名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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退院祝い《2/2》(新一×快斗)
(R18)

―――――――――――――――


灯りはサイドテーブルのフットライトだけにしてベッドに座った。

薄暗い室内がそれなりの淫靡さを演出する。

快斗がためらいなく肌を晒すと鼓動が高鳴った。肩を動かすと時折さっきみたいにグキッとくるので、服を脱ぐのもイマイチこわごわになる。快斗が手を添えて俺をそっとベッドに横たえ、シャツの前を開いてくれた。
俺の肩から胸にかけて巻かれた包帯を見て快斗が僅かに眉をひそめる。一言も発することなく俺の腹に手を当て、なんともいえない顔で俺を見下ろしている。

――俺も、こんな顔していつも快斗を見てるのかな。

「わかったかよ、俺の気持ち」

「……何が」

快斗が傷つくたび、快斗の体に痣や疵痕が増えるのをただ見てるしかない俺の気持ちが、少しは分かったかよ。そう言ってやりたかった。



屈み込んだ快斗の唇が俺の右目の眼帯に触れた。まるでキッドのモノクルのように、今は眼帯が俺の右目を隠してる。本当にいつもと逆だ。快斗も同じ事を思ったようだ。薄闇に目が慣れ、互いの瞳を覗き込む。

(あっ)

快斗が俺にキスしながら手探りで俺の熱を持つ場所に指先を伸ばす。もっとグイグイきてくれていいのに、快斗の愛撫は狂おしいほど優しくて、堪え難いほどもどかしい。かえってつらく感じるほどだ。

「く、快斗っ…もっと……!」

待ちきれずにねだる。快斗が俺を口に含む感覚があって、背筋にぞくりと快感が走った。

(ああ……っ)

や、やば。いくらなんでもまだ早い。俺が懸命に堪えているのに気付いているのかどうか、纏わりつく快斗の舌の動きに翻弄される。これまでにない快斗からの本気の愛撫に歓びが弾けそうになる。

「ま、待てっ、ストップ、ちょっと待て!」

体を捻って逃れた。右肩が変に動いてまたグキリときた。

「いってぇ……!」

「動くなって言ってんのに」

「少しは加減しろよっ、危なく出ちまうとこだった」

「いいのに、べつに」

え。まじ? く…くちに、出しちゃっていいの? とはさすがに聞き返せなかった。快斗のヤツ、不意に大胆になるから油断できない。



傷を負った工藤を見てたら胸が痛くなった。俺たち、いつまでこうしていられるだろう。そんな風に思ったら――。

俺が明日死んだら。工藤が怪盗である俺を見限って離れてしまったら。そんな事まで頭に浮かぶ。

たとえ今日『好きだ』と言ってくれても、明日はどうかわからない。心の中では絶えず予防線を張ってる自分がいる。怖いから。ある日突然信じていたものを失うのが怖くてたまらないから。だから踏み込めない。

俺も言葉に出来たらいいのに。
だがどんなに切なくても言葉にはならない。言葉にできない。

だからせめて今だけでも…〝退院祝い〟というイベントのせいにして。
こっそりと、怪盗らしく秘めた想いを伝えてしまおう。言葉には永遠にできそうにないこの想いを。



快斗が化けた。


肌を滑るしなやかさは、まるで猫科の獣――豹のようだ。
俺は夢見ているように快斗に身を任せ、快斗の優しさに心を委ねた。妄想が本当になった…どころか、妄想を超えた。快斗すげぇ。快斗ありがとう。たとえおまえがはっきり応えてくれなくても解るから。
ちゃんと解っているから……。




はぁ、と息をついて快斗が俺の横に倒れ込む。顔を寄せると、いつの間にか眼帯の外れてしまった俺のまだ腫れている右の目蓋に、快斗がそっと口付けてくれた。

「……工藤、退院おめでと……」

「うん……。こんなんなら明日でもまた入院したいよ」

「ばぁーか。トクベツだって言ったろ」

「快斗」

「……ん」

薄闇に光る快斗の瞳が揺れて美しい。

「もし――」

俺を信じてくれるなら。

「……もし誰かを…自分が信じられない時でも」

「…………」

「世の中全部が信じられなくなっても、俺のことは信じてろよ」

快斗の瞳が見開かれて、そして大きく揺れた。

「俺だけは信じろよな」

快斗が俺を見て微笑む。

「……名探偵は自信家だな、ほんと」

「たりめーだ。俺にとって真実は一つだからな」

「わかったよ……今の言葉、覚えとく」

快斗からの精一杯の返事。

微かに震える快斗の背を左手でなぞると、快斗は俺の耳元でもう一度ほうっと大きく息を吐いて目を閉じた。





20111204

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