名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

遠い春
カテゴリ★ファーストステージ
──────────────────



快斗が“快斗”として初めて此処へやってきた時───待ち構えていたのが江戸川コナンではなく工藤新一だったことに、アイツはさぞびっくりしただろう。



「入るぞ、灰原」

「工藤くん? こんな夜中になに?」

コナンの姿でいても、周囲に(博士以外)誰もいなければ灰原はオレを“工藤くん”と呼ぶ。
その灰原は、博士の研究所でひたすら研究を続けていた。毒性を排除し、副作用を抑え、APTX4869 の本来の開発目的である “人にとって夢の万能薬” の完成を目指して。

「あー…、あのさ、オレを元に戻す解毒剤の件だけど…」

「黒羽くんにも言ったけど、100パーセント保証はできないわよ。ま、そうは言っても使うでしょうけど。でも今すぐはまずいんじゃない? 色々根回ししてからじゃないと、江戸川くんが急にいなくなったら大騒ぎになるわよ」

「………え?」

「なぁに、その顔。黒羽くんに聞いてきたんじゃないの?」

「え? ええ…?!! 灰原…なん…えっ?! ちょ、まっ、エエッ?!!」

「落ち着いて。工藤くんが急げ急げって言うから頑張ったんじゃない」

「で、できたのか!? げ、解毒剤が!!」

「まあね。100パーセント保証はできないけど。同じこと言わせないで」

「なんで真っ先にオレに知らてくんねーんだよ!!」

「だから、いきなり江戸川コナンが消えたら騒ぎになるでしょ?! まったく…同じこと言わせないでって、二度目よ」


かーっと頭に血が上る。


戻れる。

今度こそ、本当に。

工藤新一に、戻れるんだ!!

「灰原、ありがとう!」

「はいはい。言っとくけど、飲んで無事工藤新一に戻ったとして、今度は二度と江戸川コナンになれないのよ。…まあ、厳密に言えばなれなくはないけど、これ以上の変化は避けたほうがいい。あなたはこれまでとんでもない負担を体にかけてきたんだから」

「わかってる」

「本当にわかってるの?」

「もちろん!」

嬉しくて体が震えてる。

この小さな体になって、どれだけ苦労したか。どれだけ周囲に嘘付いて、どれだけしんどい目に遭ったか。

本当のオレに戻れたら。

本当に本当のオレでいられるんだ。あたりまえの生活に戻れる。高校年のオレに!
今度こそ、快斗とずっと一緒にいられるんだ!

「黒羽くんは江戸川くんに会えなくなるの、さびしいみたいよ」

「え?」

「毛利さんだって、吉田さんだって、円谷くんや小嶋くんだって、江戸川くんがいなくなったら淋しがるだろうし、帰ってくるのを待つと思うわ」

「え…? いや、だってさ…」

コナンが消えたら───。

「…そりゃ少しは淋しがってほしい気もするけど、しばらくすりゃ忘れるよ」

「そんなに簡単に忘れてくれるかしら。あなた、江戸川コナンとしてどれだけ彼らと過ごしたと思ってるの。仮に全部打ち明けたとしても、信じてもらえるとは限らないし、伝わらない気がするわ。あなたの正体をわかってるはずの黒羽くんでさえ動揺してたもの」

「快斗が? 動揺?」

「そう。二度と江戸川くんに会えないのよ、って言った時の彼の顔。不意をつかれたみたいに茫然としちゃって。彼にとってこれから工藤くんと過ごす年月と、これまでの江戸川くんと過ごした時間とは、簡単に一つに繋がるものじゃないのよ。他の人たちだって、きっとそう。あなたたちが同一人物だと知らなきゃなおさらでしょ」

「………」

そんなこと言われても。

そんなこと言われたって、オレの元に戻りたい気持ちは変わらない。当然だ。

だが、灰原が言う意味もわからなくはない。

オレにとって江戸川コナンは最初から仮の姿だったが、少年探偵団や蘭やおっちゃん、園子たちにすればコナンは一人の “人間” “仲間” なんだ。

「わかるけど、どうしろってんだよ!」

「面倒くさがらない。ちゃんと始末してから戻りなさい。春休みまで待って、それまでにキチンといなくなる理由を準備して説明して、みんなに別れを言うの」

「春休みまで?! そんな先かよ!」

「うるさいわね、下手に捜索願なんか出されたら困るでしょう」

「お、おまえだって同じだろ。宮野志保に戻るなら」

「私は戻らないもの。これからも灰原哀よ」





自分だけ灰原哀でいくのかよ。

心のなかで一人ブツクサ言いながら、オレは家に戻った。今後の事は時間をかけて考えると灰原に約束させられて。
快斗は明日早いからと、夕食後すでに帰っていた。

どうして快斗が不安定な様子だったのか、今さらだが理由が解った。

そういう事だったのか…。

快斗は灰原から何をどう伝えられ、何を吹き込まれたのか。
確かめておかないと、何だか心配だ。

工藤新一に戻れるのは本当に嬉しいが、事はそう簡単には進められない。

コナンがいなくなる。

考えてみれば、それは確かに小さな出来事ではなさそうだった。
嬉しいはずなのに、気が重くなる。

みんなに別れを告げるのか…。コナンとして。

江戸川コナンは消えるんだ。

仕方ないことなんだ…。







20200830

──────────────────



※カテゴリ★ファーストステージ、こちらも久方振りの追記でした(-_-;)。カテゴリとしてちゃんとまとめたい気持ちはあるのですが、更新ペースがかなり落ちている現在、今回のような “つなぎ” の話はつまんないですよね〜スミマセン! もう一回続けて、少しでも話を前進させたいと思います。←自分の首締めてる感(-_-;)

●拍手御礼
「月光という名の真実」「朧月」「激情」「5000メートル」「真贋」「雨音の回想」「紅い霆」「異形の者」

拍手コメントありがとうございました!
●雫水様
いつもコメントありがとうございます。キッド様を久々?イジメられて私も楽しかったです(^_^;)。
●名無し様
以前upしたお話も時々読み返してくださっているとの事、とても嬉しいです。ありがとうございます。快受け、やはり世間では少数派なので、これからも細々ですが快受け増やしていきたいと思います!
●うりゃ様
コメントありがとうございます! 意地っぱりな快斗くんと頑ななキッド様が大好物なので、今後も責めていきたいです。よろしければまたお訪ねください。ありがとうございました!




拍手[3回]