名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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遠距離恋愛《1/2》(新一×キッド)

※加筆修正・再アップです。
※はっきり続きではないですが、イメージは2012.01.09up『不機嫌な恋人』とつながってます。

──────────────────────

この場合の〝遠距離〟とは、本来の意味ではない。


あくまで気持ち的な意味合いだ。


つまり……俺とキッドの場合は、互いの立場が違いすぎるし、本来なら〝あってはならない仲〟だから。

逢えるのは何か事件の時だけ。さらに想いを通わせ合ったとしても、次にいつ逢えるか分からない。だから切なくなる。
そんな誰にも言えない秘密の恋愛が、例えるなら〝遠距離〟ってこんな感じなのかなー、と思わせるんだ。


逢えない間、アイツ今ごろ何やってんだろう、とか考えたり。
俺のことなんか忘れてホイホイ遊び回ってんじゃねーかな。とか……。

キッドの正体が解らないんじゃ探しようないし。こんな気持ちで探すの不純で出来ないし。
〝徹底的に調べ上げ、正体を白日の下に晒してやる〟と啖呵まで切っていたのに……いまや恋人となった相手の正体を知るのが正直怖くなってしまっている。
それとも〝恋人〟だと思っているのは俺だけなんだろうか。

あるいは、もし……もし、キッドの正体が解ったとして、万が一、実は他に恋人がいて俺はキッドでいる時だけの気紛れの相手だとしたら───もしそうだったら、怖すぎる。
確かめるのが怖くなるくらい、好きになってしまった。

おかげでこのところ探偵業務にも影響が出始めてる。
白い物が視界をかすめると、そっちに気を取られて肝腎の証言や情報を聞き漏らしたり。今のところは〝失態〟までいかないが、この調子だといつとんでもないミスを犯しても仕方がない。

情けないといえば情けなさすぎる。
切なくて。恋しい。

逢いたくてたまらないのに、アイツがどこにいるかも分からない。名前すら知らない。
───逢いたい時に逢えない。 逢えない間に、ますます想いが募る。

これって、だから端的に表現するなら〝遠距離恋愛〟みたいじゃないか?
まぁ本当に普通の遠距離中の恋人同士だったら、携帯でもメールでもテレビ電話でもあるけどさ。



♪ピンポーン♪



「………………」

時計を見る。午後九時。誰だよ、いったい。

玄関のモニターを見ると、届け物らしき荷物を抱えた業者が映っている。昼間いなかったから、今頃届けにきたのか。


「こんばんは! お届け物です!」


玄関の扉を少し開けて様子を窺う。
宅配のキャップを被った若い兄ちゃんと目が合った。こんな時間でもニコニコすごく爽やかだ。

「ありがとう。遅くまでご苦労さま」

玄関開けて、その兄ちゃんが抱える荷物の上で知らない差出人の名前を見ながら印鑑を捺した。解決した事件の関係者とかからたまに礼状がきたりするので、特に不審にも思わず……荷物を受け取ろうとぼんやり兄ちゃんの手元を見た。
なんか手に持ってる。

「…………」

ジャキ、と音がして目の前に拳銃のようなものを突きつけられた。
はっとして地雷でも踏んだようにドーンと心臓が振動する。

───違う……拳銃じゃない!

足元に段ボールが転がる。おそらく空っぽの。

「いけませんね、名探偵。もし私が名探偵の命を狙う〝賊〟だったらどうするのです」

「キッド!!」

トランプ銃を俺の鼻先に突きつけ、宅配業者の兄ちゃんと思っていた怪盗キッドが玄関の中に入ってくる。
そして後ろ手にドアを閉め、俺を見詰めて微笑んだ。

「失礼、名探偵。次の〝事件〟が待ちきれず、自分で事件を起こすことにしました」

「な…なに…?」

「ビッグジュエルを戴きに参上したのです。予告状をお出しする間も惜しく、突然伺った無礼をお許しください」

目の前のキッドは素顔だった。トランプ銃を出されるまで顔を見ても気付かないなんて……自分の呆けさ加減に顔が熱くなる。
今ここにいるキッドは姿こそ宅配業者に化けているが、何度かこの手でモノクルを外して口付けた怪盗キッドに間違いなかった。

理由なんか、予告なんかどうでもいい。

俺は飛びつくようにキッドを抱き締めた。







遠距離恋愛《2/2》へつづく


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