名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

掠れた記憶2(新一×快斗)
※2012.11.19up「掠れた記憶」続編。お約束な感じです…(*_*;
────────────────────────────────

目が覚めると隣に工藤が寝ていた。

驚くと同時に、ホッとする。


なんかおかしいけど。
工藤と一緒にいて安心するって。

早朝の陽が差す天井をぼんやり見上げながら、自分にツッコミを入れてみる。

工藤は探偵で、俺は怪盗。宿敵だ。
追う者と追われる者。騙す者と解き明かす者。決して相容れることのない相手だったはずだ。
それなのに…。

ズキンと頭が痛む。目をぎゅっと閉じて、包帯を巻いた頭を指で押さえた。
……なのに、なぜか覚えてるんだよな、この視界。工藤の部屋を。
俺は知ってる。
確かに以前にも俺はここで────。

(!)

工藤が寝返りを打った。
吐息がさらに近づいて、妙に焦る。

昨夜、工藤は俺を〝一時的な記憶障害〟だと言った。落ち着いてくれば思い出すって。
……思い出すって、何を?


「どうだ、痛みは」

「えっ…」

工藤は目覚めていた。 息がかかるほど間近で話しかけられ、振り向けない。

「痛いけど、昨日ほどじゃない」

「吐き気は」

「…だいぶいい」

「よかった」

てか、この寄り添い具合、フツーじゃない。
ヤバいだろ、この距離感。

「快斗」

「…なに」

「思い出さないか。オレのこと」

「…………」

判らない。工藤が何者なのかは判ってる。判ってるけど、たぶんいま訊かれてるのはそういう意味じゃない。

俺を助けて、俺を匿(かくま)って。医者の往診の後は夕べからずっと二人きりだ。俺を見張っているのかというと、そんな感じでもない。ただひたすら優しくて、その工藤の優しさに懐いてる自分がよく解らない。

ふ、と温かいものが目元に触れた。

(あっ)

工藤が動く。どきんと心臓が鳴った。
工藤の手のひらに頬を包まれた───と思ったら、もう唇を覆われていた。

キス…?!

キスしてる……工藤と…!

温かく、二度、三度と唇を啄(ついば)まれて、湧き上がる熱にぼうっとする。

「………」

唇が離れた。 工藤の瞳に、まん丸に目を見開いた自分が映っている。

「…あ、あの」

「だめか」

「え…」

「んじゃもう少し」

「え…? おい、待て」

工藤が俺の上に乗っかってくる。
な、な。 もう少しって何すんだ、コラ。

金縛りだ。
動けない。まだ体があちこち痛い。
でも痛いから動けないんじゃない。工藤の目が。覆い被さってくる工藤の俺を見下ろしてくる瞳が真っ直ぐすぎて、顔が逸らせなくなる。

(わ…!)

腕を捕られ、唇が合わさった。だけでなく、今度は工藤の舌先が俺の唇を辿ってくる。

・・・工藤~っ (@@)!!

むぐぐともがくと、工藤は唇を離してまた俺の目を覗き込んだ。

「……どうだ?」

「どう…って」

「思い出さない?」

「…………」

「困ったな。オレが保たなくなってきた」

溜め息を付いた工藤の体が熱い。パジャマ越しに硬くなった工藤を感じて、俺も全身硬直する。

「やっちゃおうかな…。そうすれば思い出すかも」

「ヤメロ」

「なんで?」

「と…とにかく、ヤメロ!」

内心ドキドキしながら突っ張った。
ここまで来たら、さすがの俺も気が付く。まさかと思ったけど、そうなんだ。俺と工藤はデキてんだ。しかも工藤が上!?

「もしかして思い出せない振りしてるんじゃないだろうな」

「バ、バカ言うな、振りなんかするかっ。 テメーこそ人を惑わすんじゃねえ!」

「元気出てきたな。よかった」

またチュッとキスを落とされた。カアアと俺の熱もさらに上がる。なんなんだ、この甘々な感じは!?

「どけよ! ベタベタすんなっ」

「なんだよ…、もしかして、またイチから始めなきゃなんねーの?」

ちょっと淋しそうに、そして嬉しそうに工藤は微笑んだ。

『イチからって何だよ』とは、もう訊けなかった。恥ずかしすぎて。

思い出せそうで思い出せないもどかしさと、思い出すのを躊躇ってる自分がいる。
思い出したら動けなくなる。ここから逃げられなくなる。それが分かったから。

ずきん。

「てっ…」

「どうした」

「頭が痛い」

「さっき大丈夫って言っただろ」

「テメーが変なことすっからぶり返したんだよ、バカヤロウ」

精一杯の憎まれ口をきいて、そっぽを向く。
溜め息をついた工藤に包むように寄り添われて、俺もでっかい溜め息をつき返してやった。

もう少し時間をくれよ…。そう呟いたオレの心を見透かすように、工藤は俺に囁いた。
〝いいけど、逃がさないぜ〟と。







20130112

────────────────────────────────

※うーむ、書き始めた時は勢いでR18になるかも?と思ってたんですが、快斗くんがケガしてるのを思い出して控えてしまいました。やりたかった気もするんで、不完全燃焼ですっ…(*_*;

拍手[11回]