サードステージ《2/2》R18
(快コ前提 新一×快斗)
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二人でいることが当たり前なんだって、ようやく気が付いたんだ。
やっとここまで…俺たちたどり着いたんだって――。
風呂上がりの火照った肌をすべる工藤の指先やら唇が、くすぐったい。
体を捩るとそのままウェアの裾を掴んでぬがされた。
裸になった背中にキスされて、くすぐったくてシーツの上で逃げ回る。
俺が上になって工藤を見下ろすと、工藤が微笑んでいるのが判った。
その唇に…俺からキスを落とした。
あの時みたいに。ふわと触れて――それから軽く三度。
覚えてるかな、工藤。きっと覚えているだろう。
俺からの合図。
ちゃんとコナンも、工藤も、同じだってわかってて好きだよって……俺の気持ち。きっと工藤なら解読してくれる。
触れ合う指先。重なる吐息。
キスを繰り返し、かけがえのない互いの温もりを慈しみ、歓びを分かち合う。
ただもう目の前の工藤が愛しくて堪らなかった。
かいと、と名を呼ばれ、うん、と応えた。
もう一度、かいと…と繰り返され、ああ、工藤も自分の名を呼んで欲しいのだと気が付いた。
くどう。
ああ。
くどう。
ああ……。
――しんいち。
そう名を呼ぶと、工藤は〝そうだ〟と言って俺を抱く腕に力を込めた。
乾き切ってない髪に工藤の指が通り、頭を支えるように持たれて体が震えた。
額や頬や鼻筋や口元や耳朶までキスされまくって、自然と吐く息が熱くなる。熱くなって――心だけじゃなく、体も感じていることを自覚する。
まだ成熟しているとは言い難い……自分の中芯がかたくなっている。
羞恥に囚われ体を返そうすると、見越したように工藤に肩を抑えられた。
あっ――。
工藤の指先が俺を辿る。かたちを確かめるように触れられて、たまらずに唇を噛む。
あ。あ。
声が漏れてしまう。工藤に触れられていると思うだけで張り詰めてゆく。あっという間に達してしまいそうだ……。
しがみついていた工藤が体を放す。縋るものがなくなって戸惑い、心細さに目を開けた。
しかし、気が付いたら熱く濡れたものが張り詰めた自分を包み込んでいて……それが工藤の唇だと……舌だと気付いて、俺は悲鳴を上げた。
アアッ…!
一気に全身が痺れ、迸ってしまったことを知る。
息があがり、目が開けられない。自分の腕で顔を覆った。
それでもなお続く工藤のキス。
工藤の指先。工藤の唇。工藤の舌先が俺の焦燥を誘い出し、炙り出し、続けざまに甘く強く俺を責め立てる。
逃れようと身を捩っても、抗っても、もう一度達するまで許してはくれなかった。
弛緩して動かない体を返され、工藤に背を抱かれる。
どうなるのか、予想はしていても怖い。それでも工藤の動きに逆らわず堪えた。
いちばん脆く、羞恥を覚える箇所を、その周辺から徐々に辿られて意識を灼かれる。
不意に体内に侵入されたことに気が付き、竦み上がった。
宥めるように腰に口付けられ、内腿を撫でられ……下腹に指を伸ばされてどうしようもなくなる。
やめてくれと、口をついて出そうになる言葉を懸命に飲み込む。工藤が……工藤が俺と一つになろうとしている。
力を抜こうとするのだが、どうしても強張ってしまう。
だが、ゆっくりと圧し込まれてくる先端を含んでしまうと、あとは一気に奥まで深く貫かれた。工藤はギリギリまで堪えていたのだろう、体を内側から押し拓かれる信じられない感覚に俺が悲鳴を上げても、もう抑えられないようだった。
体の中に工藤がいる。工藤が俺を感じて、俺を求めることに夢中になっている……。体を侵される苦しさより、愛おしさが勝っていた。つらくても耐えられた。
強く、浅く。深く、何度も突かれ、穿たれて、声すら出なくなる。やがて――苦痛ではない感覚をふと覚えて目を開けた。
向かい合わせに俺を抱えて貫いている工藤の顔が目の前にあった。
工藤が、俺を見詰めている。ぽたりと俺の頬に熱い滴が落ちた。
くどう……!
もっと近付きたい。もっと深く。溶け合って――ひとつに。
工藤の肩に腕を回すと、工藤も俺の背を抱き、そのまま体を揺り起こして俺を持ち上げた。
…………。
繋がった部分が灼けるように熱い。
起き上がった体を工藤に預け、乱れた呼吸を繰り返す。工藤の額に額を押し当てた。
一時、見つめ合う。
雲間から月が顔を出したのだろう。気付けば互いの顔の半分が青く浮かび上がり、鏡のようなお互いの姿に魅入られていた。
吐息を重ね、体温を同じくし、鼓動すら一致したかのように――いま完全に同一になっていると知り、その歓びに満たされて……どちらからともなくキスを交わした。
甘く。何度も。嬉しくて涙がでた。こぼれた涙を工藤の唇に掬われる。俺も同じ様に濡れた工藤の睫毛にキスした。
小さく照れたように笑いあって……ふっと工藤が体を揺らした。
その瞬間、突然激しい衝動が湧き起こり全身を駆け抜けた。
止まらない。止められなかった。
あ、あああっ……!!
がくがくと揺さぶられ、力尽きて工藤にすがりついた。
工藤も大きく息をしている。
そのまま動けずにいた。
そうして肌を寄せあい、ひとつになった歓びの余韻に二人静かに漂っていた。
月明かりが再び雲間に隠れてしまうまで――。
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腕にかかる重さが、軽くなっていた。
どこかで――そうじゃないかと――途中から感じ始めていたので、それほど驚きはしなかった。
ああ、やはりそうだったのか…と、だからあれほど切ない目をして急いでいたのかと……予感が当たっていたことを知った。
目覚めてみると、並んで眠っていたのは数時間前まで工藤新一だったはずの、俺の小さな恋人のコナンだった。
まだ眠る小さな頬がかわいくて、じっと見ていた。眩い朝陽の降りそそぐ中で、その微かな吐息が愛おしくて。
前髪をよけて、額を鼻先で軽くなぞってみた。すると恋人は睫を震わせ……ゆっくりと瞼を開いた。
俺は微笑んで目覚めたばかりの恋人を見つめた。
「おはよ。名探偵」
「……はよ」
「はよ、じゃねーよ」
コナンの唇にキスした。
そっと、ふわりと。触れるように。
それから――軽く、つつくように三度。
目を開けてみると、コナンが笑っていた。笑って俺の首に細い腕を回してきた。
くるりと回転して、俺はコナンを胸の上に乗っけて抱き締めた。
苦しくないように、そっと。
そっと、しっかりと、抱き締めた。
20120408
[14回]