名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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2011年8月26日よりブログ開始
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2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
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怪盗の落とし物(平次編)
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「コラッ、待てえキッドー! 」

手を伸ばし、おれは怪盗のふわりと浮く長いマントに飛び付いた。




指先に布の感触。届いた!!

と──思ったら。

「オワッ、アタ、アタタタッ!」

ゴン、ゴン、ズデ、ズデデン。

膝、腹、肘、顎の順に、おれはクソ固いコンクリの上に叩きつけられた。

「あいたーっ!! かーっ、チックショー! キッドの野郎~!!………て、アレ?」

手はしっかり怪盗のマントの裾を握り締めていた。

だが、マントだけや。

怪盗おらん。

てか、ここァ地上50メートル超の高層ビル屋上やで。

マントなくて、飛び立った怪盗どうなったんや?!

「アカン!! えらいこっちゃ!!」

よもやおれがマント掴んだせいで、キッドは翼失くして真っ逆様に落っこったんちゃうか!!!!

嘘や!!

おれ殺人犯?!

キッドが堕ちて死んでもうたら…おれは…おれは・・・

工藤に殺される!!
いや、そーやないて!!!



「うふふふ」

「笑いごっちゃない!! ああーっどうしよう!!! キッド落っこちて死んでもうたんやないか!? うあー怖うて下見られへんがな!! 誰か!無駄やと思うが救急車呼んでくれ!!」

「まあ、無駄でしょうね、救急車は」

「あああ~ほんなら霊柩車か…、ぐあーどないしたらええんや! おれがキッドのマント引っ張ったさかい…」

「ですね。これに懲りたら無謀な追跡は今後お控えください、服部探偵」



「…………」




おれはコンクリに押し付けた額をようやっと持ち上げた。

誰やねん! 人が過失致死の罪悪感に苛まれとるっちゅうに平然と説教たれるボンクラは!!

「───というわけで、お返し願えますか。そちらのマント。大事な一点物でして」



「ハア…?」




なんや目の前が霞んでよう見えん。

夜明けや。

明け方の霧が昇る陽の光を拡散して、辺り一面真っ白や。


コンクリに正座したら目の前に誰か立っていた。


「かなり強く打ったようですから、きちんと手当てなさって下さいね」


「おま…誰や」


目の前に立っとんのは天の使いか。

真っ白な靴に真っ白な服。

ほんでまっ白な指先…。

「怪盗キッドです。ご心配いただき心より感謝いたします。服部探偵」

気付いた時には、掴んでいたはずのマントは怪盗の手に返されていた。

おれ、いつ手ぇ放したんやろ。

なんかアチコチ痛いし怪盗生きとってホッとしたし目の前チカチカするし(コレは朝日陽が眩しいからや)、とにかく動けずおれがボケッとしとる間に怪盗は長いマントを元通り肩に装着したようや。

───ほうか。

もしあんまま怪盗が飛び立っていたら、裾掴んだだけのおれはすぐに振り落とされて地面に真っ逆様。
ペチャンコになるところを、怪盗がとっさにマントを外して飛び立つのをやめたおかげで───助かったんや。

エラいアチコチものすご痛いけど、痛いのは生きとるからで、もしおっこっとったら今頃おれの亡骸は目も当てられんほど酷いことに…。

「さぶっ! コワッ! アブなっ!!」

今さらゾクゾクして震えを覚えて肩を竦めると、最後におれを振り向いた怪盗と目が合った。

揺れるモノクルの飾り紐がチャーミングや…。

もう、待てとは叫ばなかった。

次は命綱用意やな。ウン。

おれはこれでも反省を次に生かすタイプなんや。

見とれ怪盗キッド。

次はマントの裾やない、おまえの胴体に飛び付いて抱き付いて放さんからな。

「キッド、おぼえとれよーーーー!!!」

おれは空に向かって怒鳴った。

微かに〝わかりました〟という怪盗の返事が聞こえた気がした。






20181118
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※一つ前のが重くて数日推敲してたので、次はお気楽シリーズが書きたくなってこんなんなりました。このテイストで新一編、白馬編も書こうかな(^^;)

●翠さま、雫水さま、いつも拍手コメントありがとうございます! 励みになってます~♪



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