名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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カテゴリ★ファーストステージ 最終回
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「黒羽のにいちゃん、なんでいるんだよ。ヒマなのか!?」

オニギリ頭の元太に真顔で言われ、俺はアハハと頭をかいた。


「高校3年生は大学受験がありますからねぇ。時間があるなら勉強してた方がいいんじゃないですかぁ?」

間髪入れず光彦からも突っ込まれる。

「でもぉ〜、黒羽のお兄さんがいたほうがたまには助かるときもあるし、かわいそうだからクビは取りけしてあげようよ!」

トホホ。たまには…って。俺の立場、相変わらず弱すぎ。
しかし歩美ちゃんのありがたい進言のおかげで、5月最後の週末に訪れた阿笠邸で、俺はようやく “少年探偵団” 見習い復帰を認めてもらった。

「哀ちゃん、きたよー!」

「いらっしゃい。あら、黒羽のお兄さんも一緒なのね」

「うん。あのね哀ちゃん、黒羽のお兄さん、また少年探偵団の見習いになったから!」

“ふぅ〜ん” と流し目で俺をチラ見した哀ちゃんは、なんとなく以前と雰囲気が違って見えた。

「あっ、そうだ。あのね黒羽のお兄さん、哀ちゃんね、名字が変わったんだよ!」

「えっ」

「前は灰原って名字だったけど、こないだから “阿笠哀 ”ちゃんになったの!! スゴイでしょ!」

「アガサって…阿笠博士のアガサ?!」

実は工藤から聞いて知っていた。哀ちゃんが紆余曲折の末、ようやく最近 “阿笠” 姓になったことを。

「博士のこと、ちゃんとお父さんって呼んでんのかよ灰原…じゃなかった、ええと、阿笠よぉ!」

「いいわよ、これまで通り灰原で。お父さんなんて呼ぶわけないでしょ。名字なんて書類上のことだもの」

「でも、せっかくですから一度くらいお父さん、って呼んでみてもいいんじゃないですかぁ?」

元太も光彦もなんだか嬉しそうだ。
哀ちゃんの雰囲気が変わったように見えるのは、今の自分を喜んでくれる少年探偵団の存在が大きいのかもしれない。

「お〜、みんな来とったのか。おお、黒羽くん。久しぶりじゃのう!」

博士が満面の笑みを振り撒きながら登場する。

「あっ、博士おとうさんだー!」

「な、なんじゃ歩美ちゃん、なんでわしがお父さんなんじゃ?」

「お父さんでなければダンナさんとか…?! イテテテテテッ☆★!!」

軽口を叩いた俺の耳を容赦なく引っ張る哀ちゃん。指が小さいから余計に痛い!爪、食い込んでるしー!

「今度つまらない冗談言ったらただじゃおかないわよ」

静かに宣告されまじでビビる俺。マッ○サイエンティストを怒らせちゃいけない。
ワカリマシタッ、スミマセンッ、と謝りながら俺は哀ちゃんのいる場所から部屋の隅へそろそろと遠ざかった。





「へえ、探偵バッジ貰えたのか。よかったな」

「コナンくんの置き土産だってさ」

「そうか…」

その日の夜。少年探偵団の会合後、俺は工藤の家に来ていた。

「工藤が手を回したんだろ? 哀ちゃんの阿笠姓」

「まあな。本来存在しない “灰原哀” って人間を、実際の戸籍に入れるわけだから大変だった。宮野志保の戸籍は生きてたが、年齢が合わない。とにかく手間取ったよ」

「通常の手続きじゃ不可能だよな」

「ああ。灰原は絶対に7歳からやり直すってきかねーし、阿笠博士があんなに真剣にオレに頼み事してくるのも初めてだったし、博士にはコナンでいた間本当に世話になったからな。なんとかしてやらなきゃと思ってあれこれ手を打った。最後は結局ロスの親父を頼って一回アメリカ国籍取らせて、そこからまた裏技使って日本国籍って超ダブルウルトラCさ」

「まあ、みんな幸せそうで良かったよ。ホント…」

振り向くと、工藤がすぐ後ろに立っていた。瞬間立ち尽くす俺に工藤が軽くキスをしてくる。

「…あ〜、あの、えと、こないだは…あの、その、凄すぎたから、今日は軽めにお願いしたいんだけど…」

「ダメ」

「そんなぁ」

「しかたねーだろ。おまえが好きなんだから」

「……」

正面切ってイケメン名探偵に間近で吐息かけられながらイケボで囁かれてみ。誰だってクラクラしちゃうに決まってるだろ!

