名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

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スペキュレーション《2/2》R18
カテゴリ★インターセプト(新快)

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ポンと音がして、何もなかったはずの足元からパステルグリーンの煙幕が広がる。

煙幕の中から悪戯な眼をしたキッドが…いや、黒羽快斗が現れた。


「このやろう、帰る気だったのかよっ」

俺は黒羽を抱きしめた。
これでもかというくらいに、きつく。







───戻ってきてしまった。

我ながら優柔不断だ。
俺の迷いに、工藤は勘付いてるだろう。

この工藤への想いが先々プラスに働くかといえば、間違いなく逆だというのに。


次の獲物を盗み出す手筈は整えた。
明日予告状を送り、公開初日の深夜、警重に引かれるだろう美術館の警備の中へ独り乗り込む。
予報通りなら美しく輝く満月が〝怪盗の翼〟を存分に照らしてくれるはずだ。

獲物を手にする自信はある。今回の獲物が目的のものだったら、こうして工藤を欺くような真似ももうしなくてすむようになる。
だけど、そう簡単にはいかないだろう…。
本物の〝パンドラ〟が世に出回っているとは考えにくい。〝パンドラ〟は、いったいどこに眠っているのだろう。

ヒントが欲しい。親父を陥れた非道な連中を炙り出すためには、どんなに可能性が低いと分かっていても〝機会〟は逃せない。


工藤…。
そんな目で見るなよ。こっちが切なくなる。
訊かれても答えられない負い目。
自分で逢いに来たくせに、迷ったあげく逃げ出そうとするなんて俺も馬鹿だ。
結局は膨らむ一方の想いに逆うことなどできない。

俺の〝欠けたピース〟を埋めてくれる相手。どうしようもなく惹かれる。俺自身が工藤の枷になると分かっていても。
離れられない──。





裸になって寄り添う。
黒羽の掌が俺をそっと辿る。
肌に触れるその指先が震えている気がして、目を開けた。
黒羽の瞳が微笑んでいる。少しはにかむように…。
薄灯りに浮かび上がる笑顔はどこか淋しげで、俺の胸を締め付けた。

俺は黒羽を引き寄せて口付けた。
包み込んだ柔らかな唇にふうと吐息を吹き込む。黒羽が抑えた声を漏らす。
俺は口付けを深くしていきながら、重ねた互いの肌が熱を帯びてゆくのを意識した。

一つに繋がる。
苦しいほど愛しい。僅かな振動にもすぐさま反応してびくびくと小刻みに跳ねる黒羽の体。背中に俺を助けた時の疵痕が遺っている。その疵痕を覆うようにキスを連ねてゆく。赤く痕を標して───。


互いに達してもまだ放したくなくて、俺は黒羽を再び抱き上げた。
火照った瞳を見開いて俺を見つめる黒羽。柔らかな髪を掌でよけて額と額をくっつけた。

「……黒羽」

「………」

「好きだ」

「………」

返事はない。それでも瞳はそらさず、じっと俺を写している。
黒羽の唇が躊躇うように開きかけたが、やはり返事はなく、唇を噛んだ。

「いいよ。返事しなくて」

「………くどう……」

気持ちは通じている。
熱い肌が証明している。憶測の必要などない。推理の余地もない。

「おまえが言葉にできなくても、信じてる」

「………」

そうだ。信じてる。
俺たちは出逢うべくして出逢った。惹かれあったのは必然だ。たとえ互いの立場が180度違っても。この秘め事が何をもたらそうとも。

「好きだ、黒羽。おまえの全部が欲しい。……ホントはなんとか口を割らせてやろうと思ってたけど…おまえが言いたくないなら構わない」

「工藤」

「いいんだ。それでも解るから」

黒羽の迷い。だけど戻ってきてくれた。

あっ、と黒羽が一瞬体を竦ませたが、俺は向かい合わせのまま黒羽の体を開かせた。
羞恥のためか、黒羽が顔を背ける。しかし暴れず懸命に堪えている。再び少しずつ穿ってゆく。黒羽の顰めた眉に煽られる。それでも無茶はしないようなるべくゆっくり埋めていった。

「あ…あっ、くどう…!」

ぎゅうと締め付けられて俺も息を止めた。黒羽の体の力が抜けるのを待つ。届くところ全部に口付けながら。

すっと黒羽の緊張が解けた。
見ると黒羽は目を開けてちゃんと俺を見上げていた。

いくぜ…と呟くと、黒羽が頷くのを待たずに限界が近付いていた俺は一気に熱をぶつけ始めた。
繋がった黒羽の体を衝き上げる。
黒羽が叫ぶ。俺が衝くごとに喉をしならせ細い顎を戦慄かせて。
掌を捕まえて指を絡めた。黒羽の指が強く俺の手を握り返す。

「く、ろ…ば…っ…!!」

「ああっ!!」

背を伸ばすようにして達した。黒羽の奥へと迸る。黒羽も全身を震わせていた。



痺れるような歓びの余韻に抱かれて身を寄せ合った。
カーテンの向こうに月が浮かんでいるのが見える。数日後には満月を迎える大きな月が、半分雲に隠れながら俺たちを見下ろしていた。

───まるで黒羽のようだ。

天真爛漫でいながら、隠している本当の顔。ふと現れる頑なで淋しげな横顔がたまらなく愛おしい。

手を放せばまた飛び立ってゆくのだろう。黒羽の自由は奪えない。それでも。


「俺のこと忘れんなよな」

「………」

「おまえは独りじゃない。忘れんな」



やはり返事はなかったけれど。

黒羽は俯いて、しかし繋いだ手は応えてくれた。躊躇いながらも。

俺の掌に伝えてくれた。

〝解ってる〟…と────。








20120720



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