グッナイ・サマー・バースデーII《おまけ》(白馬×快斗)
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目が覚めて、あれ…ここどこだっけ?と思って顔を上げたら、白馬がいた。
「わっ」
そーか、白馬の部屋だ。まじい、ホントに寝てた!
「黒羽くん…君は、どうしてここに…」
白馬も寝起きのようだ。ベッドに体を起こして、不思議そうに俺を見ている。
「ははは。白馬、髪の毛跳ねてるぜ」
「君だって」
「うるせえな。俺はもともと跳ねてんだよ」
自分の部屋をぐるりと見渡して、もう一度白馬は首を傾げた。
「ここは…僕の部屋に間違いないですよね。いったい君はいつからここにいるんですか」
「ったく、ヘロヘロで憶えてねえんだな。おまえが帰って来た時からずっといたぜ」
「ええ?」
白馬の頬がサッと紅潮する。
「それじゃあ……もしかして、僕の帰りを待っていてくれたんですか?」
「今日は何の日だよ。解かんだろ、そのくらい」
白馬が赤くなるから、こっちまで赤面しちまう。
白馬がベッドを降りる。ドキッとして立ち上がりかけたら、膝を着いた格好のまま抱き締められた。
温かい。
クーラーで冷えた体が、急激に火照り始めていた。
「僕は、夢かと…夢だと思っていました」
「寝ぼけやがって」
「目が覚めました。ありがとう、黒羽くん」
「……」
白馬の吐息が頬にかかる。躊躇っていると、顔を覗き込まれた。
白馬の指先が俺の顎に添えられる。
「はく…」
「黙って。黒羽くん───」
あ…。
白馬の唇が、微かに触れた。
と、その瞬間。
突然の大音響が俺たちの耳をつんざいた。
パン!! パンッ!!!
「うわあぁっ ☆☆?!」
クラッカーだ。驚きすぎて、俺と白馬は互いのおでこをゴツンとぶつけてしまった。
「イテエッ!」
「小泉さん! 中森さん!?」
オーッホッホッホ!
現れた紅子の高笑いが部屋を席巻する。
「甘いわね、あなたたち。紅の魔女であるこの私がそう簡単にあなたたちの想いを遂げさせると思って?」
「おじゃましま~す。白馬くん、誕生日おめでとう! ばあやさんが快斗はとっくに来てますって通してくれたの♪」
「青子!」
げげ。もうそんな時間なのか。俺、どんだけ爆睡してたんだ?!
「もうすぐクラスの男子も来るよー♪ 快斗、準備はオッケー?」
「た、たりめーだろ!」
「黒羽くん…」
「あ・・・、ご、ごめん、白馬!」
やべーー、だ、段取りが~(@@);;;;;
突然無断で大勢押し掛けるパターンになっちまった。
ドタドタと足音がして、間髪入れず悪友たちがなだれ込んできた。
「よおっ白馬、誕生日おめでとさん! ほれゴージャス花束。女子から渡してやれよ」
「ケーキもとってきたぜえ。ジュースとポテチはオレたちから!」
それじゃあいい? いくよっ、せーの、と青子が音頭をとる。
ハッピーバースデー・トゥーユー♪
ハッピーバースデー・トゥーユー♪
ハッピーバースデー、ディア~白馬くーん♪♪
ハッピーバースデー・トゥーユ~~~…♪♪♪
───パン、パン、パン、パン!!
クラッカーの連打とみんなの拍手。
〝誕生日おめでとう〟という祝福の声。
ほんの数分前まで二人きりだった白馬のプライベートルームは、いまやドンチャン騒ぎのパーティー会場と化していた。それも主役に断りなく(>_<)。
しかしこうなったら言い出しっぺとしてはやるっきゃない。
じゃあん!と自分で効果音を発し、俺は両手を大きく広げた。
パチンと指を鳴らす。一羽、二羽、三羽と白鳩が羽ばたきしながら飛び出す。
きゃあきゃあと喜ぶ青子と、どうなってんだよと騒ぐ悪友ども。紅子は自分の紅魔術の出番を待っている。
「では…本日の主役から一言お願いしま~す!!」
って青子、さっきからなに仕切ってんだよ!
白馬が無言で立ち上がる。
皆が白馬に注目し、部屋が静まった。
白馬が肩を竦め、大きなため息を付く。
「まったく。こんな滅茶苦茶な誕生日は初めてです。こんなふうに賑やかに祝ってもらうのは…」
白馬が、笑っている。
「しかしサプライズにもほどがあります。せっかく集まってくれたのに、皆をもてなす用意を何もしてないじゃありませんか」
俺を見てウィンクした白馬は、それから声を上げてアハハと笑った。
恋人として贈るはずだったファーストキスはお預けになっちゃったけど。押し掛け強行パーティーになってしまって悪かったけど。
それでも、白馬のこんな笑顔が見られてよかった。
多分、あとで文句を言われるに違いないけど。
ハッピーバースデー、白馬!!
俺の。大好きな。
20140829
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※…お、お粗末様です。軽甘イチャなオマケのつもりが、書いてるうちにこんなんなっちゃいましたーー(*_*;
白馬くん、と、とにかく誕生日おめでとうっっ!!
[17回]