名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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クリスマス・キャロル(白馬✕快斗)
※白馬くん視点、単独パラレル──────────────────


怪盗キッドは消えた。

僕が江古田高校3年の冬に英国に戻った頃からだから、もう一年になる。



その間、以前だったら必ずキッドが狙っていただろう高名なビッグジュエルが、何度か日本の地で展示される機会があったはずだが、そのいずれにもキッドの動きはなかったようだ。

それでも警察は万が一に備え、対怪盗キッド用にあらゆる想定をして警備にあたったそうだが、結局すべて肩透かし。

怪盗は何らかの理由で再び姿を隠したのではないか。過去に8年間姿を現さなかった事実もある。もしや死んでしまったのでは。いや、海外に脱出したのかも───。

しばらくはテレビやネットで騒がれていたようだが、すべては憶測に過ぎず、怪盗の正体は杳(よう)として知れぬまま日常は今へと続いていた。


そして今夜、僕は再び日本へと旅立った。

成田が近づくにつれ、あの時の切ない想いが甦り、切なさに唇を嚙む。



─── 一年前、僕は僕なりに決心し、黒羽に想いを伝えた。側にいてほしいと…共に渡英をと、提案したのだ。

だが、黒羽はその時、僕を見つめ返してはくれなかった。大きな瞳を彷徨わせ、なにか小さく呟くと僕に背を向けた。

僕は…だから諦めたのだ。



それを、ずっと悔やんでいた。

もっと強く、もっとハッキリと気持ちを伝えればよかった。黒羽の背を抱いて、抱きしめて離さなければよかった…。

黒羽はどうしているだろう。

学校から送られてきた卒業アルバムのPDFには、クラスの仲間と共に写る笑顔の黒羽がいた。
いくつもある黒羽の “貌” のなかで、僕が最も好きな彼の笑顔だった。

僕のことなど、彼にとっては過去の一場面でしかないのだろう。それでも。

もう一度だけ、想いを伝えたい。

そして今度こそ諦める。

もう一度、黒羽に逢えたなら。

それが最後になってもいい───。







到着は19時15分。入国手続を経て、ターミナル内で僕は一服することにした。
迎えは頼んでいない。
当然身内は僕の来日を知っているが、今夜の便とは伝えていなかった。

日本に戻って、最初に会いたい相手は “彼” なのだ。

黒羽。

このまま彼の自宅へ向かったら、何時になるだろう。
彼なら起きているかもしれない。外出して、いないかもしれない。
いても、……会ってくれないかもしれない。

我ながら情けない。
想いを伝えたくて、どうしても会いたくて日本に戻って来たというのに。
メールの一通すら、出す勇気もない───。



クリスマスが近い。ヒースローもそうだったが、日本でもツリーやリースがそこかしこに飾られていた。

「紅茶です。どうぞ」

「えっ」

ウェイターの声。
カフェのテーブルにかちゃりとカップアンドソーサーが置かれる。

「あ───」

いや…僕はまだオーダーをしていない。

店に入って席に着いたものの、もの思いに耽りぼうっとしていた。

「………」

温かそうに立ち昇る紅茶の湯気と良い香りに、ふと気持ちが和らぐ。

「どうもありがとう。チップを」

「ここは日本だぜ。ノーチップ、ノー・プロブレム」

急に砕けた口調になったウェイターの様子に驚き、僕は顔を上げた。

「よっ。おかえり、白馬」


「・・・・」



────僕は、夢を見ているのだろうか。


ふわふわと跳ねた癖毛。

にっと笑う口元。

いたずらっぽく見開かれた、大きな瞳。

ウェイター姿で立っていたのは一年前に別れたきりの僕の想い人、黒羽快斗だった。


「く……」


僕が絶句していると、黒羽は笑顔のまま自分の口元に人差し指を当てた。

「し〜。まだバイト中だから」

「き、君、なのか…? ど、どうして」

僕はよろめくように手をついて立ち上がった。

「近々日本に来るって言ってたろ、何かのインタビューで。ま、ここで張ってた俺の読み勝ちだな」

インタビュー、だって…?

数週間前の英某誌の記事『DIRECTIVE』か。Web掲載もされた───。

「あ、あんなもの…、よく…」

「ちょうど一年ぶりか。元気そうじゃん。バイト、もう終わるからちょっと待ってろよ」

背を向けて店の奥へ向かおうとする黒羽。

僕は咄嗟に彼の腕を掴んでいた。

驚いたように振り向く黒羽。

僕は───黒羽を抱き締めた。





店内にいた数人の客から何か祝福のコールがあった気がする。

僕の背を叩いてもがいていた黒羽も、いつの間にか僕に体を預け、背に手を回してくれていた。


伝えたいことがたくさんある。

聞きたいこともたくさんある。

この先、どうすべきかなんて解らない。

それでも、この手だけは二度と離さないと僕は誓う。

『白馬のばぁ~か』

耳元で呟く吐息混じりの黒羽の声に、『そうです、僕は馬鹿だ』と応えた。

しばらく、僕らはそうしていた。

遠く、クリスマス・キャロルが流れていた。






20221217
──────────────────




※怪盗は?の説明や、一年前に快斗くんがなんて呟いたのか…など、穴だらけでスミマセン。説明っぽくなってしてしまうのでバッサリ割愛しました(汗)。書きたいトコだけの雰囲気サイトなのでお好みで脳内補完していただければ幸いですm(_ _;)m。

追記 それにしても、白馬くんだと『誓う』という言葉がスラッと出てかるから不思議です。さすが白馬くん。

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