名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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ヒント(新一×快斗)
※快斗くん視点、ゆるイチャです。
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「工藤、目ぇ覚めてんだろ?」

日曜の朝。会心の〝仕掛け〟を夜なべで仕上げた俺は、少しばかり興奮を引きずったまま工藤邸を訪れた。



「工藤、おっは~」

「……………」

「なあ起きろよ。朝焼け、きれいだぜ」

「……………」

「おっはよー、おっきろー、名探偵~♪」

「……………」

工藤の奴、ベッドの中でもぞもぞするだけで顔も出さない。

「起きろって。俺なんか徹夜明けなんだぜ」

(( …だったら早く帰って寝ろ ))

布団の中から、こもった声で返事が聞こえた。

「ああ? よく聞こえねえな。顔出せよ」

工藤が被ってる布団を両手で掴んで引っ張った。

「ほらほら、起きろ~」

(( ばか、引っ張んな!))

寝起きの悪い名探偵め。
ぐいぐい布団を引っ張り合う。一度手を離して油断させ、工藤が体を返そうと動いたところで布団を逆からガバッと捲り上げた。

〝あっ〟と声を上げて、パジャマ姿の工藤が顔を現す。目と目が合って、俺も思わず固まった。

「な……、どうしたんだよ、それ」

工藤の左目の周りを、ぐるりと絵に描いたような青痣が囲んでいる。

「快斗、てめー!」

赤い顔して怒鳴ったかと思ったら、工藤のヤツ、また布団を被って丸くなってしまった。思わず吹き出しちまう。

「あははは。おーい、なんだそれ?!」

(( うっせー、出てけ、無礼モノ!))

「怒鳴んなよ。冷やしたの? 鏡見た?すげーいい感じの痣になってるぜ」

(( だからおめーに見せたくなかったんだよ! いいからさっさと帰れっ))

「そう言うなよ。せっかく名探偵にヒントを出したくて逢いに来たのに」

「・・・ヒント?」

仏頂面した工藤が布団からそっと顔を出す。

「ヒントって何のだよ」

「まあまあ、慌てんなって。先にソッチ教えろよ。イケメン探偵としては、らしくねードジじゃんか」

「別にドジったわけじゃねえ」

「〝イケメン〟は否定しないんだ」

「うるせえな。やっぱ帰れ、バ快斗」

「ツレないねえ」

工藤のベッドに腰掛けて、体を起こした工藤のボサボサの髪を直すように二三度撫でてやった。

「で、なに? 彼女にやられた?」

「ちげえ」

「犯人追いかけてて、返り討ちにでも遭った?」

「ちげえ」

「じゃあ、どうしたんだよ」

「……………」

俯いた工藤が、冴えない声で話し始める。

「───昨日たまたま通った道で、子犬の散歩してる男の子がいてさ…半ズボンで、小3くらいかな。まだちっちゃい柴の子犬を連れて歩いてたんだ」

「へえ」

「子犬がすごく懐いていて、かわいいなぁと思ってすれ違いながら見てたんだけど、脇道から急に自転車が走り出てきてさ。その子たちにぶつかりそうになったんだよ」

「へえ…」

「だから、咄嗟に飛び出しちゃったんだ」

「男の子たちの前に?」

「まぁ…そんな感じ。自転車の兄ちゃんも慌ててブレーキかけてハンドル切ったけど、勢いあるから避けきれなくてすっころんで」

「で…?」

「それで……この通りだよ。自転車の兄ちゃんを受け止めるみたいになって、肘が入ったのかな。ガーンとなって、兄ちゃんと自転車と一緒になってひっくり返って」

「その兄ちゃんのチャリ、壊れなかったかよ」

「そっちかよ。まあ、大したことはなさそうだった。オレたちに謝って、また乗ってったから」

「そのまま行かせたんだ?」

「向かいで見てた爺さんが、オレの代わりにすげえ剣幕で叱ってくれたよ」

「男の子と子犬は?」

「大丈夫。なんともなかった」

にこっと工藤が笑った。目の周りは青いけど、少し間抜けに見えるほど純粋な…ホッとするような、優しい笑顔で。

「へえ……そりゃ……」

「子犬、かわいかったな。男の子がオレに抱っこさせてくれてさ。擦りむいたオレの指をペロペロ舐めて」

「……………」

「以上。別にどうってことないだろ。テメーも言え、ヒント」

「さあ。ヒントを言ったところで、元ネタが何だか分からなけりゃ解読は出来ないぜ」

「いいから言えよ」

「〝I〟」

「あい───」

「〝Love〟」

「らぶ…?」

「〝you〟」

「………ヒントじゃねえだろ、それ」

「ヒントだよ。俺からの」

今の気持ち。

青痣付けて微笑むおまえへの、温かく広がる想い。そのほんのかけらをあらわす言葉のひとつ。

「あとは、でも秘密」

「何が秘密だよ。ヒントでもなんでもないじゃねえか」

少しはにかんだように工藤が視線を落とす。俺は工藤の背に手を回して抱き付いた。
工藤の手が俺の肩を包み込む。温かな想いと体温が伝わってくる。
不意に睡魔に襲われて、俺は工藤の肩越しに大きな欠伸をした。

寝ろよ、まだ早えし。

そう呟く工藤の匂いを吸い込んで、俺は頷いて目を閉じた。

その代わり、起きたらちゃんと何のヒントか教えるんだぜ。

─────謎解き好きな俺の名探偵。次のイベント、待ってろよな。
きっと驚かせてみせるから。とっておきの、怪盗のマジックで─────。






20130307

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※お粗末様です(*_*;

●拍手御礼「下弦の月」「寓話」へ拍手ありがとうございましたm(_ _)m


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