秘密は秘密(新一×快斗)
※2012.4.27up「喧嘩」、2012.5.10up「同類」と同一設定・続きです。快斗くん視点にて。
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〝ピンポーン、宅急便です〟
着た! 次の〝ヤマ〟に使うマジックの、要の部品!!
俺は待ちかねてた〝素材〟の到着に勇んで玄関のドアを開けた。
「はーいっ♪」
「快斗」
「…………」
一瞬フリーズする。
目の前に工藤。
あれ? 宅急便は?
「入るぜ」
はっとして、フリーズが解ける。
「ち、ちょっと待て!」
「なんだよ」
「いま〝宅急便〟って」
「工藤新一宅急便です」
「フ、フザケンな。何しに来たんだよ!」
「チョロいな。チェーンまで外すとは」
「…うっせ!」
しくった。待ってた荷物だと思ったから、つい────。
俺があわあわしている間に、工藤はズカズカ中に入り込んでいく。
「おい! 何度言えばわかるんだよ。ここには来んなって言ってあるだろ!」
工藤とは、先週深夜押し掛けてきたコイツと取っ組み合いの喧嘩して以来だ。家のリビングめちゃくちゃにされて、こっちは散々な目にあったんだ。
「なんで、快斗んち来ちゃいけねーんだよ」
「え?」
「恋人の家に、来ちゃダメかよ」
マジな顔で振り向いた工藤に、がしっと腕を掴まれる。そしてそのまま廊下の隅に追い詰められた。
「や…その、だってここは……」
〝怪盗〟のアジトだぜ。
いくら恋人だろうが、あくまでテメーはアッチの人間だ。ネタを知られるワケにはいかない。ちったあ遠慮しろよ、と言いたい。
────俺の部屋。隠し部屋の扉、ちゃんと閉めてたっけ。机の上、いろいろ出しっ放しかも。
「服部が来ただろ、ここに」
「は?」
突然服部の名前が出て面食らう。
「服部を泊めてやろうとしただろ」
「へっ…?! いやいや」
工藤と喧嘩した翌日、服部が泊めてくれってガッコ帰りに訪ねてきたのは確かだが、アイツは結局────。
「なに言ってんだよ。テメーが電話で呼び出して、服部そのまま謎解きに行っちまったじゃん」
「オレが電話しなきゃ、泊めてたのか」
「えっ?」
「どうなんだよ」
「……そ、そりゃ、単に友人として、わっ」
襟首掴んで壁に押し付けられる。
「バカ、放せよ! なに勝手に妬いてんだ。こっちだってなァ…!!」
んぐ。 唇を塞がれる。
喧嘩の原因になった怪我のせいで、まだ腕に力が入らない。工藤の勢いを止められない。
強く抱きしめられて、いつの間にかリビングになだれ込んでいた。
ガチャンと音がして、何かが床に倒れて散乱する。
…って、またかよ!!
コイツ、ホントにバカ。俺が浮気しようとしたとでも思ってんのかよ?! そんで、またここで暴れるつもりかよ?! 勘弁しろよ! いま…俺の部屋に入られちゃ困るけど、でも、でもさぁ!!
(アッ…)
深いキス。 続けて首筋をきつく吸われる。
びくんと、体が跳ねた。 服をたくし上げられ、背に工藤の指が入り込む。耳元に吐息がかかり、ゾクゾクと肌が震え出した。
逃れようと返した体を捕まえられて、かあと一気に熱が上がる。
あ、だめ…だ。
高二男子同士、こうなったら抑えが効かない。
こんにゃろ…、くどう、あ、あ、ああっ……!!
かちり。
「……はあ、はあ…」
「快斗、腕、大丈夫か」
「え…」
「危ないから動くな」
「……?」
目を開けると、椅子が倒れていた。
カーペットが曲がって、棚の上に整理してあったダイレクトメールやら写真盾が落ちて散乱し、花瓶が割れてた。
「うそお」
こないだの喧嘩で割れた花瓶。似たヤツをわざわざ探してこっそり小遣いで買ったばかりなのに!
「………くーどおぉぉおーおお…!!」
「ごめん、片付けるよ。でもその前に…怪我が大丈夫なら、もう一度したい」
「ええ?」
「いま夢中でよくわかんなかったから」
「テメー…。このツケはデカいぜ。それに、服部のことはなぁ!」
「分かってるよ。服部は口実さ」
「なに」
「待ってても来ねーんだもん、おまえ」
「だ、だからってなぁ! 」
「快斗の部屋行っていい?」
「だめ」
「ちぇっ」
「ちぇ、じゃねえ!!」
小突き合いながら、甘く交わすキス。
それでも警戒心はなくさない。
俺は怪盗で、工藤は探偵だから。
愛し合っても、秘密は秘密。
工藤が探究心を働かせる前に、隙を見て早く部屋の中を片付けなきゃ。
────とその時、玄関のチャイムが鳴った。
〝ピンポーン、宅急便でーす〟
オレ出ようか? と体を起こしかけた工藤の首根っこにしがみつき、出なくていいよと怪盗の心で微笑んで、俺は工藤にキスをした。
20130123
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※これも一応甘イチャ? お粗末です…(*_*;
[13回]