名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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奇跡の月と運命の彗星《9》
カテゴリ★インターセプト4
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「行くぜ、キッド!」

「るせー名探偵。指図すんな!」

やっと逢えたってのに憎まれ口かよ。
言い返そうとした時には、すでにキッドは身を翻していた。




「赤井さん、ヘリを狙ってください!」

ターゲットスコープでこっちを見ているはずの赤井さんに向かって叫ぶ。
ジンを挟んで、オレも駆け出した。



怪盗に戻った〝K〟の動きは素早かった。
ひらめくマントの白い残像に幻惑される。
工藤新一は怪盗とは反対方向。

探偵と怪盗。同時に挑んできやがるとは…。これが愉しくないわけがねえ。なんでこいつらが連むのか理解は出来ねえが。

左から怪盗の撃つトランプが立て続けに飛来する。
俺がサウスポーだから左手しか使わねえと思ってるなら。

「甘いぜ、ガキども!」

もう一丁を右手で取り出し、両腕を180度広げて同時に二人を狙い撃つ。

一発、二発。

工藤新一が突っ込んできた。耐衝撃仕様のアタッシュケースを盾にしてやがる。

「チッ」

工藤新一に気を取られた刹那、革手袋の甲に怪盗のトランプが突き刺さった。
怪盗が高く宙を舞う。囮のつもりか。続けざまに怪盗を狙い撃った。

アタッシュケースを投げ捨てた工藤新一が、バックルからボールを射出する。
着地した怪盗が〝何か〟を俺と工藤の間に投げつけた。

俺がサイレンサーを撃つのと、工藤がボレーシュートを放ったのは同時だった。
足元に転がってきた怪盗の仕掛けから煙が噴き出す。その煙を巻いてボールが飛び出してきた。

だが、向かってくると思ったボールは大きくカーブして俺の脇を通り過ぎた。

直後に響く轟音。

サッカーボールがヘリに当たった瞬間、炸裂したのだ。
爆風に襲われる直前、体当たりしてきたウォッカが俺に覆い被さった。





・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・

   

屋上に向かう途中、潜んでいた残党を服部が打ち倒してくれた。

「ありがとう、服部くん」

「油断すな白馬。まだおるかもしれん!」

僕の肩を哀さんの小さな手がぎゅっと掴むのを感じながら走る。

屋上へ繋がる非常口を見付けて服部が立ち止まる。扉の取っ手をそっと引いた。一度中を覗き込んでから僕を振り向き、服部は頷いた。そのまま扉を開けて階段へ飛び込む。
すると、冷たい夜風とともに不穏な気配が漂っているのに気付いた。

───血の匂い。

足元に散っているのは夥(おびただ)しい血痕だった。

踊場を折り返すと、開いたままになっている屋上扉付近に誰か倒れているのが判った。
哀さんがハッと息を飲む。

「ちゃうで。工藤でも黒羽でもない」

先に行った服部が低い声で告げ、僕らにも伏せるよう指し示す。

屋上で何が起きているのか。
倒れている人物が何者か判らなかったが、口髭をたくわえた口元は不思議と笑みを浮かべているように見えた。

「!!」

服部の後ろから外を覗こうと頭を持ち上げた途端、僕は白閃に目を射られた。

咄嗟に哀さんを抱えて突っ伏す。
轟音と焦げ臭い爆風が狭い空間に吹き込んできた。

「ヘリが吹っ飛んだで!」

服部が叫んだ。







・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・

   

「兄貴、大丈夫ですかい」

「なんともねえ。ガキどもは」

「兄貴の弾丸(タマ)で倒れてまさぁ。今のうちにあっちのヘリへ。アタッシュケースは回収しやした」



左肩に衝撃を受け、背中から屋上に叩きつけられた。体を返して起きあがる。痛みで痺れているが射抜かれてはいない。この新しいスーツは防弾機能も備えてるようだ。

───すげえや、寺井ちゃん。

寺井ちゃんは、俺が生きてると信じて用意してくれたに違いない。工藤と千影さんに託して…この怪盗の衣装とトランプ銃を。

ヘリの起動音。

燃え盛る炎の向こう、残った一機に乗り込むジンとウォッカの姿が垣間見えた。目を見張る。
ウォッカがアタッシュケースを持っている──?

「キッド、無事か!」

「おい工藤、アタッシュケースは?!」

「そのへんに落ちてないか?」

「アホゥ!」

俺は起動を始めたヘリのスキッド(脚)目掛け、走りながらワイヤーを発射した。






キッドと工藤の姿を認め、僕はその場でしばし放心してしまった。
その隙に哀さんは僕の腕をすり抜けていた。小さな背が屋上へ走り出す。

「あっ、哀さん!」

「待ていっ、白馬!」

追おうとした僕の肩を服部が強く押した。倒れ込んだ僕らの背後で衝撃音がし、バラバラと出入り口付近の壁が剥がれ落ちる。




「やめてジン!!」

白馬さんたちに銃を向けるジンに叫んだ。

そのジンの銃口が、ゆっくりと私に向かって動く。スローモーションのように。


解ってるわ。

私は組織を…あなたを裏切った。

でも、後悔はしていない。

後悔してるのは、ただ怖れ、逃げ隠れ、助けてくれた人たちをも危険な目にあわせてきたこと。
覚悟はとっくに出来てる。
あなたに撃たれるなら───。

「・・・?!」

ジンが伸ばした手に、銃は握られていなかった。
黒い革手袋の左手が私へ差し出されている。


───来い、シェリー。


ヘリの爆音で声は聞こえなかった。

でも、確かにジンはそう言った。


数秒がとても長く感じる。


私は動かなかった。

舞い上がるヘリを見ながら、ようやく首を振った。ジンにそれが見えたかどうか、判らなかったけれど。








ヘリを見上げる灰原。その向こうに服部と白馬もいた。
キッドがワイヤーを巻き取ろうとする動きに気付き、オレは慌ててキッドに飛びついた。

「離せっ、工藤!」

「放っとけ、パンドラなんか!」

「ふざけんな!!」




身体が急激に浮き上がる。
ローター音が高くなり、ヘリが飛行を始めた。煌めく街の灯と暗黒の海が目に飛び込んだ。
ヘリはその境界を東へ向かっている。

黒羽くん──と叫ぶ声が聞こえた気がした。
白馬…?
遠ざかる屋上に、見覚えのある姿が微かに見えていた。

俺と工藤をぶら下げ、月と彗星が輝く夜空を黒いヘリが飛んでゆく。冷たい夜風が俺のマントを激しく靡かせていた。







・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・



『千影さん、聞こえますか。二人をぶら下げたままヘリが飛び立ちました。早く来てください!』

「了解、白馬くん」

パイロットシートに向かってGoサインを出す。

「出番よ、寺井」

「お任せください!」







20160321
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※わー(><);; 視点切り替え等いろいろわかりにくくてスミマセン。自己満程度に展開簡略にしたつもりです(汗汗汗)。他にも動かしたい人物いるんですが捌ききれず(; ;)
※そしてモノクルについての描写が上手く出来てなかったので、遡って同タイトル《4》に少し手を加えてあります~(*_*;

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