名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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暗黙《工藤邸襲撃事件 3の後》
※服部くん視点
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目を閉じたら、白い姿の怪盗が現れよった。

…つまり夢ん中ってコトやな。目ぇ閉じとんのやから。



満月が頭上に高く輝いとる、最高のシチュエーション。
どこぞの高層ビルの屋上か。ようあるパターンやな。

───にしても、なんで急に “怪盗” やねん。

そう自分に突っ込んでたら、むこう向いとった怪盗がスッとこっちを振り返りよった。


いきなり ドキン、と心臓が震える。


長く靡く白いマントがふわりと風に浮き、片目に嵌めたモノクルのレンズが月明かりを弾いて淡く光る───。



これまでおれは工藤や白馬のように怪盗キッドと一対一で対峙したことはない。
ほんの一瞬、数メートル先を翔け抜けるキッドを斜(はす)から目で追うたんがせいぜいや。

せやから夢ん中やと判かっとっても、怪盗を目の前にしてドキドキワクワクと胸が高鳴った。

風が吹きつける高層ビル屋上の突端に軽く立ち、白い手袋の指先でシルクハットを摘んで怪盗が口もとを綻(ほころ)ばせる。

このぅ。気障やなぁ〜。

いくら翼を背負ってるゆうても地上からは優に100メートルの高さがある(夢ん中やけど)。こない危険な場所で、どうしてこんなに落ち着き払って微笑みなんぞ浮かべられるんや。頭おかしいんちゃうか。


『今晩は、服部探偵。今宵の月は美しいですね』


おっ、誘っとんのかい。
舐めんなや。
おれは工藤や白馬とは違うで。ガッと行ってバッと捕まえたる!

かーっと熱うなって夢ん中でおれは唸った。

あかん、逆上(のぼ)せる。

じっとしとるんが限界になったおれはテンション爆あがりの勢いで大声上げて飛び出した。

そっから動くんやない、キッド!!

いま、このおれが捕まえたる!!

おれが。おまえを───!!!








「服部くん」

「んん、…ああ??」

目が覚めた。どこや、ココ。

「うなされてましたよ。怒鳴るような声も聞こえましたが」

「白馬…。あ、そか、おまえんち来とったんや」

しもた。メシ食って風呂入ってぽかぽかして目ぇ閉じたら……ふかふかのソファに沈んで居眠りこいとったんか。

「お待たせしました、客間の用意ができたのでこちらへ」

「お、おう、何から何まですまんの」

「大丈夫ですか、ぼーっとして。さすがに疲れたんでしょう。事件のことは明日にして、今夜はよく休んでください」

「お、おう」

「寝ぼけてますね」

白馬がくすりと笑う。

「怪盗キッドの夢でも見ましたか」

「えっっ(汗)」

な、なんでわかるんや!!?

「まさか、図星ですか」

少し目を丸くしてから、白馬がまた笑う。

「やれやれ。君まで “取り憑かれ” つつあるようですね…彼に」

「取り憑かれるって、祟りかい。アホな」

そう応えながら、マジでちぃと焦る。おれまで “のぼせる” わけにはいかんで。あの怪盗に。

「…なあ、白馬よ」

「はい」

「黒羽のヤツ、間違いのう怪盗キッドなんか」

「おそらく」

「おそらくて。今さら訊くおれもおれやけど」

「99.9%間違いないですが、本人がそうと認めない限り100%には残念ながらなりません」

「おかしな話やな。なんではっきりさせんとここまできとるんや」

「まあ、そこが怪盗に魅入られた僕らの弱みといったところでしょうか。ミステリアスな怪盗の正体を決定的に暴くことをどこかで避けているのかもしれません。間違いなく “怪盗は彼だ” と解っていながら、否定する彼の言葉にあえて反証はしない。それが暗黙の了解になってしまっているんです」



では、おやすみなさい。また明日。

おれを客間に通すと、白馬はそう言って去っていった。

清潔な部屋、立派なベッド。

横になって目を閉じたら、さっきみたいに怪盗が夢に現れるやろか。

怪盗キッドと黒羽…。

こうして結び付けようとしてアイツのことを考え続けとるうちに “ハマっていく” んやなぁ、とボンヤリ理解しながら、おれは工藤や白馬のように甘ないで…とかなんと呟きながら目を閉じた。
微笑む怪盗の姿を心ん中で追い払いながら。





2022.4.26
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★拍手御礼
「月光という名の真実」「怪盗の落とし物(新一編)」「左手」「月光に晒されて」「江古田高校二年女子・黒羽快乙」

『快斗かわいい』様
再訪・拍手ありがとうございます(^o^)。



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