名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
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連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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恋人以上・謎未満(新一×快斗)

※お気楽編です。
――――――――――――――――――

さっきからずっと呼んでんのに、ガン無視。

このヘボ探偵、謎解きに夢中で俺の存在に気付いてない。


「オイコラどんくさ探偵っ、ご飯が出来てますがどうしますかっ?!」

……悪口言っても気が付かない。マジむかつく。

俺は頭にきて、とっておきの手段に出た。早く食わないとせっかく作ったパエリアとシチューが冷めちゃうぜ。



ふわさっと風を送る。

俺の気配の変化に、ようやく探偵が資料を手にしたままチラと目を動かした。その視界に足元が映るように一歩踏み出す。

――ガタ!

このヤロウ。
初めて気が付いたかのように工藤が俺を見上げる。深く腰掛けていたチェアから身を起こした探偵の瞳の色が、シルバーになっちゃってる。

「こんばんは、名探偵。ご無沙汰しておりました」

「――キ、キ、……キッド !!」

はい、そうです。えへん。

「ずいぶん難しい顔をされてましたね。よほど難事件のようですが」

「い、い、いや」

まだどもってる。そんなにキッド好きか。快斗は無視でもキッドは大好きなのか。ちくしょう。

「ど、どうして……?」

「私ですか? それはもちろん」

硬直する探偵のあごを白い手袋の指先で持ち上げて囁く。

「探偵を誘惑するためです」

口付けた。

唇を離して微笑むと、惚けたように俺を見つめる探偵の頬が赤らんだ。コイツめ。

「謎解きは後にして、召し上がりませんか?」

「な、なにを……?」

「なんだと思います?」

「………………」

工藤がガバッと体を起こして抱きついてくる。ちげーよ! メシだっつの!!

「何もかも勘違い。それが真相と云うものでしょう。謎なんてないのです」

探偵が不思議そうに俺を――キッドを見る。
そうさ。事件も恋も難しく考えることはない。真相なんて一緒。すべてが思い込みの世界。浸かれば浸かるほど見えなくなる。

「―――そうかっ!!!」

「は?」

「最初は相手を間違えて……勘違いしたんだ!! 後から無理やりそれらしく見せるために……。わかったぞっ!!!」

はああ????
なんだか知らないが閃いたらしい探偵は俺を突き飛ばすと(こんな屈辱は初めてだ)、上着を掴んでアッという間に部屋を飛び出していった。

くそ。結局置き去りか。
パエリアが。シチューとサラダが。ちゃんと栄養も見た目もバランス考えて彩りよく食器の配置も考えてセットしたのに。あんなヤロウのために、俺ってばバカみたい。

しゅんとしょぼくれて俺は快斗に戻った。

―――ドタドタと足音がする。あれ、戻ってきた。

「快斗!」

「…工藤?」

走り寄ってきた工藤にぎゅうと抱きしめられる。

「ヒントサンキュ!! 三時間……いや、二時間で戻る! 待ってろよ!」

ダッシュでまた駆け出ていった。

はあ……なんだよ、もう。


少しするとパトカーのサイレンが近づいてきて、音が遠ざかっていった。最寄りのパトカーが迎えに来たんだろう。さすが工藤探偵。パトカーがアッシーだもんな、恐れ入るよ。

俺はもう一度溜息をついて、さっきまで工藤が座っていた工藤の革張りチェアに腰掛けた。

つまりはこういう事だ。
快斗<キッド<謎解き。

俺は自乗された敗北感にぐったりうなだれて背を倒した。

――戻ってくるっつってたし……。しかたない、料理はあとで温めなおすか。ハァア~。

深く深く溜息を何度もついて、俺は目をつぶった。

工藤のバカヤロウ。難事件のバカヤロウ。そうつぶやいて。





20120210

――――――――――――――――――


サブタイトルは『ああ勘違い』でした。(^^;)
魚嫌いの快斗くん、パエリアもどうかと思いましたが、とりあえずそのままで……セーフってことにさせてください(汗)。

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