名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
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※『純黒』公開まであと二日! 初日初回チケットGET済みです♪  公式のカッコいい黒のメンバー観たら、こんなんupしてるのおこがましくて穴に入りたい気分になること間違いなし(@@)。楽しみです!


パンドラ~エピローグ《2》
カテゴリ★インターセプト4
※冒頭、快斗くん回想
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うとうと、浅い夢を見ていた。

お父さん。お母さん。そしてまだ幼かった頃の自分…。

誰かがお母さんに話しかけている。
肩に掛かる金色の髪。肌が白くて、眼が青い女の人だ。

俺を抱っこしてくれた。
そして俺の眼をじっと覗き込み、微笑みながら頭を撫でてくれた…。


(……!)


不意にイメージが浮かび上がり、重なる。
どくんと心臓が跳ね、俺は目を開けた。急激に覚醒する。

つい最近──同じ眼を見た。

あれは。あの瞳は…。






   
・・・・・・


白馬研究所で目覚めた翌日、俺は一度だけ〝参考人聴取〟を受けた。出向いてきたのはFBI捜査員二名。一人は赤井と名乗り、もう一人はキャメルといった。どちらも工藤とは旧知のようだった。
聴取に立ち合う工藤と俺とを見比べ、赤井は何故だか『なるほどな』と呟いた。

『〝黒の組織〟に関して日本警察には捜査権がない。逮捕者に強制送還の措置を執ることが出来るだけだ。従ってオークション参加者を含め逮捕者のほとんどはFBIを通じて国際刑事機構に引き渡される。ただし、組織幹部のベルモットと実行部隊メンバーは〝米国〟が引き取る』

もっとも、と赤井は続けた。

『ベルモットは捜査員に頭部を撃たれ、一命はとりとめたが昏睡状態。ジンとウォッカが乗ったヘリは、君らが飛び降りた数分後に沿岸に墜落した』

ベルモットが昏睡? ヘリが墜落しただって…?!

工藤は知っていたらしい。黙って話を聞いている。

『操縦席のウォッカは墜落する前に絶命していた可能性が高い。背中に貿易センタービル屋上での爆発によると思われる破片が突き刺さっていた。しかし、機体にあった遺体はウォッカのものだけで、同乗していたジンの遺体は周辺を探しているが未だに見つかっていない』

ウォッカがジンを逃がしたんですね、と工藤が言うと『おそらくな』と赤井は頷いた。


───ウォッカが、死んだ。


サングラスを外したウォッカの素顔は、とうとう一度も見なかった。

数週間に渉ってジンとウォッカに軟禁され行動を共にしていたというのに、俺にはFBIに話すことはほとんどなかった。

赤井はさほど突っ込んで訊いてはこなかった。話しながら俺の様子をただ観察しているといった感じだった。
赤井に付き従う寡黙で大柄なキャメル捜査員は、どことなくウォッカを思い起こさせた。
必要があればまた連絡する、と言って赤井はあっさり席を立った。
多分に工藤の存在が俺にとっての免罪符になっていたのは確かだった。


赤井が去った後、工藤と俺はしばらく互いに黙り込んでいた。おそらく工藤は行方不明のジンのことを、俺は死んだウォッカやスネークのことを考えていた。

敵とはいえ、言葉を交わしたことのある相手が死んだという事実は、思った以上に俺の心を鬱(ふさ)いでいだ。

スネークも、ウォッカも、何を望み、何を思って死んでいったんだろう。

生き残った俺は、これからどう生きていけば良いのだろう───。










・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・

   



「快斗、まだそんなカッコしてんのか。早く着替えろ!」

「俺やっぱパス」

「ダメッ。絶対連れて行くぞ。鈴木相談役にはすっげえ助けてもらったんだ」

「俺は頼んでねえ」

「(--#)どの口が言ってるッ!?」

「イテテテッ」


日常に戻って一週間。
工藤邸まで来たものの、どのツラ下げて行けばいいのか分からずグズっていたら、しまいに工藤がキレた。
ほっぺた抓られてケツはたかれて工藤の服着せられてネクタイまで締めさせられて首根っこひっつかまれてタクシーに乗せられて連行された。
行き先は鈴木財閥主催のベルツリータワー改装再オープン・パーティー。改装でそんな大層なパーティー開くこともねーだろうに。

俺…あの時ぶっ壊した側だし。
ただでも罪悪感覚えてんのに、肩身が狭いっつーか、当分引き籠もっていたい気分だってのに。

学校でもそうだ。青子もみんなも先生も(白馬がどんな根回しをしたのか)意外なほど何も訊いてこなくて、追試と補修でちゃんと三年に進級できそうだし…。こんなに上手くいくわけない。そのうちズドーンと落とし穴に落ちそうで怖い。

