名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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偽り《2/3》(新快前提 白馬→快斗)
カテゴリ★空耳
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「やあ、黒羽くん!」

渋滞を避けるために使った抜け道。
そこを一人で歩く黒羽快斗を見つけ、僕は車のウィンドウを開けた。

「白馬」

「奇遇ですね。この道、いつも通るのですか?」

「……今日は一人で歩きたい気分だったから」

ほう。そんな事もあるのか。
夕陽が差した黒羽の表情は、僕の位置から少し翳って見えた。

「乗りませんか? 僕の家に招待しますよ。ここで僕らが逢ったのは偶然じゃない。謎解きの神の思し召しだ」

多少挑発する気持ちも込め、僕は〝怪盗〟に微笑んだ。当然この申し出は無視されるだろうと予想しながら。
しかし。黒羽は立ち止まり、小さく瞬きを繰り返して僕を見ると『急で迷惑でないなら』と言った。

「……もちろん。ではどうぞ、乗って下さい」

大人しく反対側のドアを開け、黒羽は僕と並んで後部座席に乗り込んできた。
走り出した車から外を眺める黒羽の横顔に気を取られながら、唐突に訪れた巡り合わせに、僕も穏やかではいられなかった。






「どうぞ二階へ。応接ではかえって落ち着かないでしょう」

黒羽はいたって普通の(友人の家に初めて招かれた高校生といった)反応を見せ、少し緊張した様子で僕について歩いてくる。
家の者は留守をしており、運転してくれていたじいやには用事を頼んだので、僕らは二人きりだった。

「僕の部屋です」

ドアを開け、先に入るよう黒羽に促した。

「…………」

僕の前を通り過ぎる彼の横顔を見つめる。整った表情は青冷めているかのように硬い。

───その頬が朱に色付き、淡い色の唇が開かれる様を見たい。

自室の扉を閉め、あらためて僕は単刀直入に訊いた。

「何故、僕の誘いを受けたんですか?」

窓際に鞄を置き、黒羽は背を向けたまま答えた。

「礼をしたかったから」

「礼?」

「……白馬が、もし」

何を言おうとしているのか。言葉を途切らせた黒羽は、俯いてそのまま口を閉ざしてしまった。

「僕がもし…何です?」

「…………」

「君らしくないですね。僕を警戒していたのではなかったのですか」

「俺は……」

そばに歩み寄り顔を覗き込むと、黒羽はハッと振り向いて目を瞠(みは)った。
僕はごく自然に黒羽の顎に自分の指を掛けていた。

口付ける。
柔らかく押し包み、感触を確かめるように小さな唇を味わう────。

想い人へのキスに陶然としながらも、僕は黒羽が何らかのリアクションを起こすと思っていた。 だが、黒羽は黙って僕のキスを受け止めている。
……なるほど。拒むなら、自ら誘いに乗る筈もない、というわけだ。

唇を放し、頬を捕らえたまま僕は黒羽を見詰めた。
しかし、目の前には硬いままの黒羽の眼差しがあるだけ。何の温度も感じさせない……まるで氷のようだ。

礼をすると言ったのは、こういう意味なのか? まさか、僕が望んでいるものを与えてしまえば、それで僕が満足するとでも思っているのだろうか。
自尊心を傷付けられ、僕の胸に痛みが走る。
黒羽の心はここには無い。なのになぜ急に僕を受け入れる気になったのか。焦れるような想いが突き上げる。

「僕の〝相手〟をしに来てくれた…というわけですか。〝お礼〟のために」

「…………」

僕の自嘲の言葉にも黒羽は黙して応えない。
黒羽の肩を強く掴み、僕は苛立ちをぶつけてしまった。

「工藤新一と喧嘩でもしましたか」

そのとき初めて黒羽の表情が動いた。僕から目を逸らし、唇を結んで。
その事に、僕ははっきりと嫉妬を覚えた。
自分の中に荒々しい気配が充ちるのを意識する。
僕は黒羽をベッドに突き飛ばした。






偽り《3/3》へつづく


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