「き、きたねえよ…名探偵…。そんな恥ずかしげもなく…スキ…とか…5センチの距離で言いやがって…」

かああと熱くなって狼狽えて飛び退る。

「こら逃げんな、元コソドロ」

「元コソドロじゃねえ。元怪盗だ」

こんな日が来るなんて。
工藤と二人、なにものにも遮られることなく過ごせる夜が……。


───RRRRR!!


「はい、工藤です。どうしました、目暮警部」

ええ?!!

「わかりました。迎えのパトカーが着いたらすぐ行けるよう仕度してます」

「ちょっ、工藤っ…!」

ウソだろ勘弁しろよ!
今めっちゃいいムードになったとこじゃんか!!
この期に及んで謎に負けんのかよ俺?

「快斗、おまえも来い」

「なんで!? やだよ!!」

「怪盗キッドが狙われた」

「はぁ…っ?」

聞き間違い? 今なんて?

工藤がにやりと笑う。

「怪盗キッドの人気は衰えてない。例の少年探偵団ドラマの敵役としては最高の配役だからな。で、今の電話は怪盗キッド役の俳優が何者かに殺されかけたって事件だ」

「……その俳優、無事なのか」

「暗闇に誘い出されて後ろから襲われたそうだが、腕を傷めただけで済んだ。だが、かなり怯えていて撮影の再開が出来そうにないらしい」

「ちょっと待て」

「オレは警部たちと捜査を急ぐ。おまえはドラマの方に」

「ちょっと待て。俺に何させる気だテメー」

「最初にドラマ仕掛けたのおまえだろ」

「お、俺だけじゃねえ、哀ちゃんだって」

「オレは元に戻るために灰原にもすごく無理聞いてもらってきたんだ。借りは返していかなきゃな。オレたち二人で」

────え?! 俺、じゃあ今から怪盗キッド役の替え玉になんの? しかもまだその俳優が命を狙われてるかもしれないのに?!

だが、謎に向かってウキウキ身支度を始めた工藤には何を言ってももう届きそうになかった。


ああそう。
そっちがその気ならやってやるよ。
引退したとはいえ、なんたってこっちは “元・本物” なんだからな。

なんならまじで “怪盗キッド役” 奪っちゃうよ?! マジで盗んじゃうよ?!
いいの? いいのね?!
俺、怪盗キッドになっちゃうよ?!!!





江戸川コナンは消えたけど、コナンくんの存在は俺たちみんなの心の中にしっかり残ってる。
コナンくんがいたら──。
そう思う時も、きっとあるだろう。

工藤はこれからますます探偵としての活動を広げていく。
今まで以上に、果敢に謎を追いかけるに違いない。

俺には何ができる?
やれることをするしかない。

工藤のそばにいる。

絶対に工藤を独りにしない。

そして少年探偵団が危ない目に遭わないよう、でしゃばりすぎずフォローをしよう。


そんなわけで、怪盗キッドがこっそり夜空を飛び回る日が、これからもあるんじゃないかな。

───やるからには華麗に。

決して驕らず侮らず、相手の心を見透し、その肢体の先に全神経を集中して、持てる技を尽くし、なおかつ笑顔と気品を損なわず…
いつ何時たりとも、ポーカーフェイスを忘れるな。

だろ? わかってるって!




(了)
20210718
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※書いてるうちに補足しておこうと思ったあれこれが飛んでしまいました。今更ですが黒の組織の残党(?)がチラッと出てきたり、怪盗キッドが何者かに狙撃されたり(?)といったエピソードもあったんですが、このカテゴリの本筋ではないので(すごい言い訳)、このままスルーしてしまいます。探偵と怪盗のストーリーはこのあとも続くということで(^_^;)。
なかなかお話を締められず、最後は記事upの間隔も延び延びで文字通り自己満足になってしまいましたが、お付き合いくださった方、コメントくださった方、本当にありがとうございました!


●拍手御礼
「リセット」「5000メートル」「眠り言」「嘘と嫉妬」カテゴリ★交錯、カテゴリ★ファーストステージ各話 へ拍手ありがとうございました!



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