リバース《3/3》(新一×快斗)
カテゴリ★ファーストステージ
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「快斗がコナンを抱き上げる時って、こんな気持ちなのかと思ってさ」
オレがそう言うと、子供の姿のチビ快斗は困ったように俯いた。
だがしかし。小さなカワイイ快斗と楽しく戯れながら風呂に入ろう…というオレの目論見は、脆くも崩れ去った。
快斗のヤツ───脱衣所に入るまではおずおずして可愛らしかったのに、裸になってしまったら突然スイッチが切り替わったのだ。
生来の〝ガキんちょ〟モードに。
「うわぁー、風呂広い~!」
「自分が小さくなったからだろ。こら、ちゃんとシャワー浴びろ」
「へへーん」バッシャー!!
「ぶわっ」
快斗め、湯船の湯を手でかいて、オレめがけてお湯バシャ連続攻撃をかけてきた。
「やめろ、あちィ! あっ、登るな」
オレの注意に耳も貸さず、チビ快斗は湯船のへりに立って手を広げた。
「かいと、いきまぁす~!」
「こら快斗!」
オレが伸ばした手をすり抜け、チビ快斗はドボーンと勢い良くお尻から湯船に飛び込んだ。
バッシャアアアーーンン!!
ザバザバザバァ~~~!!
「ケッケッケ~、きっもちいい~っ♪」
今度は湯船の中でバタ足を始めやがった。
お湯が飛び散って湯船の中がどんどん減っちまう。
「いい加減にしろ!」
ざぶんとオレも湯に入って快斗を抱え上げた。
「ああん」
「ああん、じゃねえ。高校生のくせに。ガキか!」
「…ガキだもん」
「え?」
「高校生じゃない。今、俺ガキだもん!」
びっしょり濡れた髪から垂れた雫が、ぷっと膨らんだチビ快斗の頬を伝っている。
もしかして、不安を隠そうとしてワザとガキっぽく振る舞ってたのか…?
「快斗」
───ぴゅっ!
「わっ?!」
「隙あり! ケッケッケ~、もう一発お見舞いしてやるっ」
「こ、この…よせっ」
ちっこい手なのに、見事なコントロールのお湯鉄砲。
頭に来たオレもお湯鉄砲をお返しする。お湯鉄砲合戦だ。
気付けばオレもチビ快斗と一緒になって風呂で騒ぎまくっていた。
アハハと笑うチビ快斗の声が反響し、バスルームは湯気でいっぱいになっていった。
「くどう…、あっついよお…」
「まったく。のぼせるまではしゃいでんじゃねーよ」
「くどうだって」
「自分の体が縮んでるの忘れんな」
バスタオルにくるんだ快斗を抱っこして部屋に向かう。快斗は真っ赤な顔でオレにもたれかかって、ふうふう言ってる。
「おい寝るな、パジャマ着せるから。先に水持ってくる。ちょっと待ってろ」
「やだ、いかないで」
「すぐ戻ってくるよ」
慌てて乾かした快斗の髪は、まだ湿り気が残っていて襟足がくるくるカールしていた。軽く撫でて宥めてやると、チビ快斗はふううと息を吐いておとなしくなった。
水挿しを持って戻ると、快斗はすでに寝息をたてていた。
パジャマを着せないと腹が冷えちまう。そう思って快斗を包むバスタオルを掴みかけて、オレの目はチビ快斗の寝顔に吸い寄せられた。
上気した幼い頬。
綺麗にそろった長い睫毛。
桜色の花びらが綻んだような小さな唇───。
天使か!
寝てる時が一番可愛い~っ(*TvT*)!!
このままでいいか…。
オレは思い直した。バスローブのまま自分もチビ快斗と並んで横になる。
いい感じに温まって、欠伸が漏れた。
寄り添って小さな快斗の髪をかきあげ、白いおでこにキスをした。
チビ快斗はムニャムニャ言って薄く目を開けると、寝ぼけているのか、細い腕を伸ばしてオレの首に抱きついてきた。
「くどう…。そばにいて」
「ああ。いるよ」
背中に手を添えてやると、チビ快斗はえへへと目をとじたまま笑った。
「俺も。くどうの…そばにいる……」
・・ー・・・・・ー・・・・・ー・・
薄目を開けると、隣に寝てたのは工藤じゃなくて、コナンくんだった。
あれ…? いま、いつだっけ。
自分の手を見ると、モミジみたいに小さい。
小さくなったの、夢じゃなかったのか…。
それとも、まだ夢のつづきなのか。
俺、コナンくんと同じ子供になれたんだ。コナンくんと話をしよう…。
朝になったら。
コナンくんと二人、目が覚めたら…。
20141203
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※お粗末様です! どこまで引っ張るか迷ったあげく、説明不足ですがここでいったん締めることにしました(汗)。フォロー編を年内に書きたいと思います~(*_*;
●拍手御礼
「補完~夢」「発露」「リバース1・2」へ、拍手ありがとうございました♪
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