名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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Design by:タイムカプセル
 

★2013-2014・年越し エピローグ★
月光ラヴァーズ(新K/新快)
※場面イメージは映画銀翼のコK対決シーンより。
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「キッド!! 待てっ!!」

白いマントを靡かせ、怪盗が天空のヘリポートで身を翻す。

オレはベルトから射出したサッカーボールを、目一杯のパワーで蹴り出した。


いったん構えたトランプ銃を引いてキッドが横に倒れ込み、一回転してボールを避ける。流れるような俊敏さ。
腕時計の照準器を覗き込むと、キッドはすでに立ち上がり、オレにトランプ銃を向けていた。


バシュ、バシュ、バシュ、バシュ!


鋭利なトランプが不規則な軌道を描いて立て続けに襲ってくる。左右に避けながら、少しずつ後退した。

「!」

不意に背中が硬い金属の感触に突き当たる。屋上の柵だ。
いつの間にか、オレは追い詰められてしまっていた。
キッドが正面に立つ。冴え冴えと月明かりにも似た笑みを浮かべて。

「名探偵、後がありませんよ。私の邪魔をなさらないと言うなら、今宵はお見逃しいたしましょう」

「なにが見逃すだ。それはこっちの台詞だぜ、コソドロ!」

「相変わらず口がお悪い。コソドロではなく〝怪盗〟です。それに今夜は下見に伺っただけ」

言葉を交わしながらもキッドは油断なくトランプ銃を構え、オレの挙手から目を離さない。

「風が吹き付けるこのヘリポートでは名探偵の麻酔針は役に立ちません。明らかにこの場は私に有利と存じますが」

「甘いな。オレが考えなしにおまえを追ってくると思うか」

「ハッタリですね」

「おめーのポーカーフェイスほどじゃねえさ!!」

叩きつけるように怒鳴ると、キッドがハッと目を見開いた。

オレはキッドに向かって歩き出した。真っ直ぐに大股で。
10メートルほど。すぐそこだ。
キッドが放つトランプを手で弾いた。小指にピリッと痺れが走る。

そのままの勢いで、戸惑うように銃口を彷徨わすキッドの右手を掴んで引き寄せた。
僅かに素肌を覗かせるキッドの温かな襟元に顔を埋め、もがく体を抱き締める。

「はなせ、名探偵」

「絶対に放さない。放してたまるか」

小さく溜め息を付いて、キッドはトランプ銃の銃口を下ろした。

「…ルール違反でしょう」

「愛してる」

「わかってんのかよ、自分が言ってること?!」

「解ってるさ」

自分が今どれだけ情け無い顔をしてるか。そんなのイヤってほど解ってる。

逢いたくて、逢いたくて。だけど待ってるだけじゃ、おまえは夢にも現れねえ。

「オレを〝名探偵〟なんて呼ぶな」

「…………」

「聞こえてんのか? 何とか言えっ」

蒼い月光がヘリポートに降り注いでいた。風が吹き付け、オレたち二人の髪をなぶるように揺らしてゆく。


「─────工藤」

「……!」


《《   ボンッ   》》


「あっ!」

名を呼ばれて思わず力を緩めた途端、煙幕に包まれた。

「キッド! くそっ、待て!!」

だが煙に巻かれている数秒の間に、キッドの気配は消えていた。

完全に。

取り残されたのは、オレ一人。


「なんでだよ…ちくしょう!!」


手で顔を覆い、唇を噛んだ。

これ以上情け無い男にはなりたくない。

だが…、だが。

どうすれば、おまえを捕まえられる?

どうすれば…おまえを。


「────黒羽快斗の、大バカ野郎ーッ!!」


はあ。はあ。
大声出して、咽が痛い。

目をこすった。

滲んだ視界に映る、ほっそりした影。そこだけが蒼白く月光に浮かび上がっている。


「………かい、と…?」

「フルネームで呼ぶなっつの」

キャップを被り黒衣に身を包んだ快斗が、何ともいえない貌をして目の前に佇んでいた。

「ったく、調子狂うんだよ。探偵は怪盗をどこまでも厳しく追っかけてくれねーと」

「なに…言ってやがる」

追っかけてるだろうが、こんなに。こんなにも追いかけて。

「ああ…まぁ、俺も…逢いたかった、ホントは。けど、このシゴトは譲れないっつーかさ。だからヒトヤマ終わるまでと思って」

我慢してたのに。台無しだよ、もう。

そう言うと、快斗はにっと笑った。笑ってオレに飛びついてきた。

蒼く輝く月光の下で。

オレたち二人は、今度こそ互いを抱き締め合った。
これでもかと、強く、強く。






20140115
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※お粗末様です(*_*;
ここまで『勝手に年末年始企画』にお付き合い下さいまして、どうもありがとうございました~!(^^)!

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「ハッピー・スウィート・ニュー・イヤー」各話へ拍手多謝ですー。


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