名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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サードステージ《1/2》R18
(快コ前提 新一×快斗)

『ファーストステージ』&『セカンドステージ』のつづきです。

――――――――――――――――――


落ち着け。

口もとまでバスタブの湯に浸かりながら、俺は一生懸命自分に言い聞かせていた。


そうだ――突然大きくなって目の前に現れた工藤に、すっかり動転してしまっていたけど。

工藤はコナンだ。心は同じ。
なにもびびることはない。

見た目がコドモだろうがオトナだろうが、惑わされる必要なんてないんだ。俺はちゃんと…コナンが、小さな名探偵が本当は工藤新一だって知ってて好きになったんだから。
コナンが俺を――〝怪盗キッド〟の正体が黒羽快斗だと解っていて好きになってくれたのと同じ。



あの夜の、美しい月を思い出す。


ただそばにいられる事が嬉しくて、楽しくて。時間が経つのも忘れ――それじゃまたと手を振って別れてからも、振り向いてじゃれあうように話を続けた夜。

そうだよ……。
工藤は、あの時のコナンと変わりないはずだ。
なんにも心配いらない。てか、俺が引いたら、コナンが…工藤が可哀想だ。やっとのこと――何故急に元の姿になれたのか分からないが――戻ってきたのに、俺が逃げ出したりしたら。そんなことしたら。

好きだと、ちゃんと言ってくれたのに。

ああ…そうだ……。

元の姿に戻ったら自分の方から想いを俺に伝えると、確かにあの夜言ってくれていたのに。
なのに、俺は驚いて……後退さったりして。

ゴメン、工藤。ゴメン。

なんだか泣きたくなって、俺は顔を覆った。





―――あ。……あれ?

愛しい記憶に浸っていたら、すっかりのぼせてしまった。

あれ? いま何時? 俺…何分バス使ってた?



くらくら。のぼせて熱い。

ヤバい。どうしよう。工藤、俺が逃げたと思って怒ってるかも……。

いろんな思いが入り混じって、超複雑にドキドキしてくる。
いやいや、落ち着けって。
なにも最初から主導権を譲ることはない。立場はイーブンだ……そのはずだ。
よーし、少し強気でいくぞ。工藤は俺が抱き締めていたコナン本人なんだ。怖いことなんか、これっぽっちもあるはずが―――



ある、は、ず……が。







ドアを開けたら、中は暗かった。



すっ と立ち上がった工藤は……そのシルエットは素裸だった。

俺は思わずドアを閉めた。



ごくり。


は、入れねぇ。

入れねぇよーーーーーっっ!!!!


ガチャ、と中からドアが開けられる。
(ひぃ!)
竦んで固まった腕を掴んで部屋に引っ張り込まれた。

(うわっ、うわわ~っっ!!)

抱き締められ、心臓が体の中から飛び出しそうに跳ね上がる。

灯りの落ちた室内。

窓の外の木々の梢が揺れてざわめく音。あとは工藤と俺の少し早い吐息と、耳鳴りのように響く自分の鼓動の音だけ。


「……あ、ご、ごめん、工藤。いろいろ思い出してたら、つい長湯しちゃって……」

工藤は無言のままだ。
それ以上何も言えなくなる。どうしていいのか分からなくなる。


……だめじゃん、俺。

俺も言わなきゃ。自分の想いを、今こそちゃんと工藤に伝えなきゃ…!

意を決して口を開いた。

「工藤……、俺、俺も―――」


う。






音がなくなる。

なにも聞こえない。




ああ……。静かだ―――。






まるで溶けてゆくように。

とろけてしまいそうに、心地よい。


工藤とキスしてんだ……俺。

じんわりと、やさしい想いに満たされる。

ひとつになりたい。ううん、もともとひとつだったんだと―――そんな気がしてくる。そうか。工藤は、俺の……。


「…………かいと……」

「…………」

掠れた工藤の声に胸を打たれる。
泣いているんじゃないのか。まさか……。

「くどう…?」

「ずっと、こうしたかった」

「…………」

「ふ。ハダカでびっくりしたろ。いまさ、オレが本当にオレなのかどうか、なんだか不安になっちまって」

「泣いてたのかよ、それで……」

「バァロ。泣いてなんかねーよ」

否定していても、耳にかかる工藤の吐息とその言葉は、それでもやっぱり温かく湿っていた。
俺は思わずぎゅうう、と工藤の背中を強く抱き返した。

「いてえよ、ばか快斗」

「俺もおまえが好きだ、工藤」

「ばか……快斗」

「好きだよ。前から。ずっとずっと、おめーのことが大好きだった」

「…………」

「コナンだった時も。今も。好きだよ、工藤。……わっ!?」

工藤が不意に屈んだと思ったら、腿のあたりに腕を回されて、体を持ち上げられた。

「お、おい、工藤っ」

「おまえにはいっつも抱っこされてたらからな。お返し」

ぼすん! と、ベッドに背中から落とされ、工藤が勢いのまま俺の上に乗っかってくる。

薄闇の中で見つめ合い、互いの瞳に映る自分の影を確かめた。

素直に、愛しい想いに溺れたい。

いまから俺たち、やっと〝元に戻れる〟。
二人でひとつの形に。

偶然出逢い、偶然惹かれ合ったわけじゃなかったんだと―――。

いま、わかった。
俺たち、別々の運命を背負ってたんじゃないって。こうしてひとつになるよう元々生まれついていたんだって。

二人でいることが当たり前だったんだって、ようやくその事に気が付いたんだ。

やっとここまで…たどり着いたんだって……。







――――――――――――――――――

『サードステージ《2/2》』へつづく


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