「なにブツブツ言ってる」

「言ってません」

「着いたぞ。しゃきっとしろ」






「やっと来よった。遅いで新快!」

「まとめて縮めて呼ぶな、服部」

「ええやん。快新の方がええ?」

「そのままでいい」

よくわかんないアホな会話を服部と工藤がしている。服部はポニーテールの女の子を連れていた。眼をくりくりさせて俺を見ている。会釈をすると、女の子はパッと笑顔になった。

「初めましてェ! あんたが有名なマジシャンの卵っちさん??」

「ハ?」

言うだけ言ってまた笑うと女の子は別のグループの方へ行ってしまった。よく見たらそっちには青子がいた。中森警部の代理らしい。毛利探偵んとこの蘭さんと一緒に少年探偵団の子供たちの面倒をみたりして、いつの間にか溶け込んでやがる。
和葉ーあまりはしゃぐなや~、と服部が呼びかけると、こっちのセリフやわー! と返ってきた。

照明が一段落とされ、壇上が明るくなる。拍手の中、鈴木財閥要人たちが現れた。
司会進行は相談役の姪、蘭さんの親友が務めていた。

やはり居心地が悪い。乾杯のあと隙を見て逃げようと思った。
工藤が離れた。いまだ。

「ケーキはいかがですか」

「え? (あっ、美味しそう)」

取り分けられたフルーツケーキが目の前に差し出され、思わず俺は動きを止めた。

「飲み物は何にします?」

「は、白馬じゃねえかよ」

ウェイターだと思った相手は、白いジャケット姿の白馬だった。

「工藤くんが戻るまで僕がお相手しましょう」

「けっこーだよ」

白馬とは特に顔を合わせにくかった。工藤からも、服部からも、灰原さんや千影さんからも、白馬が俺を助けるために四方に手を尽くしてくれたと聞いていた。復学に際しても白馬がいなければ、こうすんなりはいかなかっただろう。

ちゃんと礼を言わなきゃだめだと思い直し、白馬に正面向いた。

「白馬」

「はい」

うっ、言いにくい。何故だか異様に申し訳なさが募る。この感情はどこから来てるんだろう。

「いいんですよ」

「…なにが」

言葉に詰まっていると、白馬が穏やかに笑って言った。

「僕は本当に嬉しい。君が戻ってきてくれて報われました」

「………」

無意識に抑えていた感情が爆発しそうになる。
嬉しい。それは俺の方だ。
信じられないほど嬉しい。
突然泣き出したいほどの狼狽に襲われる。

「迷惑、かけたな…」

「構いません。これからも君の良き友人でいさせて欲しい」

白馬は俺の気配の変化を察したのか、それだけ言うとスッと離れていった。


少しして幾らか落ち着いたところに工藤が戻ってきて、鈴木相談役に紹介された。俺は『工藤の友人の黒羽快斗です。マジシャンの卵です』みたいなことを言った。さっきのポニーテールの女の子に話しかけられたせいで、咄嗟に口をついて出てしまったのだ。
相談役はでかい目を見開いて俺をギロリと睨み、それからワッハッハ!と高笑いして俺の腕をバーンと叩いた。

『おぬしのマジック、なかなかのもんらしいのう!』

え。あ、はあ、まぁ、それなり…ですが。

『せっかくじゃ、いまこのステージでひとつマジックを披露して見せてくれんかのう! ぜひ頼みたい!!』

えっ?! いま?!

「やれよ、快斗。いい初舞台だ」

「いや、だって、何も用意してねーし」

断ろうとすると、横からシルクハットと白の手袋が差し出された。

「寺井ちゃん!」

「用意は出来ております、快斗坊ちゃま。奥様もご覧になりたいとおっしゃっておられます」

「エエ?!」

振り返ると会場の奥に千影さんがいて、青子と一緒に手を振っていた。
げげげ、マジで?!
いきなりスポットライトに照らし出され、俺は身動きが出来なくなった。
やられた…、嵌められたーっ(@@ );;

『かつて世界に賞賛された天才マジシャン・黒羽盗一氏の御子息、黒羽快斗くんです! どうぞ!!』

沸き起こる拍手の渦。
また夢を見ているような気分になる。

寺井ちゃんが袖で助けてくれる。工藤に肩を押されて、俺はステージへ踏み出した。






20160414
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※言い訳はあとでタップリ…(*_*;  あと一回だけエピローグ続けます。それで締めの予定です~。


●拍手御礼
「Third time lucky」、カテゴリ★インターセプト へ、拍手ありがとうございます(^^)/


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