名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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野暮2
※前回up『野暮』の翌日編。カテゴリ分類キビシー(*_*;
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ちょっと甘かったか。

治まらないムカムカに放課後まで机に突っ伏したままでいると、誰かが教室に入ってきて、俺の脇で立ち止まった。




「黒羽くん、帰らないのですか」

白馬。なんで。とっくに迎えの車で帰ったと思ったのに。
返事するのも億劫で寝た振りをしていると、屈んだ白馬に耳元で囁かれた。

「中森さんはどうしたんです」

「………」

青子は親父さんに届け物があると言って帰った。俺が先に帰れって言ったんだ。

(?!)

徐(おもむろ)に俺の脚の下に白馬が腕を入れてくる。

「──わっ」

焦って目を開けた。白馬のヤツ、俺を抱き上げやがった。

「ヤメロ、降ろせ、ハクバカ!」

「ああ、起きていたんですか」

しらジラしー。ど突こうとしたが方向転換した白馬にぐるりと回され、オエッとなりかけて俺は固まった。

「黒羽くん、本当に具合が悪そうですね」

うるせー、腹が減って力が出ねえだけだ。昨日から口にしたもんと言えば解毒剤だけ。

ゆらゆら揺られて目を瞑った。目を閉じたら抗う気も失せてゆく。そのうちジンワリ白馬の体温が伝わってきて、あっという間に強力な睡魔が襲来してきた。ぜんぜん眠ってないせいだ。

白馬は悠然と廊下を歩いてゆく。下校時間をとっくに過ぎてるからか、人気は感じられない。静かだ。

───軽いですね、黒羽くん。

白馬の声が遠く聞こえる。
モーダメ、眠い…限界。抱っこされて眠っちまうなんて俺ってばお子ちゃまかよ…。

沖矢の顔がぼんやり浮かんだ。
あの居候、工藤に俺のこと話したりしてねえだろうな…。
意識があったのはそこまでだった。
俺は眠ってしまった。実際には白馬が歩き出してから、たぶん一分足らずで。






・・・・  ・・・・  ・・・・


 

通用門に待たせた車にたどり着き、僕は眠る黒羽を後部座席に座らせた。立ち上がると、いつの間にか沖矢昴が横にいた。

「ありがとう、白馬くん」

「あなたに礼を言われる所以はありません」

「これを」

沖矢がシルバーのペンケースのようなものを差し出す。

「何ですか」

「注射器と薬だ。黒羽くんの症状に、たぶん効く」

「こんなもの渡されても、医師でもないのに打てませんよ」

「君はイギリスで応急治療の講習を受けているだろう?」

そうだが、なぜこの男はそんな事を知っているのだろう。そしてなぜ黒羽を案じ、会ったこともない僕に連絡をよこしたのか。

昨夜街中で偶然倒れている黒羽を介抱したと言うが、この男に黒羽が簡単に素性を明かすとは思えない。なのに黒羽が江古田高校の生徒だと知っていて僕に連絡をしてくるとは。

「白馬くんが訝しむのも当然だが」

「黒羽くんが毒を飲んだとあなたが知り得たのはなぜです。その毒の種類まで見当をつけられるあなたはいったい何者ですか」

「まったく…野暮な話だよ」

「え?」

沖矢は僕の肩越しに車内の黒羽をチラリと見やって小さく破顔った。

「君こそ、私の話を聞いて動いてくれたのはなぜかな」

「僕は〝彼〟に関しては盲目的なところがあるので」

この男に嘘をついても無駄だろう。チクリと胸に棘が刺さるのを感じながら、僕は本当のことを言った。

「好きになってしまったので…黒羽くんを。ただ見守ることしか出来ませんが」

沖矢は何も言わず、真顔で僕を見つめてきた。

「確かに…この少年の頑なそうな瞳が余計そうさせるのかもしれません。しかし…」

「工藤新一は違う」

沖矢に指摘される前にまた僕は言った。工藤との差。解ったようなことをこの男に言われるのは僕としては余計にプライドが許さない。

「ほう…、その〝差〟とは」

「単純なことです。黒羽と工藤は対等だ。互いを庇ったり、互いに寄りかかる事を良しとしない」

「なるほど」

僕には出来ない。ついつい黒羽に手を差し伸べようとしてしまう。一方通行の想いだけがそうさせるのではなく、どうしようもなく総じて僕は黒羽に甘いのだ。

───坊ちゃま、そろそろ。

運転席のばあやが遠慮がちに促す。僕は頷いた。

「白馬くん、そのままでも明日には落ち着くでしょうが、黒羽くんの体力があまり落ちる前にその注射を」

念を押す沖矢の声に振り向いたが、すでに沖矢は僕に背を向け歩き出していた。

沖矢昴。工藤邸の居候。
大学院生という肩書きが仮のものだという事くらい僕にも解る。しかし工藤新一の事情に敢えて首を突っ込むつもりは毛頭ない。
だから沖矢の真の貌も、朧気に想像は付いているが、今のところ暴く必要は感じていない。

後部座席の反対側から乗り込むと、僕は直ぐにシルバーのケースを開けた。ちゃんと消毒薬も一式入っている。
僕は黒羽の袖をめくり、肘の内側の一番見つけやすい静脈に注射器の針を入れた。研修で数回やったことがあるだけだったが、沖矢にああ言われてはやるしかない。

黒羽は眠っている。

家に向かってくれ。僕はばあやにそう言った。黒羽が目覚め、元気を取り戻すまで見届けるのが今日の僕の役割だ。
黒羽の横顔を見ながら、僕は沖矢が言った言葉を思い返していた。

〝野暮な話〟…か。

沖矢も魅入られたのだろうか。黒羽に。あるいは、もしかしたら工藤に。
僕はため息をついた。
僕のしていることも〝野暮〟に違いない。

ふと、黒羽の鞄を置き忘れてきたことに気付き、後で黒羽から相当文句を言われるだろうと想像して、僕は少しばかり笑った。






20170410
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※あれっ…、もたもた考えてるうちに話が変わりました(汗)。というか本当は快斗くんがなぜ毒を飲んだのかを最低限説明しようと思っていたのですが、説明臭くなりすぎて面白くなかったので結局スルーのまま今回も終了ですスミマセン。

★来週は劇場版『から紅の恋歌』公開ですね! キッド様は出ないけど楽しみです。平次~今度こそキメてくれるんやろなァ(^^)!?


●拍手御礼
「空耳」「確率」「未明の道」「身代わり」「蠕動」「誤認恋愛」「野暮」へ 拍手ありがとうございました(^_^)ノ


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