《特別パラレル》ルパン三世VS怪盗キッド
※ルパコナ映画に触発されてのおちゃらけパロディです。映画とは被ってないのでネタばれにはならないかと…。ルパン三世おじさま視点にて。
かるーく読み流してください~(^^;)
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「おじさま~っ!」
「うほほほーっ? アレマァ、どこかでお逢いしたことあるよなカワイコちゃん! こんな時間に一人でお散歩なんて危ないでしょオ?!」
「うふ。私…どうしてもおじさまと一緒にいたかったの。だからあれからずうっと練習してたのよ!」
「あれから…って?」
深夜の街角で出逢った儚げなカワイコちゃん。ほっそりした体をタイトな革ジャンに包んで、壁の上から意外な身軽さで俺様の前に舞い降りた。
「やっと逢えた…。逢いたかったわ、私のルパン!」
「へ…っ?!」
ウルウル潤む大きな蒼い瞳。え…。
そんな、まさか。まさか。
「ク…クラリ…ス、なのか?!」
「そうよ!」
「うっそぉ! なんでまた日本に?!」
「ルパンが日本にいるって世界中でニュースになってるわ! だって待っていたってあなたは私の国に戻ってきてくれないんですもの…!」
細い肩がふるふる震えている。ごくん。
少し大人になったクラリスは可憐さはそのままに、飾らぬ美しさが一段と増していた。
「な、な~に言ってんだよ。ダメだって言ったでしょ? 俺みたいに薄汚れちゃいけないんだって!」
「ごめんなさい…。でも」
俺の手を離れ、小首を傾げたクラリスは少し哀しげに微笑んだ。
「この〝月の涙〟だけは見逃せないんでね!」
「はっ…?」
ふわりと浮き上がったクラリスが真っ白な閃光に包まれる。
「うわっ、クラリス?!」
たった一秒。
眼を閉じている間に、俺の〝お姫様〟は完全に姿を変えていた。
不二子曰く、〝怪盗キッド様〟に。
「でっ…でっ、出たなぁっ! おまえが怪盗キッドかっ!!」
「こんばんは、ルパン三世殿。お目にかかれて光栄です」
長いマントを靡かせ俺の祖父ちゃんを彷彿とさせる姿で颯爽と立つ白い怪盗は、街角の高い塀の上にまるで体重を感じさせない身軽さで立っていた。
…クラリスに変装していたのが怪盗キッドだとぉ?
変装は俺だって専門だ。なのに間近で見て見破れないとは────。
はっと襟元の感覚を探る。宝石がなくなってる。しまった、さっき抱きつかれた時に!
「ああ…残念です。これは私が求めているジュエルではありませんね。失礼しました。ルパン殿にお返ししましょう」
「怪盗キッド~!! てめえっ、よくも俺様の純情を手玉に取りやがったなぁあ!!」
若いがしたたかな怪盗は小さく肩を竦めて微笑んだ。
「ふふ。美女に目がないとはもっぱらの噂ですが、中でも特に〝いたいけな美少女〟には滅法弱い。そんな事は旧ルパン三世時代から世間に知れ渡っています。盗んだお宝をどこに隠して持ち歩くかだって、一度でも〝カリオストロ〟を観た者なら知らぬはずがない」
くっそ。不二子が映画でバラしたせいだ。
しかしこんなボウヤにからかわれて、このままハイサヨナラされたんじゃあ俺様の〝年季〟がすたる。
抜きざまワルサーを三発撃った。飛び上がった怪盗が着地する、その場所に突進した。
「おおっと。動くなよ、怪盗キッド」
まだ熱いはずの銃口を立ち上がった怪盗の背に押し付けると、怪盗は小さく口笛を吹いた。
「私を撃つのですか?」
「まさか」
怪盗の肩を掴んで振り向かせ、その細腰に腕を回して抱き寄せた。
クラリスのものかと一瞬でも見紛った美しい蒼い瞳。モノクルに片方隠れていても、確かにその瞳は映す者を虜にするだけの輝きを秘めていた。
ぐっと顔を近づけると、はっとしたようにキッドの体が強ばった。
どき。
あ…れ?
どきん。
あ、あれれっ?
どきん。
どきん。
どきん。
アレレレレレレ??!!
どどどどどどどどっどきんっっ!!
「うひょおぉおおっ??」
突然不規則に跳ね上がった鼓動に、いいトシした俺様の心臓が慌てている。
な、なんだ、どうなってる?!
どんなオンナ抱き寄せたって、こんな跳ねるようなドキドキ感じたことねぇーーーっ(@@)???
《《 パァン!!》》
「うわわっ?!」
しゅわーーっと腕の中からすごい勢いで煙幕が噴出する。やられた。腕に抱いていたと思ったのはいつの間にかすり替わっていたキッド人形。
「怪盗キッド!!」
「ルパン殿! 目的がすんだら速やかに国外に去られる事をお勧めしますよ! 日本には厄介な探偵たちが大勢いますのでね」
「なんだそりゃ。こっちは銭形のとっつぁんだけで間に合ってるっつーの!」
「工藤新一。白馬探。服部平次。世良真純。ほかにもいます。それに警視庁の刑事たちだって侮れません」
「わーった、わーったよ。出てきゃいーんだろが、テメーの縄張り荒らすなってか?!」
「そんなセコイことは申しません。ご挨拶を兼ねて、お見知り置きをと……」
すうっと、闇にかき消える瞬間、怪盗キッドの詠うような声が響いた。風に乗って。
──────次はルーブルでお会いしましょう、ルパン殿─────。
「消えた…」
いま…なんつった?
ルーブル…だとぉ?
ナニィ~~~ッ?!!
取り残された俺はさぞ間抜け面をしていたんだろう。
いつのまにか両脇には渋い顔をした次元と五ェ門が立っていた。
「東京がこんなに仕事がしにくいとはなぁ、ルパン」
「さきほどの怪盗が申す通り。長居は無用でござる。さ、参ろう」
「おまえら…」
深夜の街に雑踏の音が蘇る。
ここがTOKYOの中心地だって事を今更のように思い出す。
面白れえ。
怪盗キッド、パリで俺様とやり合おうってのか。
てめえが予告状出した日にゃあ、日本の厄介な探偵たちもこぞってパリに集結すんじゃねえのか?
若い〝怪盗〟だけでも面倒なのに、そのうえ若い〝探偵〟たちまで引き連れて来られちゃ堪んねえってんだぜ、まったく。
ひとまず…あばよ、怪盗キッド。
またいずれ逢えるってことだろ。
おまえさんのその蒼い瞳に。
誰にも負けねえって自信に溢れた、その小憎たらしくなるほどの若さってやつに。
20131211
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※えー、特に落ちもなく…めっさお粗末様でございました~(x_x)。
●拍手御礼
「ぎゅっとハグして」「閃光(改)」「セカンド・チャンス」へ、拍手ありがとうございました!
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