moonlight 新一×快斗

コルボーの一味（新一×快斗）
※ヤマナシオチナシ的まったりイチャです(汗)
※新一視点
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「〝ハリネズミ〟って爺さんは、怪盗コルボーの変装だったんだろう？」

話しかけると、ソファーに寝そべってオレのミステリ本をつまらなさそうに眺めていた快斗がようやく顔を上げた。
多分な…と、煮え切らない返事をしながら。　

中森警部に近い顔見知りの刑事から〝ミッドナイトクロウ事件〟についての情報は一通り得ている。

現場にいた白馬に聞けばもっと詳しく分かるのだが──後から首を突っ込むべからず──という、暗黙の探偵協定に反してしまう。
そうでなくても快斗を挟んで微妙な立ち位置の白馬に、オレから連絡を取るのは憚られたのだ。

まあ、それはともかく。

快斗にとって〝怪盗コルボー〟は未知の相手に違いなく、その実力を認めざるを得なかったということらしい。
そしてコルボーには協力者がいたらしいこと。
さらにもう一つの事実が余計に快斗を混乱させている。

長らくパリに滞在していた快斗の母親が、突然時を同じくして一時帰国していたことだ。

快斗は…おそらく気付いているのではないか。推理ではなく、感覚で。
しかしその答えに納得できないのだ。どうしても。


「なあ、快斗。怪盗コルボーってどんなやつだったんだ？」

「なんで工藤がコルボーのこと知りたがんだよ」

「また現れないとも限らないだろ」

「へっ。何が怪盗コルボーだよ。キッドの亡霊は二人もいらないとか言いやがって…親父の兄弟弟子だったなんて嘘に決まってら」

「親父さんの姿をしてたんだってな」

「変装だって自分で言ってたよ」

「おまえがコルボーと対峙してた時、お袋さんは何処にいたんだ？」　　

「知るかよ。お袋はカンケーねーよ。いつの間にかまたパリに戻っちまったし。もうコルボーの話はヤメ。あーむかつく！」

「なんだよ。出し抜かれて凹んでんのか？」

「ちげーよ。きっちり出し抜き返してやったし」

「じゃあ、なんでそんなモヤっとした顔してんだよ」

そこでまた快斗は俯いて『うーん』と小さく唸った。

「コルボーは他になんて言ったんだ、キッドに」

「…大病を癒やしながら時が訪れるのを待ってたとか…」

「おまえの親父さん、本当に亡くなってるのか」

「当たり前だろ。これ以上フザケた話すんなら帰るぞ」

それは困る。二週間ぶりの待ちかねた晩だ。
仕方なくそれ以上の追求は諦めてオレはソファーの背もたれ越しに快斗を抱き締めた。

快斗の髪は涼やかな夜の香りがした。




快斗の父が八年前公演中の事故で亡くなったというのは実は表向きで、大怪我を負ったものの生存していてパリで療養を続けていたのだとしたら。
だから快斗の母親はある時からずっとパリに滞在を続け、快斗の父黒羽盗一のリハビリを助けてきたのでは……。

──ゴン！

「痛てっ」

快斗にグーで脳天を叩かれた。

「痛てえな、なんだよ」

「考え事しながらとは余裕ですね、名探偵。油断なさると痛い目に遭うとお知らせしたまでです」

「……」

不意に怪盗の眼差しになる快斗にぞくりと肌が粟立った。

いずれ真実は明らかになるだろう。
だがそれは快斗自身が自ら掴むべき真実で、オレが口出しすべき事じゃない。


素肌の快斗の滑らかな背に指を滑らせ、あとはただシーツの海へダイビングする事だけに、オレは集中することにした。






20170914
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※今日退院します～。モノクロ様、お見舞いコメントありがとうございました(^_^)ゞ

●拍手御礼
「迷い鳥」「告白～風に消えた怪盗」「想定外」「フェアリーナイト」「17歳」「囚人」「掠れた記憶」「同棲未満」「十四ヶ月」「April fool」「硝子の欠片」へ 拍手ありがとうございました(^_^)ﾉ

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