moonlight 新一×快斗

二回目の幕前
カテゴリ★ファーストステージ
※快斗くん視点から
─────────────────


「黒羽さん、どうしてここにいるの？ 新一、黒羽さんに会いに行ったんだと思うけど」

通りに出たとこで今度は私服姿の毛利蘭&鈴木園子お嬢様のコンビに捕まってしまった。

「ちょっと蘭、なんでそんな事わかんのよ？」

「あはは、そうなの？ 実は工藤んちに忘れ物してて取りに来たんだけど、アイツいなくてさ」

誤魔化しつつ、俺もびっくりしてた。工藤の幼馴染の彼女とは、“黒羽快斗として” は面識があるくらいでマトモに言葉を交わしたことはない。ていうか、キッドとしての接点の方が多かったから、避けてたんだ。

「新一、戻ってきてからずっと誰かを待ってるみたいだったから、そうかなって…」

（えっ）

適当にやり過ごそうと思ったのだが、一拍立ち止まったトコで渡ろうとしていた横断歩道の信号が赤になった。
間髪入れずお嬢様が畳み掛けてくる。

「ちょっと蘭、その誰かがこの子だって、なんで思うわけ？ キミ、あの推理オタクの親戚でしょ」

向き直ったお嬢様から突っ込まれ、（そーいやそんな設定あったな）と思い出して冷や汗タラリ。

「あの、工藤、俺のことなんか言ってた？ アイツがいない間に家に泊まったりしてたから、家賃払え〜とか？」

蘭さんには変装を見破られたこともある。誤魔化しつつ、つい目を逸してしまう。

「ううん。でも、コナンくんが……」

コナンくんの名前が出て、さらにドキッとする。

「あのガキンチョが、推理オタクとこの子に関係があんの？」

「なんて言うか…コナンくん、黒羽さんとすごく仲良かったし、新一もコナンくんとよく連絡取り合ってたでしょ。だから、二人ともコナンくんがいなくなって寂しいじゃないかなって」

「………」

信号が青になる。
俺は手を降ってその場を離れた。



───ふたりともコナンくんがいなくなって寂しいんじゃないかって…



何故だが、胸が痛い。

コナンくんと工藤の顔が重なって、走る俺の胸を大きく揺さぶっていた。










・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・




“真実” を手に入れたいのなら、自らの意志と力で掴みとることね。

さっきの女生徒から投げかけられた言葉は、ただ焦って上擦っていたオレの心を不思議と冷静にした。

そうだ。
オレはどうしてあんなに焦っていたんだろう。
自分だって快斗に会うのをずっと躊躇っていたくせに。それを訪ねて来ない快斗だけのせいにして…。

快斗も、オレも、ずっと迷っていたんだ。
あんなに望んでいたのに。互いを確かめることで、コナンが本当に消えてしまった事を認めるのが…たぶん、怖くて。

コナンを永遠に失った事を…。

でも、このままじゃダメだ。

快斗に、逢いたい。

二人で超えるんだ。
探偵と怪盗として出逢ってから、好敵手として互いを認めあってから、得たもの、失ったもの、その両方を。

もう一回、最初からおまえと出逢うんだ。絶対に。

だから見つける。

おまえを、今度こそ本当に捕まえて、そして離さない。





20210523
─────────────────


※upがまたしても遅くなりました。長かった（長くかかった）前振りがやっとなんとか終わり、タイトルを変えて今度こそエンディングに持ち込みたいです…(汗)。


●拍手御礼
「月光という名の真実」「熱 passion for you」「確率」「Start Over」

★拍手コメント御礼
お名前がなかったのですが、「Start Over」へ拍手コメントくださった方、ありがとうございました。完全自己満足でだらだらちびちび書き連ねていましたが、『癒やされました〜このシリーズだけでなく、他のお話もとても萌えて楽しかったです』等お言葉をいただき、感謝感謝です。
あと少し、このカテゴリを片付けたら、お気楽&ちょっとイケナイ読み切りをまた書きたいなと思っています(^_^;)。

[1回]