝〟は偽物だった。
鈴木財閥相談役の目利きで偽物を展示することは、絶対に有り得ない。
だとすると────。
展示ケースにあった〝パンドラの秘宝〟は資料で見せられたものとは違い、台座が付いていた。直接手に取った俺以外、台座のことはジンたちもおそらく知らない。
俺はヘリのシートに着く前に台座を掴んで捻ってみた。すると、思った以上に簡単に台座は外れたのだ。
俺はそれをヘリの隙間に押し込んだ。ジンには台座の無い偽のジュエルだけを投げ渡した。
偽のジュエルを仕掛けたのが工藤なら、可能性は高い。
あの台座は───〝発信機〟だ。
・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・
「兄貴、〝K〟に移動すると伝えてきやした」
「フ…早かったな、ウォッカ。おまえも少しくらい息抜きしたっていいんだぜ」
「……兄貴を差し置いて、そんなことは」
「ハッハッ。〝俺を差し置いて〟だと? 面白いことを言うな、ウォッカ。俺が〝K〟を囲ってるって意味か」
「い、いえ、そうじゃありやせん」
「どうせキャンティが似たようなことを言ってるんだろう。まあ、確かにそう言われりゃそうだがな」
「……」
「ヤツには俺たちに出来ねえことが出来る。昨夜みてえな芸当もそうだが、シェリーが残した仕事に関してもだ」
「へえ」
「使えるうちは使えねえようになっちゃ困るってだけのハナシだ。それを弁えてりゃ、いつでもヤツで遊んだって構わねえぜ」
「………」
おれが黙り込むと、兄貴は雑談は終ったというように煙草の煙を大きく吹き出した。
「ここは処分だ。ヘリは爆破して海に棄てろ」
「わかりやした」
20141005
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(以下いいわけ)
※どんどん間延びさせちゃってスビバセン(汗)。どこかでガーンと端折ってガツーンと進めたいと思ってるんですが (*_*;
そしてボレー彗星に関して、原作設定とは変えて話を進める予定です。パラレルなんで! 書きたいシーンだけ書くブログなんで~…って、毎回言い訳先行(>_<);;
●拍手御礼♪
「告白~風に消えた怪盗~」「ひとりごと」へも拍手いただきました。ありがとうございます(^^)///
★あっ、見ましたよ『まじっく快斗1412』! ファンとしてはもっともっと!と欲は尽きないのですが、素敵なカットもたくさんありました。青子ちゃん可愛かったしエンディングの快斗くん胸きゅんでした! そして隠し部屋や学校など細々設定刷新されてましたね。しかし一番目が釘付けになったのが…千影さんのムネ!グラマーでびっくりしました(←ドコ見てる?!)。あのボディーでファントムレディ…うーん、ダイナマイト///
来週からも楽しみですー(*^^*)!
[10回]