名探偵コナン・まじっく快斗の二次BL小説。同ジャンル諸先輩方の作品に触発されております。パラレルだらけですが基本は高校生の新一×快斗、甘めでもやることはやってますので閲覧は理解ある18才以上の女子の方のみお願いします。★印のカテゴリは同一設定で繋がりのあるお話をまとめたものです。up日が前のものから順にお読み下さるとよいです。不定期に追加中。※よいなと思われたお話がありましたら拍手ポチ戴けますと至極幸いです。コメント等は拍手ボタンよりお願いいたします! キッド様・快斗くんlove!! 《無断転載等厳禁》

ブログ内検索
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 13
15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
カウンター
プロフィール
HN:
ronin
性別:
女性
自己紹介:
2011年8月26日よりブログ開始
2012年5月GW中にカテゴリ分け再編&アクセスカウンター設置
2013年5月 CONAN CP SEARCH 登録
2013年6月 青山探索館 登録
連絡先:hamanosuronin★gmail.com(★を@に置き換え)
Script:Ninja Blog 
Design by:タイムカプセル
 

パリの灯
カテゴリ★インターセプト2
※つなぎ的なショートです。
※千影さん視点の回想から…。
────────────────────────────────

「君には怪盗淑女をスッパリ引退して…私の宝石箱に納まっていただきたいんだが…」

「その宝石箱、他の宝石は入ってないでしょうね?」

「もちろん。…ただし─────」


実はもう一つ、私には手に入れなければならない宝石があるのですよ。

それは〝パンドラ〟

────パンドラ?

そう…不老不死をもたらすという伝説の奇石です。

────そんなもの手に入れてどうするつもりかしら? 私は不老不死なんて興味ないけど。

ふふ…貴女ならそうおっしゃると思いました。しかし誤解なさらぬよう。パンドラを宝石箱に仕舞うつもりはありません。

あれは人の欲を煽り、禍(わざわい)を為す石。この世にあってはならぬ宝石なのです……。

私はマジシャンとして旅を続け、怪盗としてパンドラを追います。
なに、ご心配には及びませんよ。必ず貴女を幸せにして差し上げます。
私の〝愛〟という最高のマジックでね…。



「…………盗一のウソツキ」

『奥様?』

「えっ……あ、ごめんさない。寺井、なに?」

いけない、エッフェル塔の灯を見ていたらつい。
慌てて電話の寺井の声に意識を戻した。

『あのう、ですから快斗お坊ちゃまから先日のジュエルの返却を頼まれまして』

「持って帰って来ちゃったの? 」

『ええ…それ自体は初めてではございませんのでよいのですが……快斗坊ちゃんの様子がどこかおかしいように感じまして』

「どんなふうに」

『うまくは申せません。盗一様譲りのポーカーフェイスで、私の心配などあっさりかわされてしまいます』

「あの子、誤魔化すのだけは得意なのよね」

『はあ』

「わかったわ。とにかく気が付いたことがあったら、またすぐ教えて頂戴」

寺井との電話を切った。
カップを手に取り、少し苦いモカを一口啜る。

〝パンドラ〟。命の石。まことしやかに伝説だけが独り歩きして……本当に不老不死が得られるとでも思っているのかしら。馬鹿げた話だわ。

カフェのテラス席で友人を待ちながら、私はため息を付いた。

そろそろ日本に戻るべきかしら……。

快斗が怪盗キッドを継いだと知った時、私、なぜ止めさせなかったのかしら。

もう一口モカを飲んだ。苦い。

……わかってる。私の我が儘。
きっと、嬉しかったのよね。怪盗キッドが〝今も生きてる〟って事が。

だとしたら、私のせい?
私が快斗を止めなかったせい?

あの子がパンドラの魔力に引き込まれ、もしもその身を焼き尽くされることになったら……それは、私のせい……。

不吉な想像が膨らむ。
初代キッドの…あの人の話が本当なら、それはもうそこまで迫ってきている。

パリの灯に揺らいで浮かんだ思い出は、あの人からの警告なのだろうか。

快斗。今さら私の言うことをあなたが聞くわけもないけれど。
無茶はしないで。お願いよ…快斗。





20130415

拍手[8回]