名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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オブザーバー《3/3》(新一×キッド)
カテゴリ★インターセプト
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炎は爆風で大きく揺れ動いた。まるで舞っているかのように。

あのヘリの連中はいったい何者だ。キッドをいとも簡単に狙撃し、キッドの手からジュエルを奪い去った────。


快斗の姿を求めて、オレは二階へ駆け上がった。

いるはずだ。
オレを待っているはずだ…!

部屋のドアに伸ばした指が、震えていた。



「────快斗」


明かりが落ちたままの室内。
窓際に立つ快斗の表情は、暗く陰になって判らない。
上擦る呼吸を抑え、部屋に入った。

快斗が不意に動いた。
真っ直ぐオレに向かってくる。

「快斗…!」

肩を突かれ、ドアに背がぶつかった。

「なんともないのか」

低く掠れた快斗の声。

「………」

「ケガはないのかって訊いてんだよ!」

快斗に襟を掴んで揺さぶられる。
その瞳が、闇の中で微かに光って見えた。
オレは夢中で快斗を抱き締めた。
唇を塞いで、深く快斗に口付けた。



オレ達を衝き動かしていたのは、初めて現実に覚えた恐怖だった。
互いを失っていたかもしれない。いつか失うかもしれないという、計り知れぬほど大きな恐怖。

オレたちはその恐怖から必死に逃れようとしていた。
互いの生命を、確かめたかった。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


外が薄明るくなっていた。
腕の中で快斗が身じろぐ。

「快斗……」

横顔に指で触れた。

「……バカやろ。くんなっつったのに」

そっぽを向いたまま、快斗がぶっきらぼうに言う。いつもの快斗だった。

「随分乱暴な奴らだったな…。あいつら、前にもキッドを襲った連中か?」

「おまえ、バカか。まだ首突っ込む気かよ」

「…………」


キッドは今夜、あの襲撃が起こり得る事を予測していたのだろうか。
だからこそ念を押し、オレに手を出すなと警告していたのだろうか。
オレが不用意に近づかなければヘリの男達にジュエルを奪われることなく、キッドはあの場を切り抜けていたのだろうか…。

「ファイヤーマジックは、オレを助けるためだったのか」

それには答えず、快斗は独り言のように呟いた。

「〝炎の脱出マジック〟は、俺には禁忌のショーなんだ。まだまだ未完成」

禁忌。
初代キッドである快斗の父親が謀殺された……。

「ジュエル、奪われちまったな」

「ははっ、まさか。キッドがそうやすやすとワルモンにお宝を渡すかよ」

「えっ。じゃあ」

「ヤツらが持ってったのは俺が用意した偽モンさ。本物は美術館に置いてきたよ」

「そうだったのか」

「話はオワリ。工藤も人のこと言えねーだろ」

「…………」

〝黒づくめの組織〟の事か。
俺は快斗の体を返して、じっと目を覗き込んだ。

「なんだよ」

────どっちもどっち。繰り返し、繰り返し、同じ事を言い合って。
あんな思いをしても結局はどうにもならない。どれだけ互いを案じようと、自分のテリトリーに立ち入ることは許さない。
互いに〝オブザーバー〟を越えられない。

「堂々巡りかよ、また」

ため息しか出ない。
快斗も同じくため息をついた。

「しかたねーだろ。俺たち一緒にいることの方が有り得ないんだ」

そう言いながら、快斗はオレの首に腕を回して微笑んだ。微笑んでこう言った。

〝なのに、どうしてこんなに好きになっちゃったのかなあ〟



やがて小さく欠伸を漏らした快斗を抱いて、オレも目を閉じた。

いつか〝オブザーバー〟の立場を越え、真に快斗の力になりたい。

そう願いながら、温もりに顔を埋めた。








20121224


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※お粗末様です…私も堂々巡り…(+_+);;;

※あふる様、拍手コメントありがとうございました~っ(^^)/



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