名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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羨望《京極vs快斗》
※京極さん視点にて(汗)。ショートです。
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打ち倒した。

しかし手応えはまるでなく、そう思ったのは残像がおれに見せた幻影でしかなかった。



「あっぶね」

風に靡く柳の如くおれの拳をすり抜けた男は、微かな笑みさえ浮かべ、今またおれのすぐ脇に佇んでいた。

「いきなり正拳突きってアリ? 」

「貴様、何者だ」

「相手(ひと)に名を訊ねる時は、自分から名乗るのが礼儀だろ」

黒衣に黒のキャップを被った若い男だった。身軽で柔軟な肢体。女かと一瞬見紛うほど。

「賊にこちらから名乗る必要があるか」

「〝ゾク〟ってさァ」

小さく肩を竦め、苦笑いする。

近い。拳も、蹴りも、十分な打撃を与えるためにはあと半歩離れて繰り出す必要がある。
そっと身体を回して後ずさると、首を傾げるような仕草を見せた男は空かさず再び間合いを詰めてきた。

「うーん? あんた、見たことあるかも」

「目的を言え! ここが鈴木財閥の邸宅と知って侵入しようとしていたのなら、逃すわけにはいかん」

「まさか」

────ひゅ。

しなやかに撓(たわ)む。
次の瞬間、男は飛び上がっておれの肩に手を着き、くるりと体を翻していた。

空を舞う。スローモーションのように…。
魅入られ、直後に我に返っておれは息を呑んだ。

大会で対戦する猛者どもにも完全に避けられたことはない必殺の回し蹴りを、いくら間合いが悪かったとはいえ、素人にかわされたのだ。
いや────ただの素人ではない。この男は…。

トンと地に舞い降りた男は、横顔でおれを振り向いた。

「思い出した。こんど空手の世界大会に出場する京極真選手だ。どーりでコワモテ!」

「逃がすかっ」

「やめろって。侵入しようとかしてないし。勘違いで一般人に空手で怪我させたらオオゴトだぜ」


────真さ~ん、どこぉ? お風呂どおぞ~。


「!」

園子さんが窓から身を乗り出している。

「園子さん、警察に通報して下さい!!」

────エッ? なんで?

「この男が不法侵入を…」


目を離したのは一瞬だった。
目を逸らしても、男の気配は掴んでいるつもりだった。
だが、もう一度男に手を伸ばそうとしたおれは、伸ばしかけた手を空にさまよわせた。


男は消えていた。まるで溶けるかのように、最初からそこには誰もいなかったかのように、完全に消え去っていた。

「………」

ぞくりと肌が粟立つ。

このときおれが覚えていたのは、誰とも知れぬ不審者への警戒心ではなかった。手の届くところにいた相手を打ち倒せなかった悔恨でもない。
それは、ある種の〝羨望〟だった。

これまで自分が目指してきた強さとは全く違う、なにか。そのなにかを、さっきの男は備えていた。
届かなかった拳を握り締め、おれはしばらくその場所で夜空を見上げていた。

流れゆく雲間から覗く美しい月を、懸命に、探すようにして。
茫然と見上げていた。





20140711
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※あー…手始めはこんなとこから…ってことで細部端折ってますがお許しを (*_*;
※もちろん京極さんが〝桁外れの動体視力と俊敏さを併せ持つ超人〟だ…と言うことは重々承知してるんですが、なんせ私…キッド様&快斗くん派なもんでスミマセン!!(^^;)!


●拍手御礼
「悪酔い」「そう遠くない未来・君のバースデー」「想定外」「有り得ない」、さらに「ひとりごと」へも拍手いただきました。ありがとうございます!(^^)!

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