名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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月夜の告白(快斗×コナン)

――――――――――――――――――


十三夜の月の綺麗な夜だった。

恋人たちの逢瀬にはお誂え向きの、ムード満点の天と地の両方に散る星々。


待ち合わせたのはいつものビルの屋上。ホントならコドモを呼び出すには似付かわしくない場所と時間だった。けれども俺の恋人は、見た目は子供でも頭脳(とハート)は大人の〝名探偵〟だったから。

幾多の障害を乗り越えて〝怪盗キッド〟ではなく、俺自身――黒羽快斗として、こうして二人きりで逢えるようになるまでは――ホントにいろいろあった。
でも、もうすぐそんな障害の中の特別大きな1つが乗り越えられる。そんな予感がしていた。


もし……もし、俺たちの仲を遮る〝探偵と怪盗〟という相反する肩書きがなくなったら。
そうしたら逢うたびに抱かざるを得なかった、こいつに対する罪悪感もずいぶんと減るだろう…。そうすれば、そうすれば、俺は―――。


「なんだよ。やけに今日はおとなしいな」

「へへ。夢見ていたのさ。そう遠くない未来の、ね」

「ふーん」

少しばかり怪訝な顔をした恋人は、並んで腰掛けた俺を横目で見ながら『夢見がちなボーヤの相手は疲れるぜ』と言った。

「へへん。坊やはどっちだよ。コナンくん」

「うっせ! 見た目でガキ扱いすんな。……二人だけの時くらい」

そういうと、恋人は目を伏せて切なげな溜め息を付いた。

「――ゴメン。ガキだなんて思ってねぇよ。思ってたらさ……」

恋人の小さな手をとって、俺の胸にあてた。

(………………)

「…な。こんな心臓どきどきしてねぇよ」

「快斗」

小さな恋人の体を抱き上げ、向かい合わせに膝の上に乗っけて見つめあった。

「な……名探偵、不思議じゃね? どうして俺たち今こうしてるんだと思う?」

「どうして…って」

「何もかも違うのにさ。生まれも、育ちも、運命も。なのにこうして出逢って、だんだん気持ちが近付いてさ。不思議だよな、人の心って」

俺を見詰める恋人の瞳が揺らぐ。胸が痛い。恋しすぎて。愛おしすぎて。

「俺…、俺さ――」

いま、言おうと思った。胸に溜めてた思い。いまなら言える。この美しい月明かりに照らされた、二人だけのこの世界の中でなら。

「…!」

口を開こうとした瞬間、小さな手のひらが俺の口を塞いでいた。

「ばーろっ、言うな! オレが元に戻ったら、オレからおめーに言うんだから!!」

「…………」

「いいかっ、それまで言うんじゃねぇ。オレが快斗をちゃんと抱き締められるようになるまで、待ってろ!!」

「…………」

「わかったら返事しろ!」

月明かりでもそうと判るくらい真っ赤な顔をした恋人は、小さな両手を俺の頬に添え、俺の返事を待っていた。

―――いつか。いつか、もとの姿に戻ったこいつと――工藤新一と、抱き合える日が来るんだろうか。

「……うん」

「声がチイセエ!」

「うん!!!」

あははと笑って、それから俺はまだ真っ赤な顔したままの恋人にキスをした。優しく触れるキス。それから突っつくようにチュ、チュ、チュ、と三回。

「……バァロォ。でかくなったら百倍にしてキスのお返ししてやっからな」

「楽しみにしてるよ」

「バァロ。ぜってーだぞ。待ってろよ」




はっきりとした〝言葉〟はお預けになったけど、今夜俺たちは自分の気持ちを伝えあい、互いの気持ちを確かめあった。記念すべき思い出の夜になったんだ。
美しい月に見守られて。誰も知らない恋人同士として。

並んでくっついて他愛もない会話を続けながら、恋人のそばにいられるだけで俺は幸せだった。

こんなふうにいつでも一緒にいられる日が訪れることを、夢見ていた。






20120405


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