名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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ダブルムーン《3/3》R18(新一×キッド)
カテゴリ★こういうこと

※東京都下、今夜の満月美しすぎです……!
──────────────────────────────

静かに工藤が振り向いた。

部屋に入った俺へ……手をさしのべる。


「相変わらず人を待たせるやつだぜ」

「工藤、俺……」

謝ろうと思った。
〝雨だったから〟と言いわけを用意し、前回の満月の夜をスルーしたこと。
だけど、その暇もなく気付いたら抱き締めあっていて……気付いたらキスを交わしていた。

窓から緩く吹き込む夜風と工藤の指に髪を梳かれる。互いの鼓動がだんだん重なって、まるで一つに溶けてゆくようだ。

こんな優しいキスできるんだ…こいつ。

さっきまでの不安があっという間に消え失せてしまった。

こんなに安堵して……こんなに懐かしい気持ちになるのは、何故だろう。
どうして今まで気付かないふりしてたんだろう。

俺は……こんなに工藤が好きだったんだ。


「───素直だな、快斗。今夜は」

唇が放されると、俺は目の前の工藤の瞳をじっと見つめ返した。

「工藤こそ…めずらしく優しいじゃん」

そう応えると、工藤がぱっと綻ぶような笑顔を見せた。こっちがうれしくなるほど魅力的な。

「快斗」

「なんだよ」

「快斗」

「だから、なんだよ」

微笑んだ工藤がそっと窓を閉める。美しい満月が一瞬ガラスに映って二つに見えた。
そして急にしゃがんだと思ったら脚に腕を回され、お姫様だっこされた。

「お…おいっ?」

ぐわっと振り回されて、ベッドに落とされる。
工藤が両手を脇について、真上から俺の顔を覗き込む。工藤の熱が伝わってきた。

「……やっぱ……やんのかよ?」

「あたりめーだ。どんだけ待ったと思ってんだ」

「そんなガツガツしないで、たまにはゆっくり月を見ながらお茶ってのはどうかなぁ」

「ばあか。よく言うぜ…約束破りやがって。今夜も来なかったら、明日はおまえんとこの高校に乗り込んでやる気でいたんだ」

「げ。まじかよ」

そこまで掴まれてんだ、俺のしっぽ。そりゃそうか。よかった……今夜晴れてて。もし今夜も月が隠れてたら、俺またバックレてたかもしんない(汗)。

「で、でもさ」

「問答無用。ゆっくりお茶したけりゃ、ここで俺と一緒に暮らすんだな」

「はぁ? なに言うかと思えば、またムチャ振りかよ」

「おめーがニブ過ぎるんだよ。何回告れば分かるんだ」

そんなこと言ったって。

「〝名探偵〟は〝怪盗〟の謎が解ければ気が済むんじゃねえかって───」

工藤が、ふ、と息を吐いて呟く。

「まったく。救いようがねえな」

「なにがだよ」

「もう黙ってろ。思い知らせてやっから。どれだけ俺が待ってたか」

額に工藤の手のひらが当てられ、そのまま髪をかきあげられる。
全開のオデコに軽いキス。

……工藤の瞳は真っ直ぐすぎる。

微かに射す蒼い月明かりを弾き、キラキラと輝いて。

「快斗」

「……うん」

「黒羽快斗」

「フルネームで呼ぶなって」

「何度でも呼んでやるさ」


快斗。待ってたんだ……快斗。

そう囁きながら工藤の瞳がすうっと降りてきて────俺たちは重なり合った。
目を閉じて。一つに。







波に、揺られる。

波間に浮かぶように。意識が途切れ途切れで……よくわからない。
上を向いているのか。下を向いているのか。不意に大波に襲われて、うねりにのまれて息苦しくなる。

いま……いま、どうなってんだ、俺……?

くどう。

工藤の吐息が熱い。

切なく息を乱し……俺の肩に口付ける。

───あ…!

繰り返すさざ波が、やがてうねりへ。そして押し寄せる波となって激しい衝動が湧き起こる。

もう、とまらない。とめられない。

工藤……。

好きだよ、おれも。おまえが。

くどう…………。











・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ぐらっとベッドが揺れて目が覚めた。

あれ……? ここ……どこ?

外が……明るい。

いま、何時…………?

「───痛てっ!」

背中から回された工藤の指先に、胸を抓られていた。

「ばっ……、やめろ、痛てえだろっ」

なんだか声が掠れてて恥ずかしい。

フフ、と笑う工藤の吐息が耳にかかった。
手首に何か───巻かれる。

え? なに……やってんの……?

『え!?』

ハッと気が付いたときには、両手をがっしり後ろで縛られていた。

え、え、ええーーっ (@@);;;??

「……工藤っ」

「そんじゃ、こっから第二ラウンド〝お仕置き〟な」

「はぁ?? 」

「満月二回目いただくぜ。夜中の第一ラウンドは約束を守った〝ご褒美〟」

かああと頭に血が上る。
なん……なんだってーー??

「テメーッ、ふざけんなっ!!」

「ふざけてなんかねーよ。おまえが自分から抱きついてこなけりゃ、ラウンド逆のつもりだったんだ」

なに言ってんだこのバカ。意味わかんねえ。何の順が逆だって……??

「もしかして、部屋の灯り消してたの……」

「当たり~。縄(コレ)に気付かせないためさっ♪」

「や、やっぱり罠だったのかよ! アクマ! ほどけっ、放せっ!!」

「約束破ったのは自分だろ。心配すんな、乱暴はしねえよ。おまえの困った顔すげえよくって、忘れらんなくてさ……」

「ヘンタイ! これが乱暴でなくてなんだっつーんだ!!」

下肢を這う指先にぞわりと肌が泡立つ。
工藤の唇が背中を辿り出した。

ひでえ。

やっぱり、やっぱり、難癖つけられたーっ(大泣)!!

前言撤回っ!! さっきのは気の迷いだ! 誰がこんなヤツ好きなもんかっ、ふざけんな! バカやろーーっ!!!!!!

────絶叫は俺の心の中で空しく反響しただけだった。



俺たちのデコボコで可笑しな恋の迷路。これが果たして〝物語〟と呼べるのかどうか。

明け方の西の空にはぽかんと呆れ顔した白い満月がまだ残っていた。

まるで〝お手上げ〟とでも言うように。








20120831

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あとがきというイイワケ(*_*;

ううー(>.<) まとまりきりません! このカテゴリ、今回でひとまず一区切りのつもりなんですが……。とか言ってて同じ設定でなんか思い付いたらまた書くかも?です(++)。

※まきさま、拍手コメントありがとうございます!「インターセプト」へのコメントでは、私の方が萌えさせていただきました(*^^*)!


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