名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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闇の虹彩《1/2》(××→キッド)
カテゴリ★闇に棲む蜘蛛
※ここに登場する〝スパイダー〟は、テレビアニメ版の〝暗殺者・スパイダー〟とは設定が異なります。
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「これはこれは怪盗キッド殿……。必ずまたお逢い出来ると信じておりました」



行く手を遮るように浮かび上がる黒い影。
〝スパイダー〟が揺らめき、恭しく俺に礼をする。

実体ではない。これはただの〝影〟だ。

囁くような、しかし脳髄の奥まで響くような低い声。
それはもっと別の場所から───まるで耳元に口付けられているかのように、俺のすぐ側から聞こえていた。
覚悟をしていても、恐怖を覚える。じわりと汗が滲む。

怪盗キッドを凌駕する謎のマジシャン。黒い仮面に半分顔を隠した黒衣の男。
何者かの意を受けて俺の前に現れ、俺を襲い────貶めた。

俺が次に夜空を翔る時、必ず〝スパイダー〟も姿を現す。それは確信に近かった。
初めて〝スパイダー〟が俺の前に姿を現した同じ場所。同じ深夜。ビルの高層階の風が舞う人工庭園での、これは俺にとって後がない対決だった。


「お手元に残しておいた〝クローバー〟、今夜戴けるのでしょうか? 美しいキッド殿のお心と共に…?」

「ふざけんな。取り戻しに来たんだ。〝怪盗の証〟を返せ、スパイダー!」

返ってきたのは密やかな哄笑。

ク、ク、ク、……と。俺を嘲笑う。

心を抉られるような恥辱が甦って全身が粟立つ。崩折れそうになる自分を懸命に叱咤する。

のせられるもんか。
俺を惑わせ、再び蜘蛛の毒で侵そうとしている……これは罠だ。
しかし、分かっていても次第に身動きがとれなくなってゆく。

違う。錯覚だ。

まるで見えない蜘蛛の糸に絡め捕られ、羽根をもがれてゆくかのような感覚。
恐怖という闇に縛られて────。








私は秘かに感嘆の息をのむ。

自ら姿を現し、私を誘き出すとは。

まだあれからさほど時は経っていない。
心と体をあれだけ痛めつけ────〝悪夢〟を植え付けておいたというのに。


〝怪盗キッド〟の正体は驚くほどに年若く美しい日本人の少年だった。
もちろん〝指令〟はある。それを果たすことはさほど難しくはなかった。
だが。

私は初めて出逢ったこの年若いマジシャンに、ひどく興味を覚えた。正確に言うなら魅せられた。言いようもなく惹き付けられてしまった。

なぜかは解らない。

遠いむかし私のライバルと目された〝あの男〟に重ねているのかもしれない。そうではないかもしれない。
突き詰めて考えてはいない。いずれ消す相手なのだ。
しかし、忘れられずにいた。
この腕に抱いた少年の素顔。素肌。
どう曲げようとも折ることが出来なかった少年の芯の強さ。潔さに。
自分の本性すら忘れ、本気で溺れかけた。

もしかしたら……ある意味では、私はすでに敗北しているのではないだろうか?
ふっとそんな思いが私の胸をよぎる。

この少年を手中にし、いつでも命を奪うことが出来たにも関わらず、そうしなかった。
指令を無視して逃がしたのだ。

もっとも、報告する義理はない。そこまで私は飼われていない。

そう、この少年との関わりは今は〝私のもの〟だ。私が決めるのだ。怪盗キッドをどうするかは、この私が。





パ・パ・パッ、と光が瞬く。
前と同じだ。 〝スパイダー〟の目眩まし。
そうはいくか!

俺はマントを翻して駆け上がった。空へ。攻めなきゃだめだ。
〝スパイダー〟の出方を待っている余裕はない…!





ほう…これは。私は小さく口笛を吹いた。若いマジシャンの果敢さに。

マジックにはマジックを。

キッド殿から勝負を仕掛けていだだるとは光栄。

輝く月の表の貌が〝怪盗キッド〟なら、その裏側に位置するもの────決して姿を見せない……闇に棲むことが運命の、それが私────〝スパイダー〟。

思い知るがよい、未熟なマジシャンよ。
私の前に今度こそ打ちのめされ、心を砕かれてひれ伏すのだ。

そしておまえは私のものになる。完全に。永遠に────。








闇の虹彩《2/2》へつづく


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※補足的ひとりごと

〝スパイダー〟の仮面は劇団○季の『オペラ座の怪人』的なのをイメージしてます。あんな感じので黒です。
しかし…こんなん書き出しちゃって、終わらせられるのか…私っ(@@);;;;
でもこのブログの大原則は『書きたいとこだけ書く』ですからっ。いきなりシーンかっとばします……たぶん。みなさんスルーして下さいね…お願いします~っ(*_*;

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