名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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Design by:タイムカプセル
 

逢いたくて(コナン&キッド)
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「てめーとの追いかけっこは今日でお終いだ。コナンとしてはな」

小さな名探偵は眼鏡の奥から俺を見上げ、ハッキリした声でそう言った。



「へー、そう。ま、始まりがあれば終わりがあるのは当然だからな」

訊き返しても無駄なことは解っていたから、俺も適当に受け流した。
互いの事情に深入りしないことは出逢った頃から自然にそうなった俺たちの不文律だったし。それに。

〝コナンとしては〟…と言った。

つまり、それは。

「名残惜しいね。なんだかんだ言って世話になった───てか、だいぶ世話焼かせてもらったぜ、名探偵」

「暢気なこと言ってられんのも今のうちだ。これまでは大目に見てやったが、今度捕まえたら二度と逃がさねえからな。おぼえとけ。そんじゃあばよっ、コソドロ!」

え、もう行っちまうのか?

『待てよ』と伸ばしかけた手を握りしめて、俺は踏みとどまった。
焦るな。
逢えなくなるわけじゃない。
戻ってくるんだ。
きっと、そういう意味なんだ。

きっと姿を変えて。でも性格は憎たらしいままで。自信満々な態度で、探偵の慧眼はそのままに。きっと元の姿に戻って…帰ってくるんだ。

きっと。












───快斗~、帰んないのー?

幼なじみの問い掛けに、顔は上げずに手だけで応えた。

───知らないよ~。何時までも教室で寝てたら先生に怒られるからねー!

きゃあきゃあとはしゃぎながら遠ざかる女子たちの気配。幼なじみも一緒に帰ったようだ…。

秋の気配。夕刻の教室。
校庭から部活の生徒たちの掛け声、そして校舎の別の階から合唱の歌声が聞こえてくる。

俺が俺でいられる場所。学校。

…名探偵は、どうだったのかな。

俺は学校では黒羽快斗でいられるけど、アイツは四六時中コドモのふりしてたんだ。
大変だったろうな。
オイシイこともありそうだけど。
それでも、たぶん元に戻れたんだろう。よかったじゃねーか。

今度俺を捕まえたら…だって?
生憎だが俺は捕まらない。
俺を誰だと思ってるんだよ。

確保不能の大怪盗〝月下のマジシャン〟だぜ。

たとえ名探偵が元の姿に戻ったって同じさ。
俺は絶対捕まらない。
誰にも。
おまえにも。








結局七時近くまで爆睡してて、生活指導の先生に見つかって叩き起こされて学校追い出された。
ずっと突っ伏してたから、首は痛てえし腕は痺れてるし。
ヨタヨタ歩きながら、それでもなんだか真っ直ぐ家に帰る気分じゃなくて、俺は川原の遊歩道へ降りていった。

もう暗い。空を見上げると雲間から月が見えた。
満月までまだ数日ある。欠けてはいるが、それでも金色の月は幻想的に輝いていた。

トボトボと、歩く。
誰もいない遊歩道。
家に帰ってもどうせ一人だ。別に慌てて帰ることもない。少しばかり腹が減ったが我慢できないほどじゃない。
近所のコンビニで何か晩飯と、朝のパンを買って帰ろう…。

ふと立ち止まって、グスッと鼻を啜った。
あれ。
下を向いたらポタリと雫が足元に落ちた。一粒。二粒。

「………」

なにやってんだろ、俺。
待ってたって誰も来やしないのに。

いくら待ってたって、現れやしない。
名探偵は名探偵の日常に帰ったのだ。
アイツの帰りを待っていた仲間が、たくさんいるに違いない。彼女や、友人や、家族に迎えられて。
探偵団の子供たちとも話を合わせて、きっと上手くやってるんだろう。

馬鹿みてえ。

俺はアイツと逢ってどうするつもりだったんだろう?
アイツが現れたら、なんて言ってやろうと思ってたんだっけ。

アイツが追っているのは俺じゃない。
白い姿の怪盗なのに。
わかってんのに、何を期待していたんだろう。なんなんだろう、沈み込むようなこの気持ちは。

小石を蹴った。
ちゃぽんと音を立て、川面に波紋を起こし、また流れ、失せてゆく。
気持ちも同じだ。何かに弾かれ、胸に広がったと思ってもそれは一時の幻でしかない。
掴めるかと思った感情は日々の流れに紛れ、溶けて儚く散ってゆく。

何もなかったように。

頬を拭って月を見上げた。

待つのはやめだ。
期待するだけバカだったんだ。
それより次の獲物のことを考えよう。たとえ小さな名探偵がいなくても、警察だってそうそう同じマジックに騙されちゃくれないだろう。
準備中の新作マジックを完璧に演出するためには、黒羽快斗の感情は無用だ。

長いマントを靡かせて、怪盗が腕を振り上げる。頭上には輝く満月。眼下にはサーチライトとパトカーの赤色灯、それに群衆の大声援。〝黒いカラス〟が近付けないよう、周囲には仕掛けを張る。怠りはない。

そうさ、誰も止められない。
孤高のマジシャンがショーの幕開けを告げる。
こんなふうに。

「レディース & ジェントルマン!!」




───パチ、パチ、パチ、パチ。




・・・えっ?!




拍手。

誰?! 人が居たのか?! どこ!!

振り向いてキョロキョロする俺の前に悠然と一人の男が歩み出た。
若い。
ピンと跳ねたつむじ。尖った襟足…。


どくん。



・・・うそだろ。


よせよ。
たった今、待つのは止めると決めたとこなんだぜ?

なのに、なんで出てくんだよ。
なんで。



「黒羽快斗。見付けんのに意外と手間取っちまった。戻れたのはいいが、何かと多忙でな。おまえを探す手伝いは誰にも頼めねえし」

「………工藤、新一」

「そうだ」

「…なにが、そうだ。だよ。エラソーに」

「他になんて応えりゃいいんだよ」

「知るか」


一瞬の沈黙。

すっと雲間から月明かりが差した。

俺たちは、ほぼ同時に駆けだしていた。

互いに飛びつくように抱き合って、その場でぐるぐる回った。
バランスを崩してひっくり返ると、工藤新一はイテテと顔をしかめながら笑った。


二度と放さねえ。
どこにも行くな。
おまえはもう一人じゃない。

俺に、そう言った。







20140906
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※カテゴリ迷ったのですが、一応コ快で(汗)。これはこれで単発パラレルでした…(*_*;


★1412さま、東亜さま、コメントと情報ありがとうございます! うれしいです!またいつでもお気軽にメッセージお寄せくださいね~(^^)/(^^)/

●拍手御礼
「霜月」「グッナイ・サマー・バースデーII」「夏の終わりのファンタジー」へ、拍手どうもありがとうございました!(^^)!

(イイワケひとりごと)
Free! ESの次回が気になりすぎて、エヴァのカヲルくん(石田さん)が儚くて素敵で、そして今夜と明日と来週末とSMAPコンサート(^^;)で、一通り落ち着くまで引き続き単発upになると思います~_(._.)_

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