moonlight 新一×快斗

朧ろ憶え（新一×快斗）
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一週間ぶりに訪ねてきたと思ったら快斗の様子がおかしい。

オレと目を合わせようとしないし、テーブルのカップを取ろうとして手が触れそうになったらサッと手を引っ込めやがった。

「なんだよ」

「なんでも」

「こっち見ろ」

「やだ」

小学生か。
だんだんムカついてきて立ち上がった。
すると快斗もオレを警戒するように立ち上がる。微妙に視線を外しながら。

「なんでこっち見ないんだよ」

「なんとなく」

「それじゃ、なんで来たんだよ」

「なんとなくだよ。わりぃかよ」

埒があかない。
しかしテーブルを挟んで僅か1.5メートルほどの距離が遠い。オレが動けば快斗も動く。捕まえようとすれば逃げるのが快斗の性(さが)だ。
　
「なんか怒ってるのかよ？」

「別に」

「じゃあなんで警戒すんだよ」

「してねえよ」

「してんだろが！さっきから」

「だって」

「だって？」

黙り込んだ快斗がチラッとこっちを見る。オレと目が合ったと思ったら、急にカーッと赤くなりやがった。

「快斗…？」

「なんでもない！」

真っ赤になった快斗が腕で顔を隠す。

え？ どうした？
なんなんだよ？！！
めちゃくちゃ可愛いじゃねーかっ！！！

「あれ、快斗…腕、どうした？」

手首に擦れたような痕がある。
まさか誰かに絡まれたとか、シゴトがらみでケガをしたとか？

「こ、これは…。憶えてねぇのかよ、やっぱり」

「な…何を？！」

うおお？
キッとオレを睨む快斗の顔が悔しそうな恥ずかしそうな、形容しがたい可愛らしさで非常に堪らないんだが？！！

「こないだテメー夜中に帰ってきて、バタンって倒れて寝ちまって」

「そうだっけ」

「そんで部屋まで俺がおまえを運んでやったんだよ。ぐったりして埃だらけでシンナーみたいな匂いプンプンさせてさ」

「ああ～あれか…。あれは修羅場った後だったから(汗)」

そうか、あの晩か。
あの事件は酷かった。刑事たちと手分けして犯人が仕掛けた爆弾を探してて、残ってた最後の一発の爆発に巻き込まれそうになって。探偵グッズ一式使って紙一重で切り抜けた。

「そういやぁ──帰ったのよく憶えてないな。高木刑事に家まで送ってもらったような…」

疲れて、へとへとだった。
煙を吸って頭が痛かったし、工場の薬品の匂いで気分も悪くて…とにかく早く帰って眠りたくて。

「やーっぱ憶えてねーのか…。だよなぁ」

「だよなぁ、ってなんだよ」

「憶えてたらそんな平然としてられねーだろ。ヘンタイ」

「は？！」

へ、へんたい？？？

「工藤のドスケベ」

「ど、…ドってなんだよ！」

「ウンウンうなされてるから介抱してやろうと思って声かけたら…急に襲ってきやがって」

「えっ…えええ(@@)??!!」

「あんなことや…こんなことや、信じらんねーこといっぱいしやがって…これその時の痣だから！」

「な、な、なんだとっ？ オレが？！なにしたって？？？」

あんなことやこんなことや信じらんねーこといっぱいだとお？？？！うそー！全然憶えてねえっ！！


───いや…。


頭の中に甦るシーンがある。

朦朧としてたけど…快斗の手首を抑えたような…。

え？　あれ…妄想じゃなかったの？

あれが現実？
え？ じゃあ、あんなことや、こんなことって…オレの妄想を現実にやっちゃったって、マジでそーゆーこと？？

「………うう～ん」

「思い出したのかよ、少しは」

「うーん……あまり憶えてないけど……すんげー快斗が色っぽかったの、あれって夢じゃなかったのか」

「んだとバカッ！」

本当に、あれが妄想でなく、現実だったとしたら……。


───ゴクリ。


オレ、すげー勿体ない気持ちになってる、いま！！

「快斗」

「なんだよ」

「来てくれたんだな。それでも」

「………」

平静を保とうとしてるけど、耳がやっぱり赤いぞ快斗！！

オレは深呼吸をして座り直した。

ゆっくりと冷めた紅茶を啜る。

落ち着け、オレ。

快斗は目の前にいる。

慌てるな。

夜を待とう！！！

いぇ～い♪♪♪







20180121
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※タイトル「うろ憶え」に〝朧ろ〟を当てたのはイメージです(^-^;　軽いのを…と思ったんですが軽すぎましたースミマセンッ<(_ _)>

●拍手御礼
「ルパン三世VS怪盗キッド」「月国の魔法使い」「チビ新快」「拘束LOVE」「十四ヶ月」へ 拍手ありがとうございました(^_^)ﾉ

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