名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
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迷い子(新一×快斗)
※入院中リハビリ短め甘イチャ・快斗くん視点。
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ここがどこか。そんなことは分かっている。
だけど、心細くて。



幼い頃、人混みで母さんとはぐれ、怖くなって泣き出した日のように。

心細くて…。

「────あっ」

ぐい、と後ろから腰に腕を回される。

「こら。どこほっつき歩いてた」

「え?」

ほっつき歩いてなんかいない。

工藤の部屋だ。
窓から雲の向こうに消えかけている月を見ていた。

「べつに。明日は雨かなと思ってさ」

「ウソつくな。オレがいること忘れてただろ」

「………」

どうして解るんだろう。
工藤といるのに、俺はいま独りになっていた。
想いを通わせ合った唯一の相手と共にいるというのに。それなのに、秘めた心細さを消し去ることができなくて。

「……子どもん時にさ。迷子になって」

「じっとしてなさそうだもんな」

「うっせ」

「で。どうしたんだよ」

工藤に体を返される。向かい合わせだ。近い。なんだか目を見ていられなくて顔を伏せた。

「……街中で、ほんのちょっと脇に逸れたら親見失ってさ。振り向いたら俺一人になってて。急に不安になって、怖くてどきどきしながら〝おかあさん〟って呼んで走ってさ」

あほな話をしてるなぁと思いながらも、続けていた。チャチャを入れるかと思った工藤もなぜか黙って聞いていた。
なんだか熱い。抱かれた腰が、くっ付きそうなオデコが。

「少し走っただけなのに、すごく息が切れたの憶えてる。ショーウインドウを覗き込んでる母親を見つけて、あっと思って必死に駆け寄ったんだけど、親は俺がいなくなったことに気付いてもいなかったみたいでさ。長く感じたけど、ほんの数十秒かそこらだったのかなぁ」

チュ。

「………」

工藤にキスされた。俯いた鼻先に。熱い。ぽっぽしてくる。なんでこんな話してんだろ俺。

「オレも似たようなことあるぜ」

「へえ」

「何でだったか忘れたけど、家ん中で、叱られて母さんに追いかけられてさ」

「なにやってんだか」

「屋根裏にさ。まだチビだったから隠れるとこいっぱいあって。それで隠れたまま眠っちまったんだな」

「そんで?」

「気がついたら真っ暗でさ。降りられなくなって怖くて泣いちゃったんだ」

「名探偵が?!」

「わりぃかよ。オレにだってちいせえ時はあったの」

「そんでオチは」

「泣き声を聞きつけた母親に発見されたよ。〝こそこそ逃げ隠れするからよ! 思い知ったら二度と私から逃げんじゃないわよ!!〟って高笑いされた」

「・・・・ぷっ」

「んだよ」

「いや。あはは。どっちもどっちだな、俺たち」

「みんな似たようなこと経験してんのさ」

「うん…。そうだな」


────果たしてこれは、工藤は俺を慰めようと……元気づけようとして言ってくれているのだろうか?
俺の心細さを。心細さを秘めているのは誰しも同じだと────言っているのだろうか。


「工藤」

「ん?」

「……んや。なんでもねえ」

「んだよ! 言えよ」

言えるか。
『やっぱり俺、おまえが好きだ』なんて。

「いいぜ、そのつもりなら。つづきは今からゆっくり訊きだしてやる」

「へん。探偵の言いなりになんかならねえよ」

深く抱きしめられて、息を吐く。
目を閉じて工藤の温もりに自分からも寄り添った。

たまには素直になってもいいか。
言葉には出来ないけど。素直に心をゆだねてみても。

心細くなんかない。
寄り添おうとしてくれる優しさを素直に受け止めさえすれば。
不器用な────その優しさに。









20120928

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※次あたり、このつづきじゃないですが甘イチャR18ベタベタの毎度な感じの新快いってみたいです~(^^)/
★マユミさん、お見舞い拍手メッセージありがとうございました~(*^o^*)!
昨日はさすがに目眩がして画面長く見てられなかったんですが、ただぼーっとしてるのがもっないなくって。今日からまたこそこそ病室で更新です。えへへ。